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第十三章 聖女の血
1-2 刺客②
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「師匠、一度王の部屋に戻るか?」
こんなに可愛い娘に”師匠”と呼ばれるのも悪くない。というか、かなりいい感じだ。顔立ちも好みだし、体も。胸は、まあ少々物足りない大きさだが、足も腕も細くてスタイルもいい。
身長も160cm少々あるマーリンは、端目から見て、かなり極上な美少女だった。
しかし、見た目を気にしない性質なのか、レインが初めて会った時も、枯れ葉色の着物と黒袴という、やぼったい男装姿をしていたのだ。
(これは、ユリエ姉上よりも手がかかるねぇ。女を磨くに関していうなら俺は実績がいくつもあるからな。待ってろ、マーリン。お前を淑女(レディ)に仕上げてやる!)
レインは今、マーリンを淑女(レディ)として育てる事にハマっていた。それはもう、彼お気に入りの美形王子、リュセルやレオンハルトの事を思い出す事もない程。
今回、アシェイラ王都に向け、サンジェイラを発ったユリエが不審に思う位、彼は静かだったのだ。
ーレイン、行ってくるけれど……。大丈夫?ー
出立前のユリエにそう聞かれ、額の熱を測られた記憶は今だ新しい。
いつもなら、自分も行くと言ってきかなかっただろうレインは、その時既に、マーリンの面倒を見る事に夢中だったのだ。
アサギなど、静かに
(レインにもとうとう、特別な子が出来たのか)
そう思っていた程である。
「それにしても、師匠」
「ん? 何」
アサギの私室へ戻る道すがら、マーリンはいつも不思議に思っていた事を口にした。
「この仕事服(忍装束)、確かに動きやすいが、こんなに脚や腕やら出す必要あるのか?」
マーリンの着る忍装束は、基本の色やデザインはレインの着るものと同じだが、短い丈や開かれた肩、網タイツなど、かなりのお色気重視な衣装だったのだ。
「あ~~~~、それは俺の趣味……じゃなくて、古から伝わる忍びの正式な衣装なんだ」
「そ、ソウなのか?」
世間知らずなマーリンは、レインの適当な嘘を完全に信じた。
その水色の、純真な子供のような瞳で見つめられ、ないと思われていたレインの良心はシクシクと痛んだ。
最近、このような事が度々ある。
もしかして、自分はこの子供のような少女に捕まってしまったのだろうか? いや、自分のような男が一人の少女に夢中になる事などあるはずない。レインは美形なら誰でも大好きなのだ。女だろうが男だろうが関係ない。
自分のような男が妻帯などしたら、その女が不幸だ。何せ、自分の中には、あの父親の血が流れているのだから……。
清廉潔白な兄や姉、弟妹達とは違う。
きっとレインが、一番、あの好色でどうしようもない父親に似ているのだろう。この国に危機をもたらした、あの愚王に。
レインがそう考えていた時
「着いたぞ」
国王の私室前に到着したマーリンは、宿直の護衛官に会釈をして扉をノックした。
レインとマーリンが王の私室に入室すると、アサギはにっこりと笑って二人を出迎えてくれた。
「ご苦労だったね、二人共。疲れただろう、こちらで一緒に、お茶とお菓子をおあがり」
その、のほほんとした対応に、レインは拍子抜けする。
「任務完了致しました」
両手を広げてため息をつくレインと違い、マーリンはその場に片膝をつき、王に向かって恭しく一礼した。
表向きのマーリンの職業は、王付きの侍女だ。王弟のレインと同じく、王の傍に在る事が出来るよう、そのような立場に引き上げられた。
「お言葉は嬉しいのですが、私は片づけがありますので」
そう言うと、マーリンは表の仕事に戻るべく、着替えを済ませに一度退室する。
