【宝の鍵~金の王子と銀の王子~】本編 元平凡女性のイケメン王子は執着心強めな兄に溺愛される

月城はな

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第十三章 聖女の血

7-2* 浴室での誘い②

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 レオンハルトの手技に夢中になっていたリュセルは、言葉の意味も理解出来ないまま、首を横に振る。

「はぁ、は、ぁああ、ああ、……ぁあああっ、イイ……ッは、ひぃぃッッ」

 繊細な印象の強い長い指は、湯の中で複雑に淫らに動き、信じられないような快感をリュセルに与えていた。

「や、や……、達かせ……ッ達かせてッ」

 激しい淫楽をリュセル自身に与え続けながらも、真綿で首を締めつけるようにそれを締め付け、その熱が爆ぜぬようにするレオンハルトは