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第九章 怪盗イチゴミルク
6-1 銀の拘束具
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「…………………………分かった」
己の騎士達の訴えを黙って聞いていたレオンハルトは、不意に重々しい口調で頷いた。
(何が!?)
つい、ジュリナは心の中でつっこみを入れてしまう。
「殿下?」
ユージン達も、様子の変わった主を見てわずかに目を見張る。
「私が指揮をとろう」
静かに告げられた言葉。それを聞いたユージン達三騎士とティルは表情に希望の色をのせる。
半身である弟王子が連れさらわれ、気落ちしているようだった、元国王の参謀であり、騎士団前総帥のレオンハルトが、ようやくショックから立ち直り、リュセル救出の為に立ち上がった。……ように彼らの目には映った。
「父上達は、見ての通り、精神的疲労のあまり指揮をとれる状態にない。これから先、怪盗イチゴミルク捕獲の指揮は私がとるとすべての騎士に伝達しろ」
レオンハルトの頼もしい言葉に三騎士は一斉に敬礼をする。
「「「はっ」」」
部屋を出て行こうとしたユージンは、かすかに目を潤ませながらレオンハルトを励ました。
「それでこそ、殿下です」
「…………早く行け」
「はいっ」
そうして、三騎士とそんな彼らを手伝う為にティルが退室して行くと、ジュリナはあんぐりと開けていた口を閉じて、慌ててレオンハルトに詰め寄った。
「お前、何考えてるんだあああああっ!」
大きな叫び声が部屋中に響き渡り、クマ吉によってソファに寝かされ、体の上に毛布をかけられていたジェイドが、ゾンビ化を解く……ではなく、目を覚ます。
「リュ……、リュセル!?」
弱弱しい声を聞いたレオンハルトは、安心させるように優しくささやいた。
「大丈夫です、父上。安心してお休み下さい」
「うううううう~、リュセルが売り飛ばされて奴隷にされているかもしれないのに、眠ってなんていられないよ~」
(何故か妄想が増えてないか?)
ジュリナはジェイド王の妄想力のたくましさに少し感心してしまった。
「ううううう………………………………ぐ~」
少しの間メソメソしていたかと思ったら、意外とすぐにジェイド王は眠りにつく。
「兄上……」
その様子を見守っていたカイルーズが、目の下の隈を今までにない位に濃くしながら兄を呼んだ。
「お前も休みなさい。激務明けの上休みを取らずでは、いい案が浮かばなくて当然だろう?」
「でも」
「今の思考回路では、冷静な判断すらできまい」
尚も言いつのるカイルーズにそう言うと、すぐ下の弟は悔しそうに唇を噛み締めた後、小さく頷いた。
「そうだね」
*****
「お前、何考えてるんだよっ!」
父王とカイルーズを休ませる事に成功したレオンハルトは、城内の警備の見直し、怪盗イチゴミルクの探索及び捕獲作戦会議の指揮の為に自室を後にしようとして、ジュリナに呼び止められた。
「何がだ?」
不機嫌そうに、鑑賞に堪え過ぎる程麗しい美貌を向けてきたレオンハルトを真っ直ぐに見返し、ジュリナは言い返す。
「何がだ? じゃないだろうがっ! 怪盗イチゴミルクは何故かリュセルに入れ替わってるんだぞ。本当にあの子を追い詰めて、捕えるつもりかい!?」
はっきり言って、騎士団総帥時代、数々の武勇伝を残してきたこの男ならやりかねない。それこそ一つの退路も残さずに、獲物を追い詰めるだろう。それも完璧な程確実に、かつ優雅に……。
「そのつもりだが?」
何か文句でも?というような冷たい琥珀の瞳を向けられ、ジュリナは顔を引きつらせた。
”氷の王子”、リターンズ。懐かしい顔だな~っと思いながらも、怖いもの聞きたさで、ついジュリナは尋ねてしまった。
「ちなみに捕らえた後、どうするつもりなんだい?」
ジュリナの言葉を聞いたレオンハルトは、冷笑をその美貌に浮かべると答えた。
「そうだね。鎖にでも繋いで、一生寝室から出られないようにでもしてやろうか。私以外の目に触れないように、ずっとベッドにくくりつけてやろう」
「……………………」
あの~、はっきり言っていいですかい?私の今の本当の気持ちを……。
…………怖い。……マジで。
怖いもの知らずと謳われたジュリナを本気で怯えさせた初めての者、その名はレオンハルト。二つ名を”氷の王子”。鬼畜王の称号を持つ男。(持っていない)
口では笑っているのに目がまったく笑っていないという、壮絶なる微笑を浮かべているレオンハルトに、ジュリナはこれ以上何か言うのを止めた。
というか言えない。恐ろし過ぎて……。
「そうだね。あの髪の色に合うような銀の手枷と鎖を用意させようか。きっとよく似合うだろう……」
「………………」
それって、独り言ですか?独り言だよね!?