「真面目ないい子だね、マーリンは」
少女の背を見送ったアサギはそう言って、レインの分のお茶を淹れる。
「そ~そ~、レイン兄上が拾ってきたにしては、まともだよね。たまに言葉のアクセントがおかしい時があるケド」
煎餅をポリポリ食べていたスカイの言葉を聞き、席に着いたレインは反論する。
「俺が拾ってきたにしてはというのは、余計だろ。まったく」
そう言いながら、スカイの額を小突く。
「それで、兄上。賊は?」
二人のじゃれ合いを見ていたシオンは、固い声音でそう尋ねる。
「始末した。ど~せ、捕まえたって自害しちまうし、雇い主についてだって、大体想像つくだろうが」
「そうですね。では、陛下」
シオンの視線を受けたアサギは小さく頷く。
「大きな粛清が必要な時なのだろうね。ユリエがアシェイラ王妃になる前に決着をつけねば、あの子の身も危うくなる」
数か月前に決まった、アシェイラの第二王子、世継ぎの王子であるカイルーズと、サンジェイラの王妹、ユリエの婚約。
当初、カイルーズとの婚約を予定していたのは他の妹だったのだが、付き添いでついて行ったユリエをカイルーズが見初めてしまったのである。それは、ユリエが今後の人生をサンジェイラ国を守る事に費やそうとしているのを知っていたアサギからすると、とても嬉しく喜ばしいものだった。
自分の傍らでずっと頑張って来てくれた彼女には、誰よりも幸せになってもらいたい。ずっと、そう思っていたから……。
しかし、そんな兄(アサギ)の思いとは裏腹に、ユリエの婚約はこの国の波乱の幕開けでもあった。
アサギ派の筆頭たるユリエが、アシェイラの王位継承者の婚約者という事、それをアサギの事を恨んでいる貴族派の面々が苦々しく思っている事は周知の事実だ。
ユリエがこのまま婚約期間を終え、いずれ王となる王位継承者の妃となってしまえば、あの、領土、経済、武力共に巨大な王国は、完全にアサギの後ろ盾に回る事になる。
そうなってしまえば、貴族派にはどうする事も出来ない。
今までも、アサギのみならず、ユリエにも暗殺者は送り込まれてきていたのだが、彼女の護衛者たるシュリがそのすべてを防いでいた。
「一年の婚約期間なんて古臭いしきたり無視して、さっさとカイルーズ王子とユリエ姉上を結婚させちまえば兄上も安泰なのになぁ」
レインの愚痴めいた言葉を受けたアサギは、にこやかな表情のまま言った。
「それは駄目だよ。貴族派との事はこちら(サンジェイラ)の都合だ。あちら(アシェイラ)には関係ない。それに、ジェイド王は、この場を乗り越えられるのか、私を試しているような気がする」
それ故に、サンジェイラ国民の為、物資の支援はあっても、その他の支援は今のところないのだ。
賢王らしい判断だ。これ位の試練、乗りきれぬ王なら認めぬ。そういう事だろう。
「それにしても、今この状況でユリエがアシェイラに行ったのは都合が良かったね」
サンジェイラから出国した事で、暗殺者に命を狙われる危険はなくなった。
「ユリエ姉上が戻る前に、決着つけられるといいケドね~」
ため息をつきつつ、スカイはそう言うが、それが難しい事はよく分かっていた。
「失礼致します」
侍女服に着替え終えたマーリンは、戻ってくるなり、王の寝室の片づけをし始める。
「ねぇねぇ、マーリンの着てる侍女の服って、普通のと違くない? やっぱ、王付きだから?」
ひそひそと話すスカイにイズミが答える。
「可愛い服だね。あれって、レイン兄上が選んだらしいよ。」
「エプロンとかフリフリ過ぎるだろうが。まったく、愚兄の考える事は……。好色男らしいと言えばらしいがな」
シオンも何度も頷く。
「聞こえてるぞ、お前ら。いいだろうが、別に。似合ってるんだから」
