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第十六章 闇射す光
4-1 悲しき再会
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ビゼンテの街に一人残されたレインは、歓迎の宴に出席した後、眠れぬ夜を過ごし、朝を迎えていた。薄明かるい室内で、のんびりと窓の外の景色を眺める。
昨日の夕刻、ここを出て行った彼らはどうなったのだろう。邪神との決戦に赴いた彼らと再び合い見える事はないのかもしれない。いや、神子である彼らがそう簡単にやられるものか。
悶々と考えながら、段々と夜が明け始めている景色を見つめ続けていると、ものすごいスピードで駆けて来る四頭の馬がある事に気づく。
(帰ってきた!?)
間違いない、彼らだ。
(無事だったのか)
早朝の為、大概の者がまだ眠りの中にいるであろう街の人々に気づかれぬよう、ひっそりと邸に戻った彼らは、静かに邸内を抜け、レインのいる客室に戻って来た。
「今戻った、兄上」
先に扉を開けて入室してきたアルティスに帰還の挨拶をされ、レインは拍子抜けしたように頷く。
「あ、ああ、おかえり。早かったな」
ここを出て行く前と何ら変わらぬ姿で戻ってきた弟を見つめ、ほっと息を吐く。
「兄上、寝室を借りるね。時間がないんだ」
アルティスの後ろにいたローウェンは、砂にまみれたマントを脱ぐ時間さえ惜しいのか、一言、部屋の主である兄にそう告げると、部屋の奥に在る寝室の扉を開けた。
「時間……って?」
意味が分からず彼らの行動を見守っていると、すぐにジュリナとティアラが入室してくる。
「ローウェン、アルティス、カーテンをすべて閉めてくれ。すぐにだよ。ティアは寝室に明かりを用意しておくれ。そう、光石でね」
きびきびと年下の同胞達に指示を出すジュリナは、その場に呆然と立ち尽くしているレインに厳しい目を向けて言った。
「いいかい? 騒ぐんじゃないよ。頼むから」
「どういう事だ? ジュリナ姫、一体……」
その時、部屋の扉を開けて、今度はリュセルが入室して来る。
「フィールド神官査、すみませんが、誰も来ないように扉の前で見張りをお願いします」
「かしこまりました」
後ろにいるトリスラムに見張りを頼んだ後、リュセルは後ろにいるもう一人の為に扉を開けたまま、彼が中に入るのを待つ。両手が使えない為だ。レオンハルトの両手は横抱きで大きな荷物を抱えていた為、塞がれていた。マントに包まれたそれは、人のようである。
「…………」
レオンハルトは無言のままレインの前を横切ると、リュセルが開けた寝室へ続く扉を潜る。そして、奥に在る柔らかな寝台の上にそれを丁重に下ろした。
マントの下から現れたのは、瑞々しい少女の白い肌。熟れる前の果実を思わせる若い裸体。
紺色の長い髪がレオンハルトの腕に絡んでいる。
「マーリンッ!」
何も考えられず、咄嗟に彼女の元に駆け寄る。ずっと探していた少女なのだ。
「マーリンッ、一体……、一体、どうして!?」
その頬に触れ、温かな体温を感じたレインは、ほっと安堵すると同時に意味が分からずに困惑する。何故、自分が探し続けていた少女を、邪神を倒しに行った彼らが連れ帰って来るのだ?
「マーリン?」
抱き締めた少女の体は温かいが、何の反応もない。不思議に思ったレインがマーリンの顔を覗き込むと、光石の灯に照らされた彼女の瞳は虚ろで、何の感情も浮かんではいなかった。ただ、焦点の合わない目をぼんやりと前方に向けている。
「彼女は邪神の子を身籠っている」
静かな声でそう告げたレオンハルトの言葉の内容を、レインはすぐに理解する事が出来なかった。
「時間がない。ローウェン、アルティス、引き離してくれ」
リュセルの要請を受け、ローウェンとアルティスがレインを両脇から抱え、無理矢理にマーリンから離す。
「なッ、お前ら、どういうつもりだ!? マーリンをどうする気だッ!?」
アルティスはともかく、宝主としての力を持つローウェンに敵うはずもないレインは、抵抗も空しく寝台に上がったレオンハルトが後ろからマーリンの体を支えるのを見つめている事しか出来ない。
そこで気がついた。
寝台の上に両足を投げ出し、白い裸体を惜しげもなく晒す少女の腹が膨れている事に……。
「胎の子は、信じられない程早いスピードで成長しているぞ」
マーリンの向かいに座り込み、その腹に触れていたリュセルは、固く閉じていた目を開けてそう告げる。
「このままですと、後数日程で産まれてきてしまいますわ」
リュセルの隣から同じようにマーリンの胎を感知していたティアラは、段々と育っていく邪気の塊に恐怖を覚えた。
邪混鬼とは、このようにして産まれるのか。
「浄化出来るか?」
「やってみる」
兄の問いかけに頷いたリュセルは、再びマーリンの胎に片手をかざす。その瞬間、リュセルの額に神紋が浮かび、周囲を白銀の光が満たした。まだ産まれる前の邪混鬼を浄化すれば、この少女の命は助かるかもしれないのだ。
しかし
「……ッぁぁああああああああああああああッ」
白銀の浄化の光に包まれた途端、今まで大人しかったマーリンが激しくもがき、苦しみ始めた。
「いやぁああああああッ! ……むッんんんっ」
ジュリナが咄嗟にマーリンの口を片手で塞ぎ、悲鳴を封じる。
「マーリン、マーリン、マーリン! お前ら、止めろおおおおおおおおッ」
意味をまったく理解していないレインが、惚れた少女の悲鳴を聞いて怒りに身を震わせた。
「リュセル様。胎内の邪混鬼の気配が弱くなるどころか、浄化の力に抵抗して母体を苦しめているようですわ」
浄化の力を使うリュセルの隣で感知能力を使用し続けていたティアラは、そう言って緩く首を振る。
「くそっ、駄目か……」
マーリンの胎から手を離し、リュセルはそう呻いて項垂れた。
そうして白銀の光が治まると、苦悶の涙を流していたマーリンは、荒い息を吐きながらリュセルの手をとった。
「……ッ!?」
驚きに手を引っ込めようとしたリュセルの手の甲に舌を這わせ、彼女は夢見るような瞳でにっこりと無邪気に笑う。
「スノーデューク様、愛しいお父様……。ふふ、うふふふふふ」
壊れたように笑うマーリンの体をゆっくりと寝台の上に横たえると、レオンハルトはリュセルに確認した。
「このまま浄化する事は、不可能なのだね?」
「ああ、俺だけじゃない。誰がやっても同じだろう。胎内にいる間は無理だ。……産まれた後に浄化するしかない」
リュセルの言葉を聞き、レオンハルト以外の神子全員が驚いた。
邪神の子を産ませるというのか?
しかし、新たな邪混鬼の誕生を、邪気の浄化を担う女神の子供として見過ごす訳にはいかないのだ。
「それしか方法がないんだ」
女神の剣を使い、マーリンの体を邪神の子供ごと刺し貫けば、浄化は出来るかもしれない。でも、そのような酷い事、出来るはずがなかった。
「今まで出来そこないを含め、邪混鬼の母体となった少女達は、自分の中の生命力すべてを引き換えにして邪神の子を産み落としている」
リュセルはそう言いながら、固く両手を握りしめる。
「生き残った母体は一人もいない。……一人もだ」
それは、つまり…………。
寝台の上に横たわる紺色の髪の少女。邪神の子を孕んだ邪混鬼の母体。彼女に纏いつく死の影を感じたレインは、目の前が真っ暗になるのを感じていた。
その後、ジュリナとティアラは部屋に備え付けの浴室でマーリンの体を洗う事にし、レオンハルトとリュセルはレインに事情を説明する事にした。
混乱のあまり目を血走らせている兄を抑える為、テーブル席に着くレインの両脇には、ローウェンとアルティスが立つ。
数か月前に起きた、ヒューマンと呼ばれる反女神組織の女神の子供誘拐事件。
その事はレインも知っていた。マーリンとその保護者であった男、ワトスンがその一員で、アシェイラ、ディエラの両国に立ち入る事を禁止された事も。
しかし、マーリンが邪混鬼と呼ばれる邪神の子供の出来損ないであった事は知らなかった。
それもそのはず、これは女神の子供しか知りえない極秘の情報だ。この世界に、女神の子供と真逆の性質を持つ邪神の子供が存在するなどと、誰が予測し得ただろうか。
「あの時、確かにマーリンの中の邪気は浄化した。完全な邪混鬼ではなかった為、人の部分のみを残す事に成功し、女性に分化したのだろう」
そして、今までサンジェイラ国で平穏に暮らす事が出来ていた。リュセルはそう説明しながら、レインの目を真っ直ぐに見据え、残酷な事実を口にする。
「女性に分化したからこそ、邪混鬼の母体として選ばれてしまったのかもしれない。人間の女性で試すよりも、元々邪混鬼の素質を持っていた彼女なら、セフィランの次の邪神の器を孕む事の出来る可能性ははるかに高い」
それにしても
なんという運命のいたずらか。
「……リュセル王子」
レインは椅子から立ち上がると、テーブル越しにリュセルの手を取った。
「頼む、助けてくれ」
「…………」
リュセルが無反応なのを見て取ると、レインは立ち上がり、弟達の制止を振り切り、テーブルを回り込み、その場に土下座した。
「あの子を助けてくれ」
「……レイン殿」
「お願いします。あの子を、マーリンを助けて下さい」
額を床に擦り付けるようにして土下座するレインに真実を告げるのをためらったリュセルは、唇を噛み締めながら彼から視線をそらす。
昨日の夕刻、ここを出て行った彼らはどうなったのだろう。邪神との決戦に赴いた彼らと再び合い見える事はないのかもしれない。いや、神子である彼らがそう簡単にやられるものか。
悶々と考えながら、段々と夜が明け始めている景色を見つめ続けていると、ものすごいスピードで駆けて来る四頭の馬がある事に気づく。
(帰ってきた!?)
間違いない、彼らだ。
(無事だったのか)
早朝の為、大概の者がまだ眠りの中にいるであろう街の人々に気づかれぬよう、ひっそりと邸に戻った彼らは、静かに邸内を抜け、レインのいる客室に戻って来た。
「今戻った、兄上」
先に扉を開けて入室してきたアルティスに帰還の挨拶をされ、レインは拍子抜けしたように頷く。
「あ、ああ、おかえり。早かったな」
ここを出て行く前と何ら変わらぬ姿で戻ってきた弟を見つめ、ほっと息を吐く。
「兄上、寝室を借りるね。時間がないんだ」
アルティスの後ろにいたローウェンは、砂にまみれたマントを脱ぐ時間さえ惜しいのか、一言、部屋の主である兄にそう告げると、部屋の奥に在る寝室の扉を開けた。
「時間……って?」
意味が分からず彼らの行動を見守っていると、すぐにジュリナとティアラが入室してくる。
「ローウェン、アルティス、カーテンをすべて閉めてくれ。すぐにだよ。ティアは寝室に明かりを用意しておくれ。そう、光石でね」
きびきびと年下の同胞達に指示を出すジュリナは、その場に呆然と立ち尽くしているレインに厳しい目を向けて言った。
「いいかい? 騒ぐんじゃないよ。頼むから」
「どういう事だ? ジュリナ姫、一体……」
その時、部屋の扉を開けて、今度はリュセルが入室して来る。
「フィールド神官査、すみませんが、誰も来ないように扉の前で見張りをお願いします」
「かしこまりました」
後ろにいるトリスラムに見張りを頼んだ後、リュセルは後ろにいるもう一人の為に扉を開けたまま、彼が中に入るのを待つ。両手が使えない為だ。レオンハルトの両手は横抱きで大きな荷物を抱えていた為、塞がれていた。マントに包まれたそれは、人のようである。
「…………」
レオンハルトは無言のままレインの前を横切ると、リュセルが開けた寝室へ続く扉を潜る。そして、奥に在る柔らかな寝台の上にそれを丁重に下ろした。
マントの下から現れたのは、瑞々しい少女の白い肌。熟れる前の果実を思わせる若い裸体。
紺色の長い髪がレオンハルトの腕に絡んでいる。
「マーリンッ!」
何も考えられず、咄嗟に彼女の元に駆け寄る。ずっと探していた少女なのだ。
「マーリンッ、一体……、一体、どうして!?」
その頬に触れ、温かな体温を感じたレインは、ほっと安堵すると同時に意味が分からずに困惑する。何故、自分が探し続けていた少女を、邪神を倒しに行った彼らが連れ帰って来るのだ?
「マーリン?」
抱き締めた少女の体は温かいが、何の反応もない。不思議に思ったレインがマーリンの顔を覗き込むと、光石の灯に照らされた彼女の瞳は虚ろで、何の感情も浮かんではいなかった。ただ、焦点の合わない目をぼんやりと前方に向けている。
「彼女は邪神の子を身籠っている」
静かな声でそう告げたレオンハルトの言葉の内容を、レインはすぐに理解する事が出来なかった。
「時間がない。ローウェン、アルティス、引き離してくれ」
リュセルの要請を受け、ローウェンとアルティスがレインを両脇から抱え、無理矢理にマーリンから離す。
「なッ、お前ら、どういうつもりだ!? マーリンをどうする気だッ!?」
アルティスはともかく、宝主としての力を持つローウェンに敵うはずもないレインは、抵抗も空しく寝台に上がったレオンハルトが後ろからマーリンの体を支えるのを見つめている事しか出来ない。
そこで気がついた。
寝台の上に両足を投げ出し、白い裸体を惜しげもなく晒す少女の腹が膨れている事に……。
「胎の子は、信じられない程早いスピードで成長しているぞ」
マーリンの向かいに座り込み、その腹に触れていたリュセルは、固く閉じていた目を開けてそう告げる。
「このままですと、後数日程で産まれてきてしまいますわ」
リュセルの隣から同じようにマーリンの胎を感知していたティアラは、段々と育っていく邪気の塊に恐怖を覚えた。
邪混鬼とは、このようにして産まれるのか。
「浄化出来るか?」
「やってみる」
兄の問いかけに頷いたリュセルは、再びマーリンの胎に片手をかざす。その瞬間、リュセルの額に神紋が浮かび、周囲を白銀の光が満たした。まだ産まれる前の邪混鬼を浄化すれば、この少女の命は助かるかもしれないのだ。
しかし
「……ッぁぁああああああああああああああッ」
白銀の浄化の光に包まれた途端、今まで大人しかったマーリンが激しくもがき、苦しみ始めた。
「いやぁああああああッ! ……むッんんんっ」
ジュリナが咄嗟にマーリンの口を片手で塞ぎ、悲鳴を封じる。
「マーリン、マーリン、マーリン! お前ら、止めろおおおおおおおおッ」
意味をまったく理解していないレインが、惚れた少女の悲鳴を聞いて怒りに身を震わせた。
「リュセル様。胎内の邪混鬼の気配が弱くなるどころか、浄化の力に抵抗して母体を苦しめているようですわ」
浄化の力を使うリュセルの隣で感知能力を使用し続けていたティアラは、そう言って緩く首を振る。
「くそっ、駄目か……」
マーリンの胎から手を離し、リュセルはそう呻いて項垂れた。
そうして白銀の光が治まると、苦悶の涙を流していたマーリンは、荒い息を吐きながらリュセルの手をとった。
「……ッ!?」
驚きに手を引っ込めようとしたリュセルの手の甲に舌を這わせ、彼女は夢見るような瞳でにっこりと無邪気に笑う。
「スノーデューク様、愛しいお父様……。ふふ、うふふふふふ」
壊れたように笑うマーリンの体をゆっくりと寝台の上に横たえると、レオンハルトはリュセルに確認した。
「このまま浄化する事は、不可能なのだね?」
「ああ、俺だけじゃない。誰がやっても同じだろう。胎内にいる間は無理だ。……産まれた後に浄化するしかない」
リュセルの言葉を聞き、レオンハルト以外の神子全員が驚いた。
邪神の子を産ませるというのか?
しかし、新たな邪混鬼の誕生を、邪気の浄化を担う女神の子供として見過ごす訳にはいかないのだ。
「それしか方法がないんだ」
女神の剣を使い、マーリンの体を邪神の子供ごと刺し貫けば、浄化は出来るかもしれない。でも、そのような酷い事、出来るはずがなかった。
「今まで出来そこないを含め、邪混鬼の母体となった少女達は、自分の中の生命力すべてを引き換えにして邪神の子を産み落としている」
リュセルはそう言いながら、固く両手を握りしめる。
「生き残った母体は一人もいない。……一人もだ」
それは、つまり…………。
寝台の上に横たわる紺色の髪の少女。邪神の子を孕んだ邪混鬼の母体。彼女に纏いつく死の影を感じたレインは、目の前が真っ暗になるのを感じていた。
その後、ジュリナとティアラは部屋に備え付けの浴室でマーリンの体を洗う事にし、レオンハルトとリュセルはレインに事情を説明する事にした。
混乱のあまり目を血走らせている兄を抑える為、テーブル席に着くレインの両脇には、ローウェンとアルティスが立つ。
数か月前に起きた、ヒューマンと呼ばれる反女神組織の女神の子供誘拐事件。
その事はレインも知っていた。マーリンとその保護者であった男、ワトスンがその一員で、アシェイラ、ディエラの両国に立ち入る事を禁止された事も。
しかし、マーリンが邪混鬼と呼ばれる邪神の子供の出来損ないであった事は知らなかった。
それもそのはず、これは女神の子供しか知りえない極秘の情報だ。この世界に、女神の子供と真逆の性質を持つ邪神の子供が存在するなどと、誰が予測し得ただろうか。
「あの時、確かにマーリンの中の邪気は浄化した。完全な邪混鬼ではなかった為、人の部分のみを残す事に成功し、女性に分化したのだろう」
そして、今までサンジェイラ国で平穏に暮らす事が出来ていた。リュセルはそう説明しながら、レインの目を真っ直ぐに見据え、残酷な事実を口にする。
「女性に分化したからこそ、邪混鬼の母体として選ばれてしまったのかもしれない。人間の女性で試すよりも、元々邪混鬼の素質を持っていた彼女なら、セフィランの次の邪神の器を孕む事の出来る可能性ははるかに高い」
それにしても
なんという運命のいたずらか。
「……リュセル王子」
レインは椅子から立ち上がると、テーブル越しにリュセルの手を取った。
「頼む、助けてくれ」
「…………」
リュセルが無反応なのを見て取ると、レインは立ち上がり、弟達の制止を振り切り、テーブルを回り込み、その場に土下座した。
「あの子を助けてくれ」
「……レイン殿」
「お願いします。あの子を、マーリンを助けて下さい」
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