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第一章

第三十五話 風邪薬のつくりかた

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 新たに手に入れた氷の神器を持ち帰るべく、ぼくたちは洞窟を後にした。リリアは風邪をひいているため、慎重に歩き、道中は彼女の具合に気を配りながら進んだ。

 その日のキャンプ地では、焔の杯で強化された炎の力を使って、身体に優しくて温かい食事をリリアに振る舞うことにした。氷のモンスターの肉を使ったスープは、とても温かくておいしいだろうと思ったので、それをつくった。

 リリアはスープを一口すすると、顔色が少しよくなったようだ。

「ありがとう、みんな。美味しいスープで元気が出た」

 その後、リリアの風邪が早く治るよう、しっかり休養するために、ぼくたちは早めに休むことにした。

 翌日も、リリアの風邪は治らなかった。熱も高くなっているし、咳もひどくなっているようだ。心配だ。
 そこで、ぼくたちは風邪薬を作ろうと決めた。

「このあたりに、フロストフラワーというモンスターがいるはずだ。その花の蜜を使った薬が、風邪に効くんだ」とアルフが教えてくれた。

 それを聞いたぼくは、フロストフラワーを探すことに。リリアのためにも、一刻も早く見つけなければと焦りもあった。

 やがて、ぼくたちは氷に覆われた森の中で、フロストフラワーを発見した。
 フロストフラワーは、氷の結晶が重なって花の形になったような美しい姿をしていた。氷の花びらをこちらにとばして攻撃はしてきたが、炎属性が弱点だったため、ファイアーコントロール一発でフロストフラワーを倒すことができた。
 倒したあとは、アルフとフェンと一緒に、フロストフラワーの冷たい花の中にある蜜を丁寧に集めた。

 キャンプ地に戻って、ぼくたちはフロストフラワーの蜜と身近にあったハーブを組み合わせた薬を作ることにした。

 アルフは薬を作り始めると、まずはフロストフラワーの蜜を小さな鍋に入れて温めた。
 次に、彼が選んだハーブを細かく刻み、温めた蜜に加えて煮詰めた。最後に、適量の水を加えて煮立てると、最終的にシロップのような薬が完成した。

 リリアにその薬を飲ませると、彼女は目に見えて体調が良くなった。

「ありがとう! 薬を作ってくれて。とってもよく効いたみたい」

「元気になって本当によかった!」

 リリアの回復をみんなで喜びあった。

 そうして、リリアの体調が完全に良くなったことを確認して、ぼくたちは再び出発した。
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