朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

※お礼と初夜の準備※③(東弥side)

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首筋、鎖骨、胸…。

絹のように白く滑らかな肌に上から順番に口づけを落としていく。

静留の身体を見たのは温泉旅行以来だろうか。

少なくとも自分に性的な感情を許して彼の身体を見るのはこれが初めてで、自分の愛した存在がどれだけ美しいのかを改めて思い知った。

猫のような瞳は艶っぽく潤み、頬は薄紅に染まって。

東弥の唇が身体に触れるたび半開きになった淡い唇からあえかな声が漏れ、華奢な身体がくすぐったそうに身を捩る。

東弥の身体に自由が効かず満足に触れることができない間にますます彼は色を帯びて綺麗になった。

東弥が覆いかぶさった身体を少しずつ下に移動すると、その隙を縫うように静留の身体が上にずれていく。

「静留、身体上に逃げちゃってる。Stayじっとして. 」

彼の頭がヘッドボードにぶつかりはしないか、シーツに擦れてその白い肌に傷が付いてはしまわないかと不安になり、東弥はcommandを放った。

濡羽色の瞳が収縮し、細い身体がぴくりと跳ねたあとで動きを止める。

そのまま腹部、鳩尾まで唇を重ね、屹立している彼の中心を暴くために下着に手をかけたとき、彼の身体が不自然に跳ね、東弥の手を拒むように横に逸れた。

怖がらせてしまっただろうかと不安になり手を止めた東弥の視線の先で、涙目の静留が口を開く。

「…いま、…おおきくなって、る…から…。…あの、ね、…はずかしっ……んんっ…!」

__全くこの子は…。

怖がられていないことを安堵するとともにこれ以上は耐えられないと思った東弥は、無自覚に男を煽る艶やかな唇を塞ぎ、もう一度彼の身体を組み敷き直した。今度は逃げられないように、弱い力で手首を掴みベッドに縫い止めながら。

大きな目が驚いたようにぱちぱちと瞬く。

どうして、と訴える表情はひどくあどけない。

「…恥ずかしいことをしてるんだよ。これからもっと恥ずかしくする。やめたい?」

唇を離し、言い聞かせる。

彼は何かを考えるようにしばらく視線を泳がせたあと、再び東弥に向き直り、首を横に振った。

「いい子。そのままじっとしていてね。」

もう一度下着に手をかけ下肢を暴けば屹立した彼の中心が晒される。

殆ど触れられることのないその部分は何かの細工のように滑らかで美しい。

「ここで気持ちよくなれたら、今日はおしまいにしようか。」

「ぁっ… 」

東弥がそこに指を触れると、静留は小さな喘ぎ声とともにまたぴくりと身体を震わせた。

しかしそのあと何かに気づいたように口を開いて。

「…東弥さんも、おおきい…。」

と、幼い口調で呟いた。

「…っ!!」

いったいどこでそんな煽り文句を覚えたのだろうか。

つい最近まで性行為すら知らなかったはずなのに。

静留はじっと東弥の瞳を見つめ、それから続ける。

「…僕だけきもちいの、いや…。…いっしょにしあわせになるもの、だよね…?」

東弥はその言葉に驚き、でも確かにそうだと思った。

これを性交渉の準備と考えるのであれば一方的に快楽を与えるだけでは少し違うかもしれない。

それになにより、静留が自分と一緒に快楽を得たいと望んだことはたまらなく幸せで、彼のその感情を無駄にしたくないと思う。

「…じゃあ、…静留のここと俺のここ、一緒に気持ちよくしてもいいかな?」

尋ねると静留は心底幸せそうに目を細め、世界一愛らしい笑顔で頷いた。








「静留、おいで。」

足を伸ばしてベッドに座り静留の方に手を伸ばせば、彼は一目散に東弥の膝の上に乗り背中に手を回し抱きついてきた。

先ほどまでの恥じらいが嘘のように無邪気なその行動が愛おしい。

起き上がったことで捲り上げられていたシャツがすとんと落ち彼の白い上半身を隠す。

その一方で裾から覗く柔らかな太腿は無防備に晒されており、東弥の情欲を刺激するのにはもうそれで十分だった。

自身の下を寛げ中心を取り出す。

自分より一回り小さな静留のそこと自分のそれを重ね合わせると、静留は再び顔を真っ赤にして東弥の肩に顔を埋めた。

今日はこれ以上何かさせるつもりはなかったのに、耐えきれずその先の反応を望んでしまう。

「静留。」

いったん熱から手を離し、静留の肩に両手 を添え、伏せられたその顔をこちらに向けさせる。

「静留も一緒にしよう。」

言い聞かせながら乱れた長い髪を丁寧に耳にかけてやれば、彼は依然として頬を赤く染めながらも不思議そうに首を傾げた。

きっと意味がわかっていないのだろう。

彼の手は緊張のせいか固く握られており、東弥はその手を取ると、指を1本1本丁寧に開いてやった。

それからもう一度互いの中心を重ね、その上に静留の手を添えさせる。

「静留の手をこうして…。そう、上手。静留も俺を気持ちよくして。」

「…できる、かな…?…じょうずに…。」

静留は東弥の言葉を受け、不安そうに東弥をじっと見つめた。

その瞳で見つめられ、静留の手と雄が自分の雄に触れている。

それだけで東弥が達してしまいそうなほどに昂ることを、きっと彼はわかっていない。

「俺も一緒にするから心配しないで。」

静留の手の上から東弥も手を添えると、ひとまわり小さな静留の手はすっぽりと覆われる。

静留は無言で頷いて東弥に行動を委ねるように手から力を抜いた。

ひとまとめにゆっくりと、2人の熱を擦り上げていく。

「ぁっ…んっ… 」

静留が吐息まじりのあえかな声を漏らす。

その声と誰よりも美しい音を奏でる大切な手の感触に刺激され、身体中の熱がすでに屹立した中心に集まっていく。

ふと、静留の桜色の唇が何かを求めるように薄く開いた。

たまらずその唇に自らの唇を重ね、深くまで舌を侵入させ、全てを奪うように中を貪る。

互いの熱が同時に弾けるのに長くはかからなかった。

やがてシーツが白濁に染まり、静留が身体を弱く痙攣させたまま倒れるように東弥にもたれかかる。

「…しあわせ、だった…?」

余韻に浸りながらその背中をとんとんと叩いていくその中で、静留が小さく紡いだ。

あまりの愛おしさに胸が締め付けられ、東弥は彼の身体を抱く手に力を込める。

「うん。すごく。静留は?」

「ぼくも…。」

ふわりと笑ったその表情は柔らかい一方で艶やかで、いつか自分の理性が壊れてしまわないかと一握の不安を覚えながら東弥はもう一度彼の唇を奪った。
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