(私は何も聞いてないぞ。ああ、何も聞いてない)
ジュリナは身震いしながら、そう自分に言い聞かせる。
「手枷だけでなく、足枷もした方がいいだろうか」
「ど、どうだろうね。」
そう答えるのがやっとなジュリナだ。
「ふっ……、仕方ない、足枷も用意するか。手だけでなく、足の自由も奪わなくてはいけないからね」
(ひいいいいっ、怖いよ~、ティア~!)
ジュリナは心の中で自分の半身である妹に救いを求める。
「今日は忙しいな。急いで作らせないと」
そう呟きながら颯爽と自室を出て行った幼なじみを見送りながら、ジュリナはディエラ国に帰りたくなっていたのだった。
その日、アシェイラ城王室よりデコレート商会アシェイラ本店に、特注の銀の手枷と足枷及び付属の鎖が注文された。緊急の注文だった為、デコレート商会の本店店主及び、本店支店をまとめる総元締めは、老舗の意地をかけて職人を緊急収集し、美しい彫刻が掘られた銀の手枷足枷と、鎖を完成させたという。
その繊細な美しさを放つ拘束具は、夕方には城へと献上されたのだった。
銀の手枷及び足枷が城に献上された、ちょうどその頃、アシェイラ城へと偵察に行っていたハミルが宿に戻ってきた。
「大変です、ミルフィン様、リュセル王子っ!」
バターンッ
大きな音を立てて扉を開けたハミルは、次の瞬間、宿屋の室内で繰り広げられている光景を目にし、口を開きっぱなしにした。
「こうですわっ、リュセル王子殿下!」
「こうか?」
「そうです。腕のスナップをきかせて!」
何故か、ミルフィンとリュセルがノリノリで見た事もない奇妙な躍りを踊っていた。
「な、何してんですか」
ハミルが呆気にとられて呟くと、リュセルは踊るのを止めて、ミルフィンが渡したハンカチで額に浮かんだ汗を拭いた。
「黒猫ノンちゃんシリーズの次回公演予定の舞台では、観客も一緒になって踊る場面があるらしいんだ。それをミルフィン殿に教わっていた」
「ふふっ。まだ誰も知らない、シークレット情報なんですよ。リュセル王子殿下にだけ、特別に教えちゃうんです。きゃあっ」
そう言って、恥ずかしそうに顔を両手で覆ったミルフィンにリュセルは甘くささやいた。
「ありがとう、嬉しいよ」
「リュセル王子……」(うっとり)
そんな風に見つめ合う二人の間にしょうがなく割って入ると、ハミルは不満そうな顔をした主に、先程仕入れた情報を報告する。
「城の警備、王都探索及び、怪盗イチゴミルクの捕獲とリュセル王子奪還のすべての総指揮権が、ジェイド国王陛下から第一王子のレオンハルト殿下に移行しました」
「なんですって!?」
弟子の言葉を聞いたミルフィンは、踊りを止めて驚きに目を見張った。
アシェイラ国、レオンハルト第一王子殿下。その有能さ、完璧さ、冷酷さは有名である。彼が総指揮をとる事になったのでは、昨日と同じという訳にもいくまい。それだけ手強い相手であるという事を、ミルフィンもハミルも風の噂で知っていた。
「まずいわね」
国王補佐及び参謀の仕事と騎士団総帥の座を退いたと聞いていたから、油断していたのに。彼が出て来るのと出て来ないのでは、天と地程の差があるのだ。
