8 / 60
第二章 友達トリオ
3
しおりを挟む
クーラーの効いているリビングに入ると、畳の優しい匂いは無くなったけれど、暑さを忘れて心地いい。
キカくんは一人がけの座椅子に座ってテレビ前を陣取る。アオイくんはテーブルの奥に座ってきちんと揃えた膝に手を置き、目の前に出されたデザートグラスの中のバニラアイスに目を輝かせている。
ハヅキくんは、そんなアオイくんの前の席に座るように和子さんに言われて、「どうも」と小さく会釈をしてから席についた。
「ミナちゃんも座って」
流れ的に、ハヅキくんのところにいた和子さんが、すぐ隣の椅子を引いてくれて、あたしはハヅキくんの隣に座ることになった。なんとなく、話しかけづらい雰囲気をしているハヅキくん。チラリと横顔を一瞬だけ見て、斜め前のアオイくんへと視線を移した。
「めっちゃおいしいよー!」
満面の笑みで笑いかけてくるアオイくんには、あたしも自然と笑顔になれる。
「なぁ、今日はどこいく?」
バニラアイスを食べながら、後ろ向きのままキカくんがこちらに話しかけてきた。
「暑いから五右衛門公園行こうよー、あそこで水かけ合いっこしよー」
「濡れるから却下」
「は!? それが気持ちいんじゃん!」
「着替えるのめんどい」
「そんなん遊んでれば乾くだろ! ねぇ、ミナちゃんは? 公園に水が流れてる場所があるんだけど、めっちゃ気持ちいいんだよ。行こうよ!」
三人で行くのかと思って、ただ会話を聞いていたあたしは、突然自分に問いかけられて驚いて言葉が出ない。
「無反応ー。はい、却下」
「なんだよー! じゃあどこいくよ?」
「このままここでゲーム三昧と行きたいとこだけど、せっかくだからあそこ行ってみる?」
振り向いたキカくんがニヤリと笑う。
もう家の中にいることが限界だったのかもしれない。すぐにアオイくんは立ち上がって、「ごちそうさまでしたー!」と、走り出す勢いで外に飛び出して行った。
ハヅキくんものんびり立ち上がって、「ごちそうさまでした」とアオイくんと自分の食べ終わったデザートグラスを寄せると、そのまま玄関に向かった。
「ほら、ミナも行こうぜ」
「……え!」
ハヅキくんを追いかけるように行ってしまうキカくんの後ろ姿に、「ご、ごちそうさまでしたっ」と、あたしはあわてて立ち上がった。
キカくんは一人がけの座椅子に座ってテレビ前を陣取る。アオイくんはテーブルの奥に座ってきちんと揃えた膝に手を置き、目の前に出されたデザートグラスの中のバニラアイスに目を輝かせている。
ハヅキくんは、そんなアオイくんの前の席に座るように和子さんに言われて、「どうも」と小さく会釈をしてから席についた。
「ミナちゃんも座って」
流れ的に、ハヅキくんのところにいた和子さんが、すぐ隣の椅子を引いてくれて、あたしはハヅキくんの隣に座ることになった。なんとなく、話しかけづらい雰囲気をしているハヅキくん。チラリと横顔を一瞬だけ見て、斜め前のアオイくんへと視線を移した。
「めっちゃおいしいよー!」
満面の笑みで笑いかけてくるアオイくんには、あたしも自然と笑顔になれる。
「なぁ、今日はどこいく?」
バニラアイスを食べながら、後ろ向きのままキカくんがこちらに話しかけてきた。
「暑いから五右衛門公園行こうよー、あそこで水かけ合いっこしよー」
「濡れるから却下」
「は!? それが気持ちいんじゃん!」
「着替えるのめんどい」
「そんなん遊んでれば乾くだろ! ねぇ、ミナちゃんは? 公園に水が流れてる場所があるんだけど、めっちゃ気持ちいいんだよ。行こうよ!」
三人で行くのかと思って、ただ会話を聞いていたあたしは、突然自分に問いかけられて驚いて言葉が出ない。
「無反応ー。はい、却下」
「なんだよー! じゃあどこいくよ?」
「このままここでゲーム三昧と行きたいとこだけど、せっかくだからあそこ行ってみる?」
振り向いたキカくんがニヤリと笑う。
もう家の中にいることが限界だったのかもしれない。すぐにアオイくんは立ち上がって、「ごちそうさまでしたー!」と、走り出す勢いで外に飛び出して行った。
ハヅキくんものんびり立ち上がって、「ごちそうさまでした」とアオイくんと自分の食べ終わったデザートグラスを寄せると、そのまま玄関に向かった。
「ほら、ミナも行こうぜ」
「……え!」
ハヅキくんを追いかけるように行ってしまうキカくんの後ろ姿に、「ご、ごちそうさまでしたっ」と、あたしはあわてて立ち上がった。
12
あなたにおすすめの小説
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
未来スコープ ―キスした相手がわからないって、どういうこと!?―
米田悠由
児童書・童話
「あのね、すごいもの見つけちゃったの!」
平凡な女子高生・月島彩奈が偶然手にした謎の道具「未来スコープ」。
それは、未来を“見る”だけでなく、“課題を通して導く”装置だった。
恋の予感、見知らぬ男子とのキス、そして次々に提示される不可解な課題──
彩奈は、未来スコープを通して、自分の運命に深く関わる人物と出会っていく。
未来スコープが映し出すのは、甘いだけではない未来。
誰かを想う気持ち、誰かに選ばれない痛み、そしてそれでも誰かを支えたいという願い。
夢と現実が交錯する中で、彩奈は「自分の気持ちを信じること」の意味を知っていく。
この物語は、恋と選択、そしてすれ違う想いの中で、自分の軸を見つけていく少女たちの記録です。
感情の揺らぎと、未来への確信が交錯するSFラブストーリー、シリーズ第2作。
読後、きっと「誰かを想うとはどういうことか」を考えたくなる一冊です。
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる