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第三章 指切
第四十六話
しおりを挟む遥希を自身から奪われたという迷妄に取りつかれる一大、その表情は悪霊にでも憑りつかれたように歪み焦点も合っていない。
踊り場の壁に背中を打ちつける遥希、痛みに顔をしかめ一大を止めるタイミングを失う。一方、一大は騎手から逃れた暴れ馬のように龍哉の許へ。
凄まじい形相をした一大が階段を下り龍哉のほうへ向かってくる。今にも殴りかからんとする勢いの一大に驚き龍哉は狼狽し後ずさる。
「逃げてんじゃねえっ、このコソ泥野郎──っ!」
龍哉と対峙する一大、声を荒げこぶしを振りかざして殴りかかる。
「はあっ? ちょっ、おいっ、待てって」
「うるせえっ、遥希を返せっ!」
一発目をかわして距離を取る龍哉、突然の奇襲に状況が掴めず一大をなだめるのが精一杯だ。もはや正気を失い惑乱する一大は尚もがなり、憎き相手に二発目のこぶしをふるう。
「一大っ、やめろっ!」
遥希が叫びながらふたりの許へ駆け寄る。一大のこぶしを手で受け止めながら、龍哉と純白のタキシードに身を包む今日の主役が階段の踊り場でもみ合う。
晴れの日に花婿が乱闘を起こし相手を殴ったともなれば、それは即座に噂が広まり傷害事件として尾を引くだろう。すなわち一大の名誉に傷がつき立場も危うくなってしまう。
花嫁は上司の娘だ、確実にただでは済まされない。不幸な結婚式として終わるのが目に見えていて、遥希は黙っていられるほど冷淡にはなれなかった。
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