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第二章 神殿の魔王、魔塔の賢者
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「なんだ、坊主?勝手に厨房に入るんじゃない!それに今、おっちゃん達は真剣な話をしてんだ、あっち行ってろ」
料理長はしっしっとロッテンに手を振ったが、ロッテンは怯まずに女性に話しかける。
「あの、オレの魔法なら、熟成期間を早められる、かもだよ」
「魔法でどうやってやるってんだよ、ほら、バカ言ってないで大人しく…」
「まあまあ、料理長さん。あの子ならできるかもですよ?」
今にもロッテンをつまみ出そうとする料理長の肩に手をかけて、サルエルはそれを静止する。
「本当かい?うちはチーズが無くなって困ってるのよ、明日からどうやって食べていこうかってね。本当に熟成期間が短くできるの?」
全く信じてない様子の料理長とは裏腹に、酪農家の女性は目を輝かせた。
「多分、できると思うんだ」
ロッテンのこの自信には裏付けが有った。
かつて過ごしたヒスピリアの教会で、色々なものを腐らせてスキルを調べていた時に、牛乳でも試してみたのだ。
スキル「腐敗」ではものの見事に悪臭を放つ腐った牛乳になったが、スキル「腐食」では、なぜだかヨーグルトみたいな物が出来た。
だから、腐食を使えばいいと思ったのだ。
失敗すれば、また一からチーズを仕込み直さなければならない事態になるが、それは伏せておいた。
「じゃあ、明日の朝一番に、ここに迎えに来るからね!」
女性は足取り軽やかに帰っていった。
翌日、ギルド内の宿泊所に留まっていたロッテンをミリィが叩き起こしにきた。
「ロッテン、マーヤさんが迎えに来ましたよ!」
「マーヤさん?」
ボケっとした目を擦りながら、ベッドを出て、扉を開けた。
「なんでも、昨日、マーヤさんを助ける約束をしたと言っていましたよ?」
「えー?あっ!チーズの?」
思考回路がようやく繋がって、ピンと来たと同時に、目も覚めた。
「本当に朝一番、酪農家の朝は早いんだなぁ」
夜明けの鐘の音とともに家を出たらしい、まだ空はうっすらと白い。
「なーにー?まだ眠いよー」
二人の会話に目を覚ました様子で、サルエルがベッドの上で上体を起こすのが見えた。
「昨日のチーズの人、もう迎えにきたんだって」
「ああ、そうなの。切羽詰まってるんだろうね、じゃあ、用意してすぐ行こうか」
ふわぁあっとアクビをして、腹を掻きながらサルエルは立ち上がる。
ミリィが「きゃっ」と言って、赤らんだ顔で視線を外した。
前のボタンを2個も開けた、だらし無いサルエルの姿にロッテンはギョッとした。
「ちゃんと服着ろよ、だらしないなぁっ!」
「なんだよー、昨日はオネショの6歳児には言われたくないなー」
「いいから、急いで!マーヤさん待ってるんですよ!」
なんとか身支度を済ませてマーヤの前に姿を表すと、パッと顔を上げてマーヤはロッテンを抱き上げた。
「さあ、いこうね。頼んだよ!」
「わわっ?!分かった、行くよ。自分で歩けるから降ろしてくれよ」
意外な力強さで持ち上げられ、驚いたやら、照れ臭いやら、ロッテンはバタバタと足を動かした。
「せっかく抱えてやろうと思ったのにねえ。まあいいさ、こっちだよ。連れのアンタも一緒に来るのかい?」
「ああ一応、保護者なんで、邪魔かもしれないけどよろしく」
「一人招くも二人も変わらないさ」
マーヤはとても気さくで、きっぷのいい女性だった。
道中、子供が2人いて、二人とも女の子だと言うことや、亭主が弱気で困っている話、でも、家族仲が良いということなど話してくれた。
歩き続けてロッテンの足が疲れてきた頃、市街地から抜けて平原が広がっていた。
ポツンとある木製の家と牛舎、所々に牛が草を食んでいる。
牧羊犬が走り寄って、マーヤの側で尻尾を千切れんばかりに振るった。
「さあ、到着したよ!あの小屋がチーズの作成場と保管庫だ」
料理長はしっしっとロッテンに手を振ったが、ロッテンは怯まずに女性に話しかける。
「あの、オレの魔法なら、熟成期間を早められる、かもだよ」
「魔法でどうやってやるってんだよ、ほら、バカ言ってないで大人しく…」
「まあまあ、料理長さん。あの子ならできるかもですよ?」
今にもロッテンをつまみ出そうとする料理長の肩に手をかけて、サルエルはそれを静止する。
「本当かい?うちはチーズが無くなって困ってるのよ、明日からどうやって食べていこうかってね。本当に熟成期間が短くできるの?」
全く信じてない様子の料理長とは裏腹に、酪農家の女性は目を輝かせた。
「多分、できると思うんだ」
ロッテンのこの自信には裏付けが有った。
かつて過ごしたヒスピリアの教会で、色々なものを腐らせてスキルを調べていた時に、牛乳でも試してみたのだ。
スキル「腐敗」ではものの見事に悪臭を放つ腐った牛乳になったが、スキル「腐食」では、なぜだかヨーグルトみたいな物が出来た。
だから、腐食を使えばいいと思ったのだ。
失敗すれば、また一からチーズを仕込み直さなければならない事態になるが、それは伏せておいた。
「じゃあ、明日の朝一番に、ここに迎えに来るからね!」
女性は足取り軽やかに帰っていった。
翌日、ギルド内の宿泊所に留まっていたロッテンをミリィが叩き起こしにきた。
「ロッテン、マーヤさんが迎えに来ましたよ!」
「マーヤさん?」
ボケっとした目を擦りながら、ベッドを出て、扉を開けた。
「なんでも、昨日、マーヤさんを助ける約束をしたと言っていましたよ?」
「えー?あっ!チーズの?」
思考回路がようやく繋がって、ピンと来たと同時に、目も覚めた。
「本当に朝一番、酪農家の朝は早いんだなぁ」
夜明けの鐘の音とともに家を出たらしい、まだ空はうっすらと白い。
「なーにー?まだ眠いよー」
二人の会話に目を覚ました様子で、サルエルがベッドの上で上体を起こすのが見えた。
「昨日のチーズの人、もう迎えにきたんだって」
「ああ、そうなの。切羽詰まってるんだろうね、じゃあ、用意してすぐ行こうか」
ふわぁあっとアクビをして、腹を掻きながらサルエルは立ち上がる。
ミリィが「きゃっ」と言って、赤らんだ顔で視線を外した。
前のボタンを2個も開けた、だらし無いサルエルの姿にロッテンはギョッとした。
「ちゃんと服着ろよ、だらしないなぁっ!」
「なんだよー、昨日はオネショの6歳児には言われたくないなー」
「いいから、急いで!マーヤさん待ってるんですよ!」
なんとか身支度を済ませてマーヤの前に姿を表すと、パッと顔を上げてマーヤはロッテンを抱き上げた。
「さあ、いこうね。頼んだよ!」
「わわっ?!分かった、行くよ。自分で歩けるから降ろしてくれよ」
意外な力強さで持ち上げられ、驚いたやら、照れ臭いやら、ロッテンはバタバタと足を動かした。
「せっかく抱えてやろうと思ったのにねえ。まあいいさ、こっちだよ。連れのアンタも一緒に来るのかい?」
「ああ一応、保護者なんで、邪魔かもしれないけどよろしく」
「一人招くも二人も変わらないさ」
マーヤはとても気さくで、きっぷのいい女性だった。
道中、子供が2人いて、二人とも女の子だと言うことや、亭主が弱気で困っている話、でも、家族仲が良いということなど話してくれた。
歩き続けてロッテンの足が疲れてきた頃、市街地から抜けて平原が広がっていた。
ポツンとある木製の家と牛舎、所々に牛が草を食んでいる。
牧羊犬が走り寄って、マーヤの側で尻尾を千切れんばかりに振るった。
「さあ、到着したよ!あの小屋がチーズの作成場と保管庫だ」
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