追放からはじまる異世界終末キャンプライフ

第一章

第二十話 賢者曰く……

　翌朝、ぼくたちはグリフォンの肉を持って賢者の元へ向かうために早朝から出発した。
　数日間の旅の後、とうとう賢者の住む場所に到着した。

　その場所は、国のはずれにある小高い丘の上に建っていた。外観は古びた石造りの家で、周りには美しい庭園が広がっている。その庭園には、珍しい花や木々が植えられており、まるで異世界の植物園のようだった。

　建物自体は、丸い塔の形をしていて、古代の魔法使いが住んでいたかのような雰囲気が漂っていた。窓は少なく、扉も頑丈な鉄でできており、何かの攻撃に対して防御するために作られたような印象があった。

　ぼくたちはこの古びた石造りの家の前に立ち、ドアをノックした。すると、ドアが開いて、ひょっこりと出てきた顔は驚くべきことに、黒髪に金色の瞳をした美しい女性だった。

「まさか賢者が女性だったなんて…」とぼくは驚いた。リリアもアルフも同じく驚いた様子だった。
　
「あら、ついに来てくれたのね。私はあなたたちがいつか訪れることを知っていたのよ。さあ、どうぞお入りなさい」

アリシアは、まるで予知していたかのような言葉でぼくたちを迎えた。ぼくたちは驚きつつ、その言葉に従い、招かれるまま彼女の家に入った。

「それでは、まずはお互いに自己紹介しましょうか。私はアリシア、この地で賢者と呼ばれている者です」

「ぼくはイツキです。ぼくたちは世界を救うため、神器を集める旅をしています。今回は『焔の杯』についての情報を求めて、あなたに会いに来ました」

「私はリリア。弓の使い手で、イツキさんと一緒に旅をしています。よろしくお願いします」

「アルフです。本来は森の守り神ですが、今回は特別に彼らの旅に同行しています。どうかよろしくお願いいたします」

「それで……持ってきてくれたんでしょ！？」

　美しく、知的な雰囲気が漂うアリシアのテンションが急に上がっている。

「な、なにを……」

「とぼけないでいいわよ。グリフォンの肉！　水鏡で全部見てたんだから！」

　アリシアはグリフォンの肉を受け取った。彼女は感謝の言葉を述べ、このグリフォンの肉について、目を輝かせながら語った。

「この肉は薬の材料に使うの！　グリフォンの肉には特別な成分が含まれていて、それを利用すると効果的な薬が作れるさいっこうの材料！！」

「そ、そんなに喜んでもらえたならなによりです」

　ぼくたちはアリシアに『焔の杯』について尋ねた。彼女は少し考えた後、「焔の杯は、遥か昔に消滅した古代王国の地下神殿に封印されてるのね。その神殿は、今は廃墟となっていて、危険なモンスターや罠が待ち受けている……」と教えてくれた。

　さらに彼女は「神殿への道は困難で険しいけれど、あなたたちなら、必ず焔の杯を手に入れることができるでしょう」と励ましてくれた。

「それで……これがそこに入るためのカギね。だから、私にグリフォンの肉をくれないと焔の杯は手に入らないってわけ。それはいろんな神や精霊にも言っていたから、それがアルフにも伝わっていたみたいね。まぁ性別は間違えていたけど」

　ぼくたちはアリシアから古代王国の地下神殿の場所を教えてもらったこととカギをもらったことに、感謝の言葉を述べ、そして、再び旅立った。