「ふふふふふふふっ」
しかし、その横でミルフィンとハミルの会話を黙って聞いていたリュセルは、不意に不気味な笑い声をたてた。
「リュ、リュセル王子?」
急に笑い出したリュセルを見たハミルはビクリとする。
「リュセル王子」(うっとり)
ミルフィンの目の奥にはハートが飛ぶ。
「相手にとって、不足はない」
ふと、目を開いてリュセルは宣言し、ミルフィンはそれに大きく頷いた。
「全力でサポート致しますわ」
「……ってえええええ!? ミルフィン様、怪盗イチゴミルクの座をリュセル王子に譲られるおつもりですか!?」
まさかの主のサポート発言。ハミルは度肝を抜かれる。
「あたしは今や、リュセル王子の愛の下僕に他ならないわ!」
答えにならない答えを返されて、ハミルは顔を引きつらせる。
「待っていろよ、レオンハルトめ」
心酔しきったミルフィンの眼差しと、微妙な表情のハミルを眼中に入れる事なく、リュセルは低い声でそう呟く。
こうしてここに、レオンハルトVSリュセル……、剣主VS剣鍵の戦い(?)の火蓋が、切って落とされたのだった。
それは歴史に名を残すような、血で血を洗う壮絶なる戦い………………になる訳もなく、国と他国の王女(ジュリナ)と怪盗を巻き込んだ、はた迷惑な痴話喧嘩の始まりだったのだ。
己の騎士達の訴えを黙って聞いていたレオンハルトは、不意に重々しい口調で頷いた。
(何が!?)
つい、ジュリナは心の中でつっこみを入れてしまう。
「殿下?」
ユージン達も、様子の変わった主を見てわずかに目を見張る。
「私が指揮をとろう」
静かに告げられた言葉。それを聞いたユージン達三騎士とティルは表情に希望の色をのせる。
半身である弟王子が連れさらわれ、気落ちしているようだった、元国王の参謀であり、騎士団前総帥のレオンハルトが、ようやくショックから立ち直り、リュセル救出の為に立ち上がった。……ように彼らの目には映った。
「父上達は、見ての通り、精神的疲労のあまり指揮をとれる状態にない。これから先、怪盗イチゴミルク捕獲の指揮は私がとるとすべての騎士に伝達しろ」
レオンハルトの頼もしい言葉に三騎士は一斉に敬礼をする。
「「「はっ」」」
部屋を出て行こうとしたユージンは、かすかに目を潤ませながらレオンハルトを励ました。
「それでこそ、殿下です」
「…………早く行け」
「はいっ」
そうして、三騎士とそんな彼らを手伝う為にティルが退室して行くと、ジュリナはあんぐりと開けていた口を閉じて、慌ててレオンハルトに詰め寄った。
「お前、何考えてるんだあああああっ!」
大きな叫び声が部屋中に響き渡り、クマ吉によってソファに寝かされ、体の上に毛布をかけられていたジェイドが、ゾンビ化を解く……ではなく、目を覚ます。
「リュ……、リュセル!?」
弱弱しい声を聞いたレオンハルトは、安心させるように優しくささやいた。
「大丈夫です、父上。安心してお休み下さい」
「うううううう~、リュセルが売り飛ばされて奴隷にされているかもしれないのに、眠ってなんていられないよ~」
(何故か妄想が増えてないか?)
