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プロローグ
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朝食後、洗礼式の準備のために体を井戸の水で浄め、新しい服を身につける。
孤児たちの居住区から、礼拝堂のある側へと移動すると、祭壇前に水盤が用意されていた。
ステンドグラスから差し込む七色の灯に染められて、その水面がキラキラと輝いている。
木彫りの小さな七柱の神が見守る中、孤児院の院長も務める神父さまが洗礼式の祈りを捧げた。
聖歌を合唱し終わると、いよいよ子供達の洗礼が始まる。
水盤の前に首を垂れて祈りを捧げる子供の頭に、神父さまが柄杓で水盤の水をすくってかける。
「どうかこの子供に神の加護を…」
と、神父さまが祈りを捧げると、緑色の光が七神の一体から放たれ、子供の額に当たる。
「やったあ!僕、風の神様だ」
子供が、ぱっと顔を上げると、風の神と繋がっていた光は溶けて消えた。
席に戻ると、早速ステータスボードを開いて、属性を確認しているのが見えた。
こんな感じで、自分と相性のいい神と繋がって、初めて人の子は魔法が使えるようになるのだ。
次はマリアの番だった。
「どうかこの子供に神の加護を」
神父さまの祈りの声が終わってしばらく、何の反応も起こらない。
(え?どうしたってんだ?)
ざわっと会場に動揺が走ったあたりで、子供の一人が指をさす。
「主神さまがっ!」
皆の視線が主神の像に注がれた。
木彫りの像の輪郭が白く光り始め、次の瞬間には生きている女神のように、像は一気に色付いた。
呆気に取られている周囲を他所に、白い翼を広げて飛び立った女神は、マリアに抱擁する。
(消えた?!)
そのまま女神は、マリアの中に入り込むように姿を消した。
もう一度祭壇奥の主神の像を見ても、ただの木彫りの像が、両手を広げて静かに微笑んでいるだけだった。
「まっ、マリア…ステータスを確認しなさい」
神父さまが震える声でマリアに確認を促した。
「はいっ!えっと、ステータスっ!」
緊張して上擦る声で、マリアはステータスボードを開く。
「魔法属性欄は聖属性です」
「それ以外に何か変わった記載は無いかい?」
ステータスボードは、基本的に他人からは見ることはできない。
神父さまは、マリアがステータスボードを確認するのを、ハラハラしながら見守っている。
「あ!えっと、スキル欄…まだ何も取ってないのに、治癒魔法Ⅲが出てます。あと、左下のところに聖神の愛し子?って書いてます」
「なんと!それは…本部に連絡をしなければ。ひとまず、マリアは席に戻りなさい」
神父さまは、何やら祭壇の下から分厚い本を取り出し調べ物をしたり、シスターを呼んで本部に手紙を書くように伝えたりと忙しそうに動き出した。
「え?式終わり?」
「もう、帰っていいのかな?」
と、街から洗礼を受けに来た子供達が話し始める。
「ちょっと待てぇ!オレ洗礼まだ受けてねえよ!」
ついに痺れを切らせて、ロッテンが叫ぶ。礼拝堂に響き渡る声に、神父はハタと我に返った。
「んんっ、ゴホン…おお!ロッテンよ申し訳ない。さあ、こちらへ」
体裁を整えるように、一度咳払いをして、神父さまはロッテンを水盤の前に誘った。
首を垂れて、水を頭に受ける。
「どうかこの子供に神の加護を」
その祈りが響いた時だ。
[面白い!オマエにはワタシが加護をやろう!!]
地の底から響くような低い声が、頭に響いた。
ーードーン!!!
と、大きな音と稲光りが同時に到来する。
先程まで美しい光を届けていた太陽は翳り、凄まじい雨音がステンドグラスを叩く。
水盤の水がどす黒く濁り、その中から鋭く長い爪を生やした手が伸びる。
その手がロッテンの胸にズブリと埋まり、そこからは一気に何者かが身体に入り込む感覚があった。
「あ、あっ…?!」
言葉にならない声をあげて、神父さまが床にへたり込む。
「ロッテン、ロッテン!大丈夫?!」
マリアが目に涙を溜めて、腕に齧り付いてきた。
「あ、ああ、なんともない」
胸のあたりを抑えても、撫でても、痛みも違和感もない。
(とりあえず、オレ、何属性なんだ?)
