死んだら転生なんて何処のお約束だよ

最強願望者

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第1章『まずは成長しましょう』

4話『お披露目会』

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は?散々溜めといてそれ?んーと、何て反応すればいいんだろう。

(聞き飽きてんだよ、偽善者が)

とか?いや、言葉を話せないからどうでもいいか。

何を思ったのか、父親は数度頷き、部屋を出て行った。




今日は1歳の誕生日だ。
誕生日会みたいなのと一緒にお披露目会もするらしい。

お披露目会って何?『次期当主のカインです』って感じ?僕は継がないからね。

「カイン様、着いてきてください」

サグリナに連れられ、馬車に乗り込む。
中は硬そうな木のソファが向かい合わせに置かれており、真ん中に仕切りのようにテーブルが置かれている。思ったより広いが、4人乗ったらいっぱいだ。

父親(ガルム)と母親(サラ)とサグリナに僕だ。
ここ何日かで僕は歩けるようになり、多少喋れるようにもなった。

「カイン、これから行くのは、この国の王城だよ」

ふーん、えっ?王城?お披露目?もしかして、今日ってかなり重要な日?

「カインと同い歳の子がいっぱいいるわよ」

あーなるほどな、纏めてお披露目って感じか。
僕は領主の息子だから、かなり目立つんだろうなぁ。

「あんまり緊張しなくても大丈夫よ?」

「そうだぞ?適当にしとけ、適当にな」

俯いたままの僕が緊張してるのかと思ったのか、2人が声をかけてくる。

ただ、首が痛くて俯いていただけなんだけど・・・



「旦那様、着いたようです」

「む、分かった」

馬車が止まり、外に出る。すると、そこにはショートケーキの様な城があった。
赤と白が主な色で、所々にエメラルド色の宝石みたいなのとか金色の宝石みたいなのが埋まっていてキラキラしている。

「ルシフィード家の方でございますね、招待状を伺っても?」

「ああ、これだ」

執事風のお爺さんに真っ白な紙の手紙を差し出し、見せる。
周りを見渡すと、メイドさんや僕と同い歳の子供たち、その両親が沢山いた。

「拝見いたしました。ようこそ、マリナイト城へ」

周りのメイドと一緒に執事が腰を折る。
なんかメイド喫茶に来たみたい。行ったことないけどね。


中に入って階段を上り、さらに進むと、一際豪華な扉があった。

中に入ると結構沢山の人がいて、こちらを見る。
直ぐに何人か寄ってきて、ガルムに話しかける。

僕は城についたら紹介まで好きにしていいって言われたから、いろんな所を歩き回る。最終的に、人が多くなってきたからテーブルの下に潜り、魔法の練習をする。

ステイタスを見てから数ヶ月。
ずーっと色んな魔法を試していた。

と言っても、火を出したり水を出したりしているだけだけど。

しばらくすると、大きな声が聞こえてきた。

『皆様、この度はお集まり頂きありがとうございます。マリナイト王のご子息、ご子女もご出席なされています。此度はお披露目会ということで、お一人づつお披露目と参りましょう』

そう聞こえ、テーブルから出てサラの所へ向かう。
僕に気が付き、手招きする。

「最初のお披露目はガルム・ルシフィード・ダルタン領主のご子息、カイン・ルシフィード・ダルタン様です」

紹介?され、スポットライトの場所に行く。
真ん中に着くと、ガルムが息子自慢を始める。

「私の息子のカインです。カインは生まれてこの方泣きもせず、笑いもせず、この歳で私達の言葉を理解しています」

そう言って僕を前に出す。
僕は普通に前に出て、頭を下げると、手をかざす。

(えーと、こうやって、こう)

空中に星魔法で文字を書いていく。


ご紹介に預かりました。

カイン・ルシフィード・ダルタンです。

私はまだ言葉を話せませんので、こちらから失礼します。

この度はお城にお招き頂き、ありがとうございます。

これから長い付き合いとなると思いますが、何卒、よろしくお願い致します。


書き終わり、一礼してから下がる。
周りは愕然としているが、ガルムは平然としている。

そのまま他の貴族に紛れて姿をくらます。
所定の位置(テーブルの下)に戻り、今度は体内の魔力を操る練習をする。

体に血液と一緒にもう一つ何かが流れている想像をすれば簡単だ。


しばらくすると、また司会者の声が聞こえてきた。

『それでは、王城の方で晩餐をご用意させていただきましたので、しばらくお楽しみください』

その言葉に、僕のお腹がクゥーと鳴いた。
それを合図に外へと顔を出し、テーブルに手を伸ばす。

「・・・・・・グググ」

背伸びをしても届かないので、周りの大人の裾を引っ張り、取ってもらう。

「ん?ああ、ダルタン領主の。どうしたの?これをとって欲しいの?」

「・・・コクン」

アップルパイみたいなものを取ってもらい、もぐもぐと食べる。

「・・・モグモグ」

サクサクの生地に甘酸っぱいフルーツが入っている。
何の果物だろう?食感は桃で味は・・・リンゴっぽい。

「初めましてカイン様、先の紹介の際、私達と話が出来ると言った事をガルム様が仰られておりましたが、本当でしょうか?」

「・・・モグモグ・・・コクン」

僕はジーと見つめながら頷く。
すると、話しかけてきた白髪の男は僕に着いてくるように行って、どこかに歩いていく。

「・・・クイクイ」

隣の大人にまたパイを取ってもらう。
うーん、やっぱり美味しい。

「・・・カイン様?どうして着いてきてくれないのですか?」

さっきの男が話しかけてくる。
だって、難しい話っぽいし。
何て言えないから、星魔法で小さく文字を書き、見せる。


貴方と話す意味を見いだせませんので。


それを見た男は固まり、僕は次のテーブルへ向かった。




「ねぇねぇ、あなたはどこのこどもなの?」

3、4歳位の女の子に声をかけられた。
茶色い髪をポニーテールに縛っている女の子だ。
その後にはその子の親らしい柔らかい顔の男の人が立っていた。

「・・・・・・モグモグ」

僕は少女を見つめながらモグモグしている。
少女は眉を潜め、後ろの男の人は困ったような笑顔を浮かべた。

「きいてる?あなたはだれのこどもなの?」

流石に可愛そうかと思ったので、星魔法で文字を書く。


僕はガルム・ルシフィード・ダルタン領主の息子だよ。

君は?


すると、後ろの男の人が、少女に耳打ちをする。
少女は頷き、こちらを見る。

「わたしはリリーナ・カルバネラ・マリナイト。よろしくね」

マリナイト・・・王族?そう言えば、ご子息ご子女が参加してるって言ってたね。

「・・・コクン」

僕はリリ・・・?から目を離し、目の前の女性のスカートを控えめに引っ張り、マカロンみたいな物を取ってもらう。(見たことしかない)



それから時間は過ぎ、僕は端っこでじっと座っていた。

「・・・・・・」

(やっぱり1人は落ち着くなぁ・・・)

地球でもよく1人でいたからなぁ。
もしかしてそれが原因でいじめられてたのかな?

「君?カイン君かい?」

「・・・コクン」

声をかけられ、目を向けると、青髪の青年が立っていた。
僕と目線を合わせ、話しかけられる。

「君のジョブを教えてくれるかな?」

「・・・フルフル」

絶対嫌だね。
勇者なんて・・・どこの目立ちたがり屋だよ。
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