こと×はる

織姫みかん

文字の大きさ
3 / 14

第3話 9月19日 その2

しおりを挟む
 ――阿澄琴音あすみことね

 俺の“姉”で親父の再婚相手、玲香さんの娘の名前。姓が違うのは二人がまだ籍を入れていないから。俺たちが卒業するまでは籍を入れないと決めたらしい。
 たれ目で黙っていれば可愛い “姉”は俺と誕生日が一日しか違わない。あいつが12月1日で俺が2日。
 たった1日しか違わないのに「先に生まれた」からという理由で俺が弟になった。同い年なのだからどちらかと言えば双子に近い関係だと思うし、同居して一年以上経つ今でもこの関係性には違和感しかない。
「よっ、ハル! おはよ」
 改札を通り、ホームへ続く階段に差し掛かったところで背後から聞きなれた声が聞こえ、振り返ると腐れ縁ともいる親友の姿があった。
 「琴音ちゃんは?」
 親友に会った直後にそれかよ。
「ついさっきホームに降りて行った。てか琴音ちゃん言うな」
「そっかぁ。残念」
「話を聞け。そう思うなら“弟”代わるか? 歓迎するぞ。学校は当然、家でもずっと一緒だ」
「うーん、ずっと一緒かー」
「ん? あれ?」
 冗談半分で言ったつもりだったが彰仁は本気で悩みだした。確かに琴音の事になると何かと絡んでくるが真に受けられると正直困る。
(こいつ、もしかして琴音の事……)
 きっとそんな心の声が表情に現れていたのだろう。アキがニヤッと不敵な笑みを見せた。
「ハル~。琴音ちゃん盗られたら困るのか?」
「べ、別にそんな事ねぇよ」
「うそつけ。でも安心しろ。いくら何でも琴音ちゃんを横取りするとか、そんなつもりはねぇよ」
「A定食+ジュース1本な」
「ちょっ、A定はやめてくれ。悪かったって。で、今日もいつも通り?」
「ああ。あいつが出てからきっちり60秒数えさせていただきました」
「そりゃ朝からご苦労様。でもさ、時間差付けても電車が同じなら意味なくね?」
「同じこと、本人を前に言えるか?」
 指摘したところで「じゃあ1本ずらして」と言われるのが目に浮かぶ。
 それに、仮に列車をずらしたとしても最終的には同じ学校に辿り着くわけだし、教室だって同じだ。どちらかが転校でもしない限り通学方法をいくら変えようと意味がないのだ。
「もう一年経つんだっけ?」
「そうだな。早いよなぁ」
「親父さんが再婚するって聞いた時は驚いたけどさ、決まってからはほんと早かったな。それにしてもさ?」
「ん?」
「再婚相手の娘が同じ学校だなんて変な偶然だよな。てか世間狭すぎるだろ」
「頼むから他に言うなよ。この事、おまえにしか言ってないんだからな」
「わかってるって。親父さん同居するまで何も言わなかったんだっけ」
「一応は聞いてた。けど歳聞いてなかったし、クラス替えの事も頭になかった」
「そりゃハルが悪いな」
「だよなー」
 そう。再婚相手――玲香さんの娘が同じ高校にいる事は聞いていた。けど同じ学年だとは思ってなかった。いや、同い年だと知ったら再婚に反対されると思って黙ったいたのか?
「一年の時はクラスが違ったから良いけどさ、今年はなんで同じクラスなんだよ」
「そりゃアレだな。学校の陰謀ってやつ」
「だったら訴えてやるさ」
「まぁまぁ、そこは穏便に済まそうぜ。そういえば、今日だっけ。ハチポチの新作解禁日」
「チョコ増しエクレ……そういう事か」
「琴音ちゃんに聞かれたんだよ。新作とか出ないかなって」
「あいつ甘いもの好きだからなぁ。つーか、なんで俺じゃなくておまえに聞くんだよ」
「妬いてる?」
「そうか。そんなにか。ならクッキーと一緒にオーブンへ入れてやろうか?」
「冗談だって。お菓子好きなら琴音ちゃんもバイトすれば良いのに。ハルんとこ募集してたよな」
「バイトまで一緒なんてこっちから願い下げだ」
「ほんとは嬉しいくせに。あ、琴音ちゃん、先頭に乗ったな。一緒に乗る?」
「おまえ、ストーカーか何か」
「まさか。強いて言うなら――」
「言うなら?」
「二人の保護者的な?」
 意味わかんねぇ。なんでこいつと親友なんだろう。親友だと思って親の再婚とか突然できた“自称”姉の話とかしたけど、黙っていれば良かったとつくづく思う今日この頃。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

【朗報】俺をこっぴどく振った幼馴染がレンカノしてたので2時間15,000円でレンタルしてみました

田中又雄
恋愛
俺には幼稚園の頃からの幼馴染がいた。 しかし、高校進学にあたり、別々の高校に行くことになったため、中学卒業のタイミングで思い切って告白してみた。 だが、返ってきたのは…「はぁ!?誰があんたみたいなのと付き合うのよ!」という酷い言葉だった。 それからは家は近所だったが、それからは一度も話をすることもなく、高校を卒業して、俺たちは同じ大学に行くことになった。 そんなある日、とある噂を聞いた。 どうやら、あいつがレンタル彼女なるものを始めたとか…。 気持ち悪いと思いながらも俺は予約を入れるのであった。 そうして、デート当日。 待ち合わせ場所に着くと、後ろから彼女がやってきた。 「あ、ごめんね!待たせちゃっ…た…よ…ね」と、どんどんと顔が青ざめる。 「…待ってないよ。マイハニー」 「なっ…!?なんであんたが…!ばっかじゃないの!?」 「あんた…?何を言っているんだい?彼女が彼氏にあんたとか言わないよね?」 「頭おかしいんじゃないの…」 そうして、ドン引きする幼馴染と俺は初デートをするのだった。

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編7が完結しました!(2026.1.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

処理中です...