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第1章『まずは成長しましょう』
1話『壊れた転生者』
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・・・なんでだろう・・・さっきまであった温もりとか、優越感が無くなってしまった・・・
普通に考えれば死んだと思うんだけどなぁ・・・だったら、感情とかは残しておいてくれよ・・・
──やぁ
いやーでも、やっぱり死ねたのかぁ・・・嬉しいなぁ・・・
そう言えば・・・ここどこだろう?
──ねぇ、聞いてるかい?
床だけ白く輝いてんのに・・・なんで天井とか真っ黒なんだろう?壁が・・・端が見えないな・・・
──おーい、もしかして気づいてる?無視されてるの?
「ん?声が・・・・・・え?」
声が聞こえ、後ろを振り向くと、思わず声が漏れる。
そこには・・・僕がいた。
──やっと気づいてくれたね。僕はエルンスト、エルンスト・リクステッドって言うんだ。
「えっと・・・僕は・・・あれ?僕の名前って・・・?」
何故か自分が存在していた証拠・・・名前が抜け落ちたかのように思いだせない。
──そっか、君はもう君じゃないんだね。
「エル・・・?どういう事?」
──エルでいいよ、君の世界の君は死んだんだろう?
「うん」
自分で自分を殺したのだ。しっかりと首を刺した感覚も覚えている。
生暖かい血に濡れるのも感じた。
「断言できるよ、確実に僕は死んだ」
──うん、それは間違いない。そして、君は魂だけになって僕の前にいる。
「えっ・・・?あれ?声が出てるのに・・・喉が無い?腕も・・・脚も?」
俗に言う達磨状態かと思ったが、そういう訳でもないらしい。
──そして、君は輪廻の輪から外された。
「輪廻・・・転生する為の奴か・・・最初からになるとか・・・嘘だろ?最初から?あの痛みも?悔しさも?苦しさも?最初から?」
次第に取り乱していく。
──落ち着いて、君は輪廻の輪から外されたんだ。転生することは無い。少なくとも、君の世界にはね。
それを聞いて、少し落ち着いてくる。心臓は無いはずなのに、動悸を感じる。
「それで?」
──ああ、だからここにいる。僕の二つ名は『転生神』という。まぁ、君の世界で言う、異世界転生をさせるために存在しているよ。
僕の世界?僕の世界は異世界から帰ってきた人でもいるのかな?
──それで、君には転生してもらいたいんだ。もちろん、今回みたいな君の親ではなく、きちんとした夫婦に送らせてもらうよ。
「え?僕が・・・生まれ変わる?違う世界に?」
あまり嬉しくない。というか行ったってまた・・・僕は馴染めないんだろ?別に、1人が嫌だとかはないけど、また蹴る殴るされると・・・流石に心が折れる。
──他には、強くなれるスキルと、特別な体をあげるよ。ついでに僕の加護もあげよう。
「強く?もういじめられない?痛くならない?」
強くなる・・・その言葉で僕の中の僕が心を決めた。
「お願い・・・僕を・・・強くして・・・もう、苦しいのは嫌なんだ・・・」
掠れた声で、しかも泣きそうな顔で訴える。
エルは悲痛そうな顔をしてから戻すと、顔を逸らしながらこちらに手を翳してきた。
──分かったよ・・・今生では・・・幸せがあらんことを・・・
「僕は・・・もう・・・誰も信じない・・・」
そうして、人間不信であり、自分すら信じず、他人を近づかせない『壊れた』転生者が産まれた。
──転生神エルンスト──
・・・もう・・・彼はダメかもしれないな・・・
「主神、死神の主神が居らしてます」
闇の中から機械的な女性の声が聞こえる。
そちらを向くと、大鎌を背負い、黒いボロボロのローブを着た、骸骨の腕と脚、頭も目もない死神がいた。
『エルンスト・・・今しがた、彼の者の気配がしたのだが』
──あぁ、彼は今転生させたよ。次に来るのは何時になるかな・・・
死神は歯をかち合わせ、カラカラと笑うと、嬉しそうに話しかけてきた。
『そうそうか、彼の者は儂の継人故、我の加護を与えておくとするかのう』
老人臭い喋り方に、老人臭い声が再度震える。
──そうか、君の継人か・・・あんまり早く死なないといいけどね。
『儂の加護をやったんじゃぞ?問題ないわい』
そう言うと、死神は闇の中に手を突っ込み、鎌を取り出した。
──何の真似だい?
『ふむ、いやな、彼の者のアイテムボックスに入れておいてくれ、礼は・・・魂を30だ』
──いいよ、そんなに貰って大丈夫なのかい?
いつもより羽振りがいい死神に不信感を覚えるが、まぁいいかと頭を振る。
それよりも・・・僕の眷属になっちゃうかもなぁ・・・僕が体つくったら、天使よりも強くなるしなぁ・・・まぁいいか、彼はそれを差し引いても損しかない人生を送ってきたのだから。
──アルテマ様・・・貴方が僕に寄越したもの・・・しかと受け取りました。
それは、自分よりも遥かに上位の神への言葉だった。
普通に考えれば死んだと思うんだけどなぁ・・・だったら、感情とかは残しておいてくれよ・・・
──やぁ
いやーでも、やっぱり死ねたのかぁ・・・嬉しいなぁ・・・
そう言えば・・・ここどこだろう?
──ねぇ、聞いてるかい?
床だけ白く輝いてんのに・・・なんで天井とか真っ黒なんだろう?壁が・・・端が見えないな・・・
──おーい、もしかして気づいてる?無視されてるの?
「ん?声が・・・・・・え?」
声が聞こえ、後ろを振り向くと、思わず声が漏れる。
そこには・・・僕がいた。
──やっと気づいてくれたね。僕はエルンスト、エルンスト・リクステッドって言うんだ。
「えっと・・・僕は・・・あれ?僕の名前って・・・?」
何故か自分が存在していた証拠・・・名前が抜け落ちたかのように思いだせない。
──そっか、君はもう君じゃないんだね。
「エル・・・?どういう事?」
──エルでいいよ、君の世界の君は死んだんだろう?
「うん」
自分で自分を殺したのだ。しっかりと首を刺した感覚も覚えている。
生暖かい血に濡れるのも感じた。
「断言できるよ、確実に僕は死んだ」
──うん、それは間違いない。そして、君は魂だけになって僕の前にいる。
「えっ・・・?あれ?声が出てるのに・・・喉が無い?腕も・・・脚も?」
俗に言う達磨状態かと思ったが、そういう訳でもないらしい。
──そして、君は輪廻の輪から外された。
「輪廻・・・転生する為の奴か・・・最初からになるとか・・・嘘だろ?最初から?あの痛みも?悔しさも?苦しさも?最初から?」
次第に取り乱していく。
──落ち着いて、君は輪廻の輪から外されたんだ。転生することは無い。少なくとも、君の世界にはね。
それを聞いて、少し落ち着いてくる。心臓は無いはずなのに、動悸を感じる。
「それで?」
──ああ、だからここにいる。僕の二つ名は『転生神』という。まぁ、君の世界で言う、異世界転生をさせるために存在しているよ。
僕の世界?僕の世界は異世界から帰ってきた人でもいるのかな?
──それで、君には転生してもらいたいんだ。もちろん、今回みたいな君の親ではなく、きちんとした夫婦に送らせてもらうよ。
「え?僕が・・・生まれ変わる?違う世界に?」
あまり嬉しくない。というか行ったってまた・・・僕は馴染めないんだろ?別に、1人が嫌だとかはないけど、また蹴る殴るされると・・・流石に心が折れる。
──他には、強くなれるスキルと、特別な体をあげるよ。ついでに僕の加護もあげよう。
「強く?もういじめられない?痛くならない?」
強くなる・・・その言葉で僕の中の僕が心を決めた。
「お願い・・・僕を・・・強くして・・・もう、苦しいのは嫌なんだ・・・」
掠れた声で、しかも泣きそうな顔で訴える。
エルは悲痛そうな顔をしてから戻すと、顔を逸らしながらこちらに手を翳してきた。
──分かったよ・・・今生では・・・幸せがあらんことを・・・
「僕は・・・もう・・・誰も信じない・・・」
そうして、人間不信であり、自分すら信じず、他人を近づかせない『壊れた』転生者が産まれた。
──転生神エルンスト──
・・・もう・・・彼はダメかもしれないな・・・
「主神、死神の主神が居らしてます」
闇の中から機械的な女性の声が聞こえる。
そちらを向くと、大鎌を背負い、黒いボロボロのローブを着た、骸骨の腕と脚、頭も目もない死神がいた。
『エルンスト・・・今しがた、彼の者の気配がしたのだが』
──あぁ、彼は今転生させたよ。次に来るのは何時になるかな・・・
死神は歯をかち合わせ、カラカラと笑うと、嬉しそうに話しかけてきた。
『そうそうか、彼の者は儂の継人故、我の加護を与えておくとするかのう』
老人臭い喋り方に、老人臭い声が再度震える。
──そうか、君の継人か・・・あんまり早く死なないといいけどね。
『儂の加護をやったんじゃぞ?問題ないわい』
そう言うと、死神は闇の中に手を突っ込み、鎌を取り出した。
──何の真似だい?
『ふむ、いやな、彼の者のアイテムボックスに入れておいてくれ、礼は・・・魂を30だ』
──いいよ、そんなに貰って大丈夫なのかい?
いつもより羽振りがいい死神に不信感を覚えるが、まぁいいかと頭を振る。
それよりも・・・僕の眷属になっちゃうかもなぁ・・・僕が体つくったら、天使よりも強くなるしなぁ・・・まぁいいか、彼はそれを差し引いても損しかない人生を送ってきたのだから。
──アルテマ様・・・貴方が僕に寄越したもの・・・しかと受け取りました。
それは、自分よりも遥かに上位の神への言葉だった。
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