「ステータス!」
魔法属性欄に目を向ける。
「腐属性??」
見たこともない属性に、何度も目を擦って見返す。
ボードを閉じて開き直しても変わらない。
「腐属性って…なに?」
これが、ロッテン6才にして、人生が大きく動き始めた瞬間の出来事であった。
孤児たちの居住区から、礼拝堂のある側へと移動すると、祭壇前に水盤が用意されていた。
ステンドグラスから差し込む七色の灯に染められて、その水面がキラキラと輝いている。
木彫りの小さな七柱の神が見守る中、孤児院の院長も務める神父さまが洗礼式の祈りを捧げた。
聖歌を合唱し終わると、いよいよ子供達の洗礼が始まる。
水盤の前に首を垂れて祈りを捧げる子供の頭に、神父さまが柄杓で水盤の水をすくってかける。
「どうかこの子供に神の加護を…」
と、神父さまが祈りを捧げると、緑色の光が七神の一体から放たれ、子供の額に当たる。
「やったあ!僕、風の神様だ」
子供が、ぱっと顔を上げると、風の神と繋がっていた光は溶けて消えた。
席に戻ると、早速ステータスボードを開いて、属性を確認しているのが見えた。
こんな感じで、自分と相性のいい神と繋がって、初めて人の子は魔法が使えるようになるのだ。
次はマリアの番だった。
「どうかこの子供に神の加護を」
神父さまの祈りの声が終わってしばらく、何の反応も起こらない。
(え?どうしたってんだ?)
ざわっと会場に動揺が走ったあたりで、子供の一人が指をさす。
「主神さまがっ!」
皆の視線が主神の像に注がれた。
木彫りの像の輪郭が白く光り始め、次の瞬間には生きている女神のように、像は一気に色付いた。
呆気に取られている周囲を他所に、白い翼を広げて飛び立った女神は、マリアに抱擁する。
(消えた?!)
そのまま女神は、マリアの中に入り込むように姿を消した。
もう一度祭壇奥の主神の像を見ても、ただの木彫りの像が、両手を広げて静かに微笑んでいるだけだった。
「まっ、マリア…ステータスを確認しなさい」
神父さまが震える声でマリアに確認を促した。
「はいっ!えっと、ステータスっ!」
緊張して上擦る声で、マリアはステータスボードを開く。
「魔法属性欄は聖属性です」
「それ以外に何か変わった記載は無いかい?」
ステータスボードは、基本的に他人からは見ることはできない。
神父さまは、マリアがステータスボードを確認するのを、ハラハラしながら見守っている。
「あ!えっと、スキル欄…まだ何も取ってないのに、治癒魔法Ⅲが出てます。あと、左下のところに聖神の愛し子?って書いてます」
「なんと!それは…本部に連絡をしなければ。ひとまず、マリアは席に戻りなさい」
神父さまは、何やら祭壇の下から分厚い本を取り出し調べ物をしたり、シスターを呼んで本部に手紙を書くように伝えたりと忙しそうに動き出した。
「え?式終わり?」
「もう、帰っていいのかな?」
と、街から洗礼を受けに来た子供達が話し始める。
「ちょっと待てぇ!オレ洗礼まだ受けてねえよ!」
ついに痺れを切らせて、ロッテンが叫ぶ。礼拝堂に響き渡る声に、神父はハタと我に返った。
「んんっ、ゴホン…おお!ロッテンよ申し訳ない。さあ、こちらへ」
体裁を整えるように、一度咳払いをして、神父さまはロッテンを水盤の前に誘った。
首を垂れて、水を頭に受ける。
「どうかこの子供に神の加護を」
その祈りが響いた時だ。
[面白い!オマエにはワタシが加護をやろう!!]
地の底から響くような低い声が、頭に響いた。
ーードーン!!!
と、大きな音と稲光りが同時に到来する。
先程まで美しい光を届けていた太陽は翳り、凄まじい雨音がステンドグラスを叩く。
水盤の水がどす黒く濁り、その中から鋭く長い爪を生やした手が伸びる。
その手がロッテンの胸にズブリと埋まり、そこからは一気に何者かが身体に入り込む感覚があった。
「あ、あっ…?!」
言葉にならない声をあげて、神父さまが床にへたり込む。
「ロッテン、ロッテン!大丈夫?!」
マリアが目に涙を溜めて、腕に齧り付いてきた。
「あ、ああ、なんともない」
胸のあたりを抑えても、撫でても、痛みも違和感もない。
(とりあえず、オレ、何属性なんだ?)
「ステータス!」
魔法属性欄に目を向ける。
「腐属性??」
見たこともない属性に、何度も目を擦って見返す。
ボードを閉じて開き直しても変わらない。
「腐属性って…なに?」
これが、ロッテン6才にして、人生が大きく動き始めた瞬間の出来事であった。
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