ジュリナはジェイド王の妄想力のたくましさに少し感心してしまった。
「ううううう………………………………ぐ~」
少しの間メソメソしていたかと思ったら、意外とすぐにジェイド王は眠りにつく。
「兄上……」
その様子を見守っていたカイルーズが、目の下の隈を今までにない位に濃くしながら兄を呼んだ。
「お前も休みなさい。激務明けの上休みを取らずでは、いい案が浮かばなくて当然だろう?」
「でも」
「今の思考回路では、冷静な判断すらできまい」
尚も言いつのるカイルーズにそう言うと、すぐ下の弟は悔しそうに唇を噛み締めた後、小さく頷いた。
「そうだね」
*****
「お前、何考えてるんだよっ!」
父王とカイルーズを休ませる事に成功したレオンハルトは、城内の警備の見直し、怪盗イチゴミルクの探索及び捕獲作戦会議の指揮の為に自室を後にしようとして、ジュリナに呼び止められた。
「何がだ?」
不機嫌そうに、鑑賞に堪え過ぎる程麗しい美貌を向けてきたレオンハルトを真っ直ぐに見返し、ジュリナは言い返す。
「何がだ? じゃないだろうがっ! 怪盗イチゴミルクは何故かリュセルに入れ替わってるんだぞ。本当にあの子を追い詰めて、捕えるつもりかい!?」
はっきり言って、騎士団総帥時代、数々の武勇伝を残してきたこの男ならやりかねない。それこそ一つの退路も残さずに、獲物を追い詰めるだろう。それも完璧な程確実に、かつ優雅に……。
「そのつもりだが?」
何か文句でも?というような冷たい琥珀の瞳を向けられ、ジュリナは顔を引きつらせた。
”氷の王子”、リターンズ。懐かしい顔だな~っと思いながらも、怖いもの聞きたさで、ついジュリナは尋ねてしまった。
「ちなみに捕らえた後、どうするつもりなんだい?」
ジュリナの言葉を聞いたレオンハルトは、冷笑をその美貌に浮かべると答えた。
「そうだね。鎖にでも繋いで、一生寝室から出られないようにでもしてやろうか。私以外の目に触れないように、ずっとベッドにくくりつけてやろう」
「……………………」
あの~、はっきり言っていいですかい?私の今の本当の気持ちを……。
…………怖い。……マジで。
怖いもの知らずと謳われたジュリナを本気で怯えさせた初めての者、その名はレオンハルト。二つ名を”氷の王子”。鬼畜王の称号を持つ男。(持っていない)
口では笑っているのに目がまったく笑っていないという、壮絶なる微笑を浮かべているレオンハルトに、ジュリナはこれ以上何か言うのを止めた。
というか言えない。恐ろし過ぎて……。
「そうだね。あの髪の色に合うような銀の手枷と鎖を用意させようか。きっとよく似合うだろう……」
「………………」
それって、独り言ですか?独り言だよね!?
(私は何も聞いてないぞ。ああ、何も聞いてない)
ジュリナは身震いしながら、そう自分に言い聞かせる。
「手枷だけでなく、足枷もした方がいいだろうか」
「ど、どうだろうね。」
そう答えるのがやっとなジュリナだ。
「ふっ……、仕方ない、足枷も用意するか。手だけでなく、足の自由も奪わなくてはいけないからね」
(ひいいいいっ、怖いよ~、ティア~!)
ジュリナは心の中で自分の半身である妹に救いを求める。
「今日は忙しいな。急いで作らせないと」
そう呟きながら颯爽と自室を出て行った幼なじみを見送りながら、ジュリナはディエラ国に帰りたくなっていたのだった。
その日、アシェイラ城王室よりデコレート商会アシェイラ本店に、特注の銀の手枷と足枷及び付属の鎖が注文された。緊急の注文だった為、デコレート商会の本店店主及び、本店支店をまとめる総元締めは、老舗の意地をかけて職人を緊急収集し、美しい彫刻が掘られた銀の手枷足枷と、鎖を完成させたという。
その繊細な美しさを放つ拘束具は、夕方には城へと献上されたのだった。
銀の手枷及び足枷が城に献上された、ちょうどその頃、アシェイラ城へと偵察に行っていたハミルが宿に戻ってきた。
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大きな音を立てて扉を開けたハミルは、次の瞬間、宿屋の室内で繰り広げられている光景を目にし、口を開きっぱなしにした。
「こうですわっ、リュセル王子殿下!」
「こうか?」
「そうです。腕のスナップをきかせて!」
何故か、ミルフィンとリュセルがノリノリで見た事もない奇妙な躍りを踊っていた。
「な、何してんですか」
ハミルが呆気にとられて呟くと、リュセルは踊るのを止めて、ミルフィンが渡したハンカチで額に浮かんだ汗を拭いた。
「黒猫ノンちゃんシリーズの次回公演予定の舞台では、観客も一緒になって踊る場面があるらしいんだ。それをミルフィン殿に教わっていた」
「ふふっ。まだ誰も知らない、シークレット情報なんですよ。リュセル王子殿下にだけ、特別に教えちゃうんです。きゃあっ」
そう言って、恥ずかしそうに顔を両手で覆ったミルフィンにリュセルは甘くささやいた。
「ありがとう、嬉しいよ」
「リュセル王子……」(うっとり)
そんな風に見つめ合う二人の間にしょうがなく割って入ると、ハミルは不満そうな顔をした主に、先程仕入れた情報を報告する。
「城の警備、王都探索及び、怪盗イチゴミルクの捕獲とリュセル王子奪還のすべての総指揮権が、ジェイド国王陛下から第一王子のレオンハルト殿下に移行しました」
「なんですって!?」
弟子の言葉を聞いたミルフィンは、踊りを止めて驚きに目を見張った。
アシェイラ国、レオンハルト第一王子殿下。その有能さ、完璧さ、冷酷さは有名である。彼が総指揮をとる事になったのでは、昨日と同じという訳にもいくまい。それだけ手強い相手であるという事を、ミルフィンもハミルも風の噂で知っていた。
「まずいわね」
国王補佐及び参謀の仕事と騎士団総帥の座を退いたと聞いていたから、油断していたのに。彼が出て来るのと出て来ないのでは、天と地程の差があるのだ。
「ふふふふふふふっ」
しかし、その横でミルフィンとハミルの会話を黙って聞いていたリュセルは、不意に不気味な笑い声をたてた。
「リュ、リュセル王子?」
急に笑い出したリュセルを見たハミルはビクリとする。
「リュセル王子」(うっとり)
ミルフィンの目の奥にはハートが飛ぶ。
「相手にとって、不足はない」
ふと、目を開いてリュセルは宣言し、ミルフィンはそれに大きく頷いた。
「全力でサポート致しますわ」
「……ってえええええ!? ミルフィン様、怪盗イチゴミルクの座をリュセル王子に譲られるおつもりですか!?」
まさかの主のサポート発言。ハミルは度肝を抜かれる。
「あたしは今や、リュセル王子の愛の下僕に他ならないわ!」
答えにならない答えを返されて、ハミルは顔を引きつらせる。
「待っていろよ、レオンハルトめ」
心酔しきったミルフィンの眼差しと、微妙な表情のハミルを眼中に入れる事なく、リュセルは低い声でそう呟く。
こうしてここに、レオンハルトVSリュセル……、剣主VS剣鍵の戦い(?)の火蓋が、切って落とされたのだった。
それは歴史に名を残すような、血で血を洗う壮絶なる戦い………………になる訳もなく、国と他国の王女(ジュリナ)と怪盗を巻き込んだ、はた迷惑な痴話喧嘩の始まりだったのだ。
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