照れ怒る兄に目を向けた三人の弟の目には、次の瞬間、揶揄いの色が浮かぶ。
「師匠とか、呼ばせてるらしいよ」
「なんのプレイだ、それは。それにしても、とうとう兄上も身を固める気になったか。いい事だ」
「アシェイラのレオンハルト王子やリュセル王子には散々迷惑かけてしまったから、本当良かったね」
上からスカイ、シオン、イズミ。言いたい放題である。
「お前ら~~~~~~ッ!」
「まあまあ、レイン、落ち着いて。…………マーリン?」
弟達に揶揄われて、怒るレインを宥めていたアサギは、箒を手にしたまま動かなくなったマーリンを不思議に思い小首を傾げた。
「どうした、マーリン?」
レインも心配して席を立つ。
「じゃ、邪気? ……な、何故」
顔面蒼白になったマーリンは、視線を壁に向けている。いや、正確には、王の自室より離れた、後宮の一室。前サンジェイラ王妃、レティシアの居室のある方向を。
「邪気を感じる。邪鬼が城内に侵入したようだ! ……ッ師匠!」
マーリンの叫びを聞いたレインとアサギは、即座に反応を示した。
女神の子供にしか分からないという、邪気。何故、唯人であるマーリンがそれを感じる事が出来るのか。彼女の事情を知るレインとアサギは、それ(邪気)がまぎれもない事実だという事が分かっていた。
「どこだ? どこに感じる?」
レインの言葉に答え、目を閉じたマーリンは邪気の在る方向を指し示す。
大きな邪気。
大きいからこそ、出来そこないの邪混鬼たる彼女にも感じる事が出来た。
でも、おそらく女神の子供がいたなら、もっと早く正確に感知する事が出来ただろうに……。運が悪い事に、この国の女神の息子達は現在、ユリエと共にサンジェイラを離れていた。
「この方角は、後宮?」
「レティシア様の部屋がある方向じゃない?」
意味が分からぬまま、シオンとスカイも立ち上がって、マーリンの示す先の検討をつける。
「ッ!」
「待て、マーリン!」
瞬間、マーリンは部屋を飛び出し、それをレインが追った。
こんなに可愛い娘に”師匠”と呼ばれるのも悪くない。というか、かなりいい感じだ。顔立ちも好みだし、体も。胸は、まあ少々物足りない大きさだが、足も腕も細くてスタイルもいい。
身長も160cm少々あるマーリンは、端目から見て、かなり極上な美少女だった。
しかし、見た目を気にしない性質なのか、レインが初めて会った時も、枯れ葉色の着物と黒袴という、やぼったい男装姿をしていたのだ。
(これは、ユリエ姉上よりも手がかかるねぇ。女を磨くに関していうなら俺は実績がいくつもあるからな。待ってろ、マーリン。お前を淑女(レディ)に仕上げてやる!)
レインは今、マーリンを淑女(レディ)として育てる事にハマっていた。それはもう、彼お気に入りの美形王子、リュセルやレオンハルトの事を思い出す事もない程。
今回、アシェイラ王都に向け、サンジェイラを発ったユリエが不審に思う位、彼は静かだったのだ。
ーレイン、行ってくるけれど……。大丈夫?ー
出立前のユリエにそう聞かれ、額の熱を測られた記憶は今だ新しい。
いつもなら、自分も行くと言ってきかなかっただろうレインは、その時既に、マーリンの面倒を見る事に夢中だったのだ。
アサギなど、静かに
(レインにもとうとう、特別な子が出来たのか)
そう思っていた程である。
「それにしても、師匠」
「ん? 何」
アサギの私室へ戻る道すがら、マーリンはいつも不思議に思っていた事を口にした。
「この仕事服(忍装束)、確かに動きやすいが、こんなに脚や腕やら出す必要あるのか?」
マーリンの着る忍装束は、基本の色やデザインはレインの着るものと同じだが、短い丈や開かれた肩、網タイツなど、かなりのお色気重視な衣装だったのだ。
「あ~~~~、それは俺の趣味……じゃなくて、古から伝わる忍びの正式な衣装なんだ」
「そ、ソウなのか?」
世間知らずなマーリンは、レインの適当な嘘を完全に信じた。
その水色の、純真な子供のような瞳で見つめられ、ないと思われていたレインの良心はシクシクと痛んだ。
最近、このような事が度々ある。
もしかして、自分はこの子供のような少女に捕まってしまったのだろうか? いや、自分のような男が一人の少女に夢中になる事などあるはずない。レインは美形なら誰でも大好きなのだ。女だろうが男だろうが関係ない。
自分のような男が妻帯などしたら、その女が不幸だ。何せ、自分の中には、あの父親の血が流れているのだから……。
清廉潔白な兄や姉、弟妹達とは違う。
きっとレインが、一番、あの好色でどうしようもない父親に似ているのだろう。この国に危機をもたらした、あの愚王に。
レインがそう考えていた時
「着いたぞ」
国王の私室前に到着したマーリンは、宿直の護衛官に会釈をして扉をノックした。
レインとマーリンが王の私室に入室すると、アサギはにっこりと笑って二人を出迎えてくれた。
「ご苦労だったね、二人共。疲れただろう、こちらで一緒に、お茶とお菓子をおあがり」
その、のほほんとした対応に、レインは拍子抜けする。
「任務完了致しました」
両手を広げてため息をつくレインと違い、マーリンはその場に片膝をつき、王に向かって恭しく一礼した。
表向きのマーリンの職業は、王付きの侍女だ。王弟のレインと同じく、王の傍に在る事が出来るよう、そのような立場に引き上げられた。
「お言葉は嬉しいのですが、私は片づけがありますので」
そう言うと、マーリンは表の仕事に戻るべく、着替えを済ませに一度退室する。
「真面目ないい子だね、マーリンは」
少女の背を見送ったアサギはそう言って、レインの分のお茶を淹れる。
「そ~そ~、レイン兄上が拾ってきたにしては、まともだよね。たまに言葉のアクセントがおかしい時があるケド」
煎餅をポリポリ食べていたスカイの言葉を聞き、席に着いたレインは反論する。
「俺が拾ってきたにしてはというのは、余計だろ。まったく」
そう言いながら、スカイの額を小突く。
「それで、兄上。賊は?」
二人のじゃれ合いを見ていたシオンは、固い声音でそう尋ねる。
「始末した。ど~せ、捕まえたって自害しちまうし、雇い主についてだって、大体想像つくだろうが」
「そうですね。では、陛下」
シオンの視線を受けたアサギは小さく頷く。
「大きな粛清が必要な時なのだろうね。ユリエがアシェイラ王妃になる前に決着をつけねば、あの子の身も危うくなる」
数か月前に決まった、アシェイラの第二王子、世継ぎの王子であるカイルーズと、サンジェイラの王妹、ユリエの婚約。
当初、カイルーズとの婚約を予定していたのは他の妹だったのだが、付き添いでついて行ったユリエをカイルーズが見初めてしまったのである。それは、ユリエが今後の人生をサンジェイラ国を守る事に費やそうとしているのを知っていたアサギからすると、とても嬉しく喜ばしいものだった。
自分の傍らでずっと頑張って来てくれた彼女には、誰よりも幸せになってもらいたい。ずっと、そう思っていたから……。
しかし、そんな兄(アサギ)の思いとは裏腹に、ユリエの婚約はこの国の波乱の幕開けでもあった。
アサギ派の筆頭たるユリエが、アシェイラの王位継承者の婚約者という事、それをアサギの事を恨んでいる貴族派の面々が苦々しく思っている事は周知の事実だ。
ユリエがこのまま婚約期間を終え、いずれ王となる王位継承者の妃となってしまえば、あの、領土、経済、武力共に巨大な王国は、完全にアサギの後ろ盾に回る事になる。
そうなってしまえば、貴族派にはどうする事も出来ない。
