20 / 35
第一章 聖女の誕生と異端審問
(17)
しおりを挟む
「これで最期にしてやろう!」
ロッテンは、なにやら大掛かりな魔法陣が敷かれた広間に通された。
(これはまた…結構な成金部屋で)
真っ白な壁に、これでもかと金細工が施された部屋。
豪奢なシャンデリアには、ギラギラと盛られたガラスの飾りが垂れて、手が届きそうだ。
カーテンは、重厚な緑のビロードに金の刺繍で鳳凰と花をモチーフにした構図だ。
「お前をこの神聖な儀式の場に入れねばならんとは!」
枢機卿の歯軋り音が耳障りで気持ち悪い。
(じゃあ入れてくれなくて結構ですけど?)
言葉にしたら暴力を振るわれるかもしれない。
ロッテンは賢いお子さまなので、静かに小言に耐えることにした。
「全く、汚らわしいっ!さあ、皆よ!さっさと此奴を浄化してしまおうぞ」
その声に従い、儀式用のローブを身に纏った者たちが現れた。
「ふっふっふ!ここに集いしは、光属性と聖属性の魔術師の精鋭たちぞ?更に、この魔法陣は光や聖の魔力を増大する装置!邪悪な魔王なぞ立ち所に浄化してくれるわ」
「ピュリフィケイション!」
「ハイヒール!」
「キュア!」
「サンクチュアリ!」
「ホーリーライト」
「リカバリー!」
「ターンアンデッド!」
「グローリア!」
「アスペルシオ!」
浄化なのかなんなのか、分からないが、色んな魔法の見本市のように、四方八方から詠唱が聞こえる。
(まずい、浄化される?!)
ーーぱあぁぁぁああ!!
目を開けるのも難しいほどの光に包まれて、なんとなく神仏の御心に触れた気がした。
(ああ、昇・天…⭐︎)
輝かしい浄化の光が消え、立ち尽くすロッテンは、ふっと笑った。
「浄化、されちゃった」
ペロッと舌を出してお茶目にウインクをしてみる。
ちょっと元気になって、体や服が綺麗になっていた。
(そりゃそうだな…オレ腐属性だけど、不死属性じゃないし、身体腐ってる訳でもないしなぁ)
ちょっと考えたらわかるのに…という目線を枢機卿に投げる。
魔術師たちの一団からも、同じような視線が卿に注がれた。
わなわなと震えながらも、枢機卿はロッテンを指差す。
「まだだ!攻撃魔法で行けっ!」
(薄々気づいてたんだけど、途中からこれ異端審問じゃなくねぇ?)
「ら、ライトニングアロー!」
「ホーリーアロー?」
「サンダー…ボルトぉ!」
(ほら、魔術師の皆さんも困惑してるよね)
何かが違うと思っていても、上司には逆らえない縦社会の縮図がそこにあった。
攻撃魔法の集中砲火を受ければ、ただの人間でも死に至るのは間違いない。
ただ、この状況にツッコミを入れているだけのロッテンではなかった。
先ほどから足元に腐食のスキルを放ち続けていた。
(流石に魔法陣は腐らないっぽいね)
ーーミシミシッ
「ふはは!これで終わりだ、死ねぃっ!」
ドォォォン!!!
攻撃魔法の着弾とほぼ同じくして、床が抜け落ちた。
ぎゃあ!とも、わあ!ともつかない悲鳴が上がり、魔術師達は落下していく。
ロッテンはというと、床の崩落寸前で、ジャンプしてシャンデリアのガラス飾りを掴み、そのまま上に登って難を逃れた。
「大丈夫ですかぁー?」
下に落ちた人達へ尋ねると、枢機卿の元気な怒りボイスが響いた。
「神聖な儀式場の床を抜くだと!この罰当たりがっ!!ええぃ!捕らえよ!許さんぞっ!」
「えー?そんなぁ、全属性の試練を乗り越えたのに!」
「こんなの認めんぞ!大人をナメるなよ小僧」
「わー。言いがかりだぁ」
6歳と同レベルで言い合う枢機卿の姿を見て、神殿の者達はどう思っただろうか?
騒ぎを聞きつけた僧兵によって、再び捕らえられたロッテンには、知る術は無かった。
ロッテンは、なにやら大掛かりな魔法陣が敷かれた広間に通された。
(これはまた…結構な成金部屋で)
真っ白な壁に、これでもかと金細工が施された部屋。
豪奢なシャンデリアには、ギラギラと盛られたガラスの飾りが垂れて、手が届きそうだ。
カーテンは、重厚な緑のビロードに金の刺繍で鳳凰と花をモチーフにした構図だ。
「お前をこの神聖な儀式の場に入れねばならんとは!」
枢機卿の歯軋り音が耳障りで気持ち悪い。
(じゃあ入れてくれなくて結構ですけど?)
言葉にしたら暴力を振るわれるかもしれない。
ロッテンは賢いお子さまなので、静かに小言に耐えることにした。
「全く、汚らわしいっ!さあ、皆よ!さっさと此奴を浄化してしまおうぞ」
その声に従い、儀式用のローブを身に纏った者たちが現れた。
「ふっふっふ!ここに集いしは、光属性と聖属性の魔術師の精鋭たちぞ?更に、この魔法陣は光や聖の魔力を増大する装置!邪悪な魔王なぞ立ち所に浄化してくれるわ」
「ピュリフィケイション!」
「ハイヒール!」
「キュア!」
「サンクチュアリ!」
「ホーリーライト」
「リカバリー!」
「ターンアンデッド!」
「グローリア!」
「アスペルシオ!」
浄化なのかなんなのか、分からないが、色んな魔法の見本市のように、四方八方から詠唱が聞こえる。
(まずい、浄化される?!)
ーーぱあぁぁぁああ!!
目を開けるのも難しいほどの光に包まれて、なんとなく神仏の御心に触れた気がした。
(ああ、昇・天…⭐︎)
輝かしい浄化の光が消え、立ち尽くすロッテンは、ふっと笑った。
「浄化、されちゃった」
ペロッと舌を出してお茶目にウインクをしてみる。
ちょっと元気になって、体や服が綺麗になっていた。
(そりゃそうだな…オレ腐属性だけど、不死属性じゃないし、身体腐ってる訳でもないしなぁ)
ちょっと考えたらわかるのに…という目線を枢機卿に投げる。
魔術師たちの一団からも、同じような視線が卿に注がれた。
わなわなと震えながらも、枢機卿はロッテンを指差す。
「まだだ!攻撃魔法で行けっ!」
(薄々気づいてたんだけど、途中からこれ異端審問じゃなくねぇ?)
「ら、ライトニングアロー!」
「ホーリーアロー?」
「サンダー…ボルトぉ!」
(ほら、魔術師の皆さんも困惑してるよね)
何かが違うと思っていても、上司には逆らえない縦社会の縮図がそこにあった。
攻撃魔法の集中砲火を受ければ、ただの人間でも死に至るのは間違いない。
ただ、この状況にツッコミを入れているだけのロッテンではなかった。
先ほどから足元に腐食のスキルを放ち続けていた。
(流石に魔法陣は腐らないっぽいね)
ーーミシミシッ
「ふはは!これで終わりだ、死ねぃっ!」
ドォォォン!!!
攻撃魔法の着弾とほぼ同じくして、床が抜け落ちた。
ぎゃあ!とも、わあ!ともつかない悲鳴が上がり、魔術師達は落下していく。
ロッテンはというと、床の崩落寸前で、ジャンプしてシャンデリアのガラス飾りを掴み、そのまま上に登って難を逃れた。
「大丈夫ですかぁー?」
下に落ちた人達へ尋ねると、枢機卿の元気な怒りボイスが響いた。
「神聖な儀式場の床を抜くだと!この罰当たりがっ!!ええぃ!捕らえよ!許さんぞっ!」
「えー?そんなぁ、全属性の試練を乗り越えたのに!」
「こんなの認めんぞ!大人をナメるなよ小僧」
「わー。言いがかりだぁ」
6歳と同レベルで言い合う枢機卿の姿を見て、神殿の者達はどう思っただろうか?
騒ぎを聞きつけた僧兵によって、再び捕らえられたロッテンには、知る術は無かった。
0
あなたにおすすめの小説
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!
雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。
ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。
観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中…
ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。
それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。
帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく…
さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる