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第九章 怪盗イチゴミルク
3-1* 媚薬香
しおりを挟むガタッガタガタガタッ
寝室内を慌てて探るが、問題の媚薬香がまったく見つからない。
「っは……、このままでは、本気でまずい」
リュセルは媚薬香を見つけるのを諦めると、二度目だからか、効き目の遅いそれに内心安堵しつつ、鍵のかけられた扉を全力で叩いた。
「レオン! 開けてくれっ」
し~~~~~~ん
返事なし。
「このっ、鬼畜男! 冷徹兄! 女顔おおおおおっ!」
そう怒鳴ると、今度は窓に駆け寄り、そこから降りられる……訳もなく(ここは三階である)、とりあえず室内から香の香りを逃がそうと換気した。
そうして外の冷たい空気を吸うが、しかし、悲しいことに既に遅かったのだ。
「っく」
熱く疼き出した体。効き目が表れ始めたのが知れる。
そのままノロノロとした動作で寝台の上に倒れこみ、泣きたい気分で下衣の中に自分の手を忍ばせようとして動きを止めた。
ー自分の手を使うな。もし使ったら、許さぬー
兄の言葉が脳裏に蘇った。
(この事を言っていたのか)
え?では、あれですか?この、とんでもない高ぶりを我慢しろと?そういう事ですか???
もはやリュセルは、手の平が白くなる程シーツを強く握り締めながら、うつ伏せで丸くなり、香の効果がきれるのを待つしかない状態だ。だが、窓も開けているし、香りは外へ流れ、その内どこかで炊かれている香もなくなるだろうと思ってもいたのである。
しかし、現実はそんなに甘くはなかった。
あぁ……無常。
リュセルはレオンハルトに逆らった事を本気で後悔する事になるのである。
カチャ
それから数刻。レオンハルトは弟を閉じ込めていた寝室の扉を開いた。
最初は暴れていたようだが、大人しくなったようだ。寝台の上で丸くなっているリュセルの姿を認め、部屋の中に冷気が入り込んでいるのに気がつく。
「窓を開けたのか」
いくら温暖気候の国とはいえ、夜はそれなりに冷えるというのに……。
カタンッ
小さな音をたてて窓を閉めたレオンハルトは、長い胡桃色の髪をかき上げながら、こちらに背を向けて丸くなっているリュセルの傍に腰を下ろした。
「言いつけは守っただろうね?」
優しげなその声と共に弟の肩に手を触れる。
「っ!」
その刺激がたまらなかったのだろう、ビクンと震えた体をゆっくりと仰向けにした。
涙に潤んだ銀の瞳がレオンハルトの姿を映し出す。
「ふふ、つらいか?」
うっそりと妖しく微笑みながら、汗で濡れた弟の髪を撫でる。
「レオン……」
弱弱しく紡がれた声から普段の凛々しい王子の姿は想像出来ない。
「ん?」
どうした?と、わかっているくせにそう尋ね、熱く熟れきっている目の前の体を組み敷いた。グイッと弟の両足を開かせて、体を密着させる。
「ひぃっ」
衣服越しでも分かる高ぶりにレオンハルトはわざと布越しに自分のもので緩慢な刺激を与えながら、呆れたように呟いた。
「すごいな」
おそらく下衣の中はすごい事になっている事だろう。
ゆっくりと重ねた腰を動かすと、下に敷いた若い体は面白い位にビクビクと震えた。
「レオン、ぁあっ……たす…………助けてっ」
掠れた声を上げて助けを請うリュセルに優しく微笑むと、その耳元で低くささやく。
「では、私に言う事があるだろう?」
強い力で自分の腕にすがり付いてくる弟からわずかに身を離して尋ねる彼の姿は、まるで美しい魔王のようだった。
「ご、ごめんなさいっ」
「もう、しませんは?」
「もう、しませんっ」
「いい子だ。その言葉、今度こそ忘れるんじゃないよ」
自分の言葉を荒い息をつきながら繰り返すリュセルを見下ろして、やっと満足そうに微笑むと、目の前の熱い体を味わう為に体を密着させて、半開きに開かれた弟の唇を荒々しく塞いだ。
「ふっ、んんんっ」
待ちわびたその感触に、リュセルはレオンハルトの背に腕を回し、強くすがり付きながら、自分から体を摺り寄せる。あまりにも長い時間待ち焦がれた口づけは、気が狂ってしまうかと思われる程、熱く激しかった。
それ故に……。
「っ……!」
甘く絡んだ舌を吸われた瞬間、リュセルの体が一瞬強張った。
衝撃に息を荒くする弟から顔を離し、呆然としている月の美貌を覗き込んだレオンハルトは、睫毛が触れる程近くで妖しくささやく。
「口を合わせただけで達してしまったのか、お前は」
そして、そのまま、乱れた弟の上着を寛げて、さらされたその首筋に強く吸い付いた。
「いっ」
その刺激に、忘我の境地だったリュセルの意識が再び戻ってくる。