今までも、アサギのみならず、ユリエにも暗殺者は送り込まれてきていたのだが、彼女の護衛者たるシュリがそのすべてを防いでいた。
「一年の婚約期間なんて古臭いしきたり無視して、さっさとカイルーズ王子とユリエ姉上を結婚させちまえば兄上も安泰なのになぁ」
レインの愚痴めいた言葉を受けたアサギは、にこやかな表情のまま言った。
「それは駄目だよ。貴族派との事はこちら(サンジェイラ)の都合だ。あちら(アシェイラ)には関係ない。それに、ジェイド王は、この場を乗り越えられるのか、私を試しているような気がする」
それ故に、サンジェイラ国民の為、物資の支援はあっても、その他の支援は今のところないのだ。
賢王らしい判断だ。これ位の試練、乗りきれぬ王なら認めぬ。そういう事だろう。
「それにしても、今この状況でユリエがアシェイラに行ったのは都合が良かったね」
サンジェイラから出国した事で、暗殺者に命を狙われる危険はなくなった。
「ユリエ姉上が戻る前に、決着つけられるといいケドね~」
ため息をつきつつ、スカイはそう言うが、それが難しい事はよく分かっていた。
「失礼致します」
侍女服に着替え終えたマーリンは、戻ってくるなり、王の寝室の片づけをし始める。
「ねぇねぇ、マーリンの着てる侍女の服って、普通のと違くない? やっぱ、王付きだから?」
ひそひそと話すスカイにイズミが答える。
「可愛い服だね。あれって、レイン兄上が選んだらしいよ。」
「エプロンとかフリフリ過ぎるだろうが。まったく、愚兄の考える事は……。好色男らしいと言えばらしいがな」
シオンも何度も頷く。
「聞こえてるぞ、お前ら。いいだろうが、別に。似合ってるんだから」
照れ怒る兄に目を向けた三人の弟の目には、次の瞬間、揶揄いの色が浮かぶ。
「師匠とか、呼ばせてるらしいよ」
「なんのプレイだ、それは。それにしても、とうとう兄上も身を固める気になったか。いい事だ」
「アシェイラのレオンハルト王子やリュセル王子には散々迷惑かけてしまったから、本当良かったね」
上からスカイ、シオン、イズミ。言いたい放題である。
「お前ら~~~~~~ッ!」
「まあまあ、レイン、落ち着いて。…………マーリン?」
弟達に揶揄われて、怒るレインを宥めていたアサギは、箒を手にしたまま動かなくなったマーリンを不思議に思い小首を傾げた。
「どうした、マーリン?」
レインも心配して席を立つ。
「じゃ、邪気? ……な、何故」
顔面蒼白になったマーリンは、視線を壁に向けている。いや、正確には、王の自室より離れた、後宮の一室。前サンジェイラ王妃、レティシアの居室のある方向を。
「邪気を感じる。邪鬼が城内に侵入したようだ! ……ッ師匠!」
マーリンの叫びを聞いたレインとアサギは、即座に反応を示した。
女神の子供にしか分からないという、邪気。何故、唯人であるマーリンがそれを感じる事が出来るのか。彼女の事情を知るレインとアサギは、それ(邪気)がまぎれもない事実だという事が分かっていた。
「どこだ? どこに感じる?」
レインの言葉に答え、目を閉じたマーリンは邪気の在る方向を指し示す。
大きな邪気。
大きいからこそ、出来そこないの邪混鬼たる彼女にも感じる事が出来た。
でも、おそらく女神の子供がいたなら、もっと早く正確に感知する事が出来ただろうに……。運が悪い事に、この国の女神の息子達は現在、ユリエと共にサンジェイラを離れていた。
「この方角は、後宮?」
「レティシア様の部屋がある方向じゃない?」
意味が分からぬまま、シオンとスカイも立ち上がって、マーリンの示す先の検討をつける。
「ッ!」
「待て、マーリン!」
瞬間、マーリンは部屋を飛び出し、それをレインが追った。
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