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最高のはじまり
第十八話
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「伊織さん」
「うん?」
「サマンサの時計さ、どうやって探したの?」
楽しいままにサマンサのお祝いを終え、また普段の日常に戻ったサマンサは料理以外の家事をこなし、ぼくと伊織さんは夕飯の支度をして過ごした。
お風呂に入り歯みがきもして、今は寝室のベッドで横になっている。ふと懐中時計の入手経路が気になり、伊織さんに訊ねてみた。
そんな疑問に伊織さんは微笑むと、ぼくの顔をのぞき込むようにして教えてくれる。
「んふふ。それはね―――」
「!っ――なにそれ」
教えてくれると思ったのに。
ぼくの耳許で彼がささやいたのは、「愛の力だよ」だった。
きっとぼくには話せないような、悪魔的な手段を講じたに違いない。伊織さんは優しくて綺麗だけれど、とても恐ろしい一面もあるひとだ。
やれやれ感動したのになと思う矢先、不埒な彼の手がぼくの身体に伸びる。
「さあ、もう他の男の話は終わりだよ。これから僕の名前だけしか言わないで」
「あっ、うう……もう。はい、伊織さん」
「ふふ。たっぷり愛してあげる―――」
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