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第三章 指切
第四十五話
しおりを挟む遥希にとっての一番はいつも一大だった。それは一大に彼女ができようとも変わらず、女と別れて戻ればいつでも受け入れてくれたのだ。
くり返される状況に高を括った挙句、自分が一番でなくなるとは考えてもみなかったらしい。まさか断られるとも恋人をつくられるとも思わず、ずっとひとりで一大だけを想って生きていくと勘違いをしていたのだ。
どうして自分を捨て女と結婚をするような男を、いつまでも恋い焦がれて貞操を守ると思えるのか。どれだけ自分を過信し自惚れると、そんな考えに至れるのか遥希には理解ができない。
最後の言葉でわずかに残った一大に対する愛情も心から枯渇した。遥希は「俺は彼と生きていく。おまえは嫁さんを大切にしろ」と言って一大を視界から消す。
自身に背を向け遠ざかっていく遥希。その存在は一大にとっても一番の宝、心安らぐ自分の居場所だった。幼馴染としてそれ以上として、いつでも一大を受け入れてくれた遥希。
けれど今は自分の声が届かない。それどころか拒絶され縁を絶とうとすらされている。遥希の背中を見て初めて、自分が最も大切な者が誰かであるかに気づいた。
「……嫌だ、いかないでくれ。どうして俺を拒むんだ、俺よりもそんなやつがいいのか。くそっ、俺のものだぞ──俺から遥希を奪うなっ!」
「はっ? えっ、ちょっ───」
すでに遥希と別れたことも自分が花婿であることも忘れ、一大は唸るように憎しみを吐きだし階段を駆け下りる。その際につき飛ばされた遥希は驚き、言葉をつまらせ混乱する。
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