いじめられ勇者が世界を救う!?〜双子のいじめられっ子が転生した先で亡国の女王を助け、世界を救うと言うありふれた話〜

アンジェロ岩井

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第一部 四章 女王陛下の騎士たち

黒色のドラゴン パート2

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ザビーネは剣を空中に構え、自らの守護獣ガーディアン・ビーストを召喚し、城の中に黒色の玉を繋ぎ合わせたような不揃いな体型のドラゴンが現れ、ディリオニスを狙う。
ディリオニスは剣を携え、黒色の玉を繋ぎ合わせたドラゴンに挑むが、ディリオニスの剣は玉を分裂させるばかりだった。ディリオニスの剣によって分裂させられた玉は一度分裂したかと思うと、もう一度ピッタリと重ね合わさり、元の形に戻っていく。
丁度、はまらなかったパズルのピースがピタリと当て嵌まるかのように。
ディリオニスは剣をもう一度攻撃を繰り出すが、結果は変わらない。
ザビーネはそれを見越したのか、懸命に剣を振るうディリオニスを笑い続けた。
「アッハッハッ、無駄よッ!そんな幼稚な攻撃があたしの守護獣ガーディアン・ビーストに通じるとでも思っているの?」
ディリオニスはザビーネから発せられる守護獣ガーディアン・ビーストと言う単語に思わず両目を大きく広げてしまう。
何故ならば、この世界とは少しだけ異なる世界にてガラドリエルが王だと認められた時に、数多の神々から発せられた誑し込まれて守護獣ガーディアン・ビーストを渡したと言う女の話を思い出したからだ。
「そうか!?お前があの時に言われていたッ!?」
「そうよ。私があの神に頼んでこの子を貰ったの、いい子でしょ?」
ザビーネは顔に薄らとした笑顔を浮かべながら言った。
「いいや、お前は王の器じゃあない!お前はただ神を誘惑して、そいつを手に入れただけだッ!」
ザビーネはその言葉に一瞬表情を曇らせたが、次にもう一度歪んだ笑顔を見せて、
「そうね、あなたの言ってる事は正論だわ、王国の学者が何ページにも渡って書いた目を通したら卒倒しそうな程の論文よりも正確ね!けれど……」
ザビーネは剣先をディリオニスに突き付けて、
「それが分かっているから何なのッ!王になるのに資質は必要じゃあないわ!要するに、力でこの王国の玉座をッ!北の国の最高司令官の地位を手に入れるために必要なのは完全なる力よッ!」
ザビーネの誓いの言葉が大きな声で発せさせられるのと同時に、黒色のドラゴンがディリオニスを襲う。
ディリオニスは英雄、ジークフリードと体を一体化させ、黄金の輝きで全身を輝かせ、黒色のドラゴンに対抗していく。
ザビーネは何かを察したのか、ドラゴンの上に飛び乗って、ディリオニスを迎え撃つ事に決めたらしい。
ディリオニスは敢えてザビーネの挑発に乗り、ドラゴンの頭の上に飛び乗る。
ドラゴンは上空へと登っていき、ついには周りの景色が見えない程の高い距離へと飛んでいく。
ディリオニスは風を切っていき、グングンと上昇していく様子が前世の遊園地で乗ったジェットコースターのようであったが、彼は不快感を隠す事なく、ザビーネと向き合う。
ザビーネとディリオニスは大きなドラゴンの頭の上で斬り合いを始めた。
互いの剣と剣がかち合い、その度に剣と剣の間に火花が散っていく。




「ご無礼をお許しください!女王陛下!ですが、今は一刻を争う非常事態!あなた様の騎士二人が攫われたのです!」
シルヴィアは血相を超えた様子で女王の部屋を開き、大きな扉のように窓の前の椅子で紅茶を啜るガラドリエルに声を掛けたが、ガラドリエルは相変わらず澄ました顔のまま。
シルヴィアは余裕のある態度を貫かんとするガラドリエルに腹が立ち、自分の心境を吐露し、目の前の相手を怒鳴る。
「陛下ッ!よくお聞きください!あなた様の最も信頼する騎士がザビーネの手によって連れ去られたのです!あなた様はそれでも無視なさるおつもりですか!?」
シルヴィアは歯を剥き出しにして叫んだが、ガラドリエルは紅茶のカップを持ちながら、シルヴィアの前に立って言った。
「よく、聞け、シルヴィア……我が透明の盾を持つ剣士達ガラス・オブ・ソードよ……私は王だ。ここを離れる訳にはいかぬ、もし、私がここを離れたとすれば、政治が上手くいかぬ、諸侯の間にも動揺が広がるかもしれぬ、その二つの危険性を顧みて、私はここを動くのは難しいと言えるだろう」
ガラドリエルの冷酷な態度と表情にシルヴィアは激昂して、彼女の元にまでよって、鋭い声で叫ぶ。
「攫われたのはあなたのお気に入りの双子の騎士の片割れなんですよ!あの人が殺されでもしたら、どうなさるおつもりですか!?」
ガラドリエルは答えない。臣下を見捨てるつもりだと確信したシルヴィアは掴みかからんとせんばかりの勢いで乗り出し、
「あなたそれでも王のなの!?自分の臣下を見捨てるなんてッ!」
熱くなる少女の頭を女王は相変わらずの澄ました顔で優しく撫で回しながら、
「落ち着け、何も行かぬとは一言も言っておらぬ、王の脳キングズ・ヘッドを呼んで来い」
ガラドリエルの予想外の行動に呆然とした表情を浮かべながら、ガラドリエルの居室の一つ下の階の窓際に存在する王の脳キングズ・ヘッドの部屋へと足を急がせる。
少女の騎士は何度も何度もドアを叩いて妖艶な王の頭脳を呼び出す。
王の頭脳は相変わらずの高いソプラノ声で、
「あらあら、誰かと思えば透明の盾を持つ剣士達ガラス・オブ・ソードのシルヴィアじゃあない、何が起きたの?」
王の脳キングズ・ヘッドよ!女王陛下がお呼びです!女王陛下の騎士、ディリオニスとマートニアの件でお話があるとッ!」
「あら、二人に何かあったのね、それにあなたがそんなに取り乱してるって事は余程の事だわ、すぐ行くわ」
ユーノは黒色のローブとその下に履いている青色のスカートと言うラフな格好でもう一つの上の王の居室へと向かう。
王の居室の前にシルヴィアと共に現れるなり、ローブの裾を持って恭しく頭を下げて、臣下としての礼を取る。
それから、頭を上げていつものように彼女らしい笑顔を見せながら、
「どうかなさいまして?陛下?」
「緊急事態だ。ディリオニスの救出に向かうのでな、私のコピーを作って欲しい」
ユーノは満面の笑顔を見せて、
「それくらいならば、お安い御用ですわ!」と、小さな杖を振ってガラドリエルの分身を作り出す。
ガラドリエルは自分の隣に現れたもう一人の自分を眺めながら、満足そうに口元を緩めた。
「よい出来だな、では出発するぞ、シルヴィア、案内せい」
ガラドリエルの言葉に従い、シルヴィアはマートニアとマクシミリアンが戦っている兵舎へと案内していく。
シルヴィアは兵舎へと向かう道の中で、もう一人のガラドリエルが現れた時に、自分が凄く年相応に驚いた事を思い出し、顔を真っ赤にしていた。
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