間髪入れずにまたしても熱を持ち出した自分の欲望。リュセルは泣きそうに顔を歪ませると、本格的に動き出した兄の愛撫の手に身を委ねるしかなかった。それどころか、大胆に脚を広げさえした。
媚薬香の焚かれた室内に放置され、焦らされ疼く体は、持ち主の意思に関係なく刺激が欲しくてたまらなかったのである。
「は、はぁ、はぁ……頼むか……ら、ッして、……お願っ」
「…………」
「……はっ、んっ、レオン……して、触って……ッ」
リュセルの懇願を黙って聞いていたレオンハルトは、濡れそぼっていた弟の下衣を脱がし、既に蜜にまみれていたそれを握り込む。クチュリという卑猥な水音が響く。
「は……ッん……、あ、あ、っぁああ……ッ」
手慣れた動きに翻弄され、もうどうする事も出来ない。リュセルはただ、泣きながら兄の背に爪をたてていた。
「くくく……。こんなによがっていては、仕置きにならんな」
そんな小さな笑い声と共に、弄られていた下肢から手を退かれる。
「や、やぁッ」
代わりに肌蹴られた上衣から覗く胸の突起に口づけられ、ねっとりと舐め上げられた。
「その内に、ここだけで達けるようになれるといいね」
そんな恐ろしい台詞を聞きながら、焦らされる。レオンハルトの長い指が体中を這い、舌先に、それこそ足の裏まで舐め啜られ、しかし、一番刺激が欲しい場所には何も与えてもらえない。
それが仕置きだと分からせるように、執拗な程焦らされるのだ。
「ひ、ぃッ、や、やぁ、……イかせて、許して……ッ」
リュセルの嗜虐性を誘うような様を見つめていたレオンハルトの瞳は、いつしか金色に色を変化させていた。
「仕方のない子だ」
そう言って目を細めると、レオンハルトは再び弟の口を塞ぐ。
始めに受けたものと違い、ねっとりと、まるで口内を味わうように舌を絡め、吸われる。リュセルはその口づけに夢中になりながら、衣服越しの兄のものに擦られて、たやすく達する。
またしても、ささいな接触のみで達してしまった事になるリュセルは、唇を貪られながらもレオンハルトに求められるがまま脚を広げ、後腔に触れてくる指の感触を感じていた。そうして、今度は後腔を弄られ、焦らされるのだ。
「あ、あ、っ……あッ」
媚薬香の影響もあり、ヒクついて疼くそこは、レオンハルトの指をはしたない程貪欲に食む。それなのに、与えられるのは緩慢な刺激のみ。
自分からレオンハルトが欲しいと言うまで、それは続けられた。
欲しい。
挿れて。
お願い。
散々それを繰り返した後、ようやく膝を割られ、既に熟れきっていた後腔に兄自身を宛がわれる。
「ぁ……あ……、あ、あ」
期待に戦慄く体を宥めるように撫でられ、いつも以上に焦らされた身に兄のものが入り込んでくる頃には、もう自分の体は異物であるはずのその存在に歓喜していた。
「あ、あっ……ぁあんッ、レオ……、レオンっ、ぁああ、動いてッ」
弟の内の熱さ、狭さにレオンハルトが吐息をついた瞬間、間髪入れずにリュセルの先を促す声が響く。
「はいはい」
わずかに苦笑を孕ませた声で応じると、弟が望むままに激しくその身を突き上げる。
「あっ……、あっあ、あ、あぁ……、ぁあんッ、ぁあああ」
そのあまりに淫らな腰の動きに、リュセルは悶え泣いた。
「次はどうして欲しいんだ? お姫様」
こんな時にまで、深窓の姫君の件を引きずって問いかけるレオンハルトは、実は結構執念深い男だった。
しかし、それ所ではない状態の(当たり前だ)リュセルは、兄の腰に甘く両足を絡ませながら答える。
「出してッ……、中に……」
ささやくような小さな声を聞いたレオンハルトは小さく笑った。
「ふっ、淫乱な子だ」
しかし、そう言いながらも、若い体を長い時間をかけて味わいつくすように腰を動かし、突き上げ続ける。そして、その動きに合わせてリュセル自身を激しく扱いた。その下肢は、はしたない程に濡れていた。
そうして己が半身の体の淫らさを味わった後、レオンハルトは望まれた通りに、その奥にすべてを注ぎ込んだのだった。
「ッ!」
衝撃で達した弟の悲鳴は、口を塞ぐ事で封じて……。
お互い達した後もまだ足りずに、口づけを交わしあうと、リュセルがぼんやりとした声で呟いた。
「もっと」
その可愛らしいお願いに、レオンハルトは唇を弓なりに反らせると、弟の体をうつ伏せに裏返し腰を高く上げさせ、そのまま後ろから貫く。
「あ、ああああ~~~~っ」
両手でシーツを握りこみ悲鳴を上げたリュセルは、そのまま朝まで体位を変えながら何度も抱かれ、レオンハルトの底なしの体力の前に撃沈する事となる。
最後には、自身から零れ落ちる蜜がなくなった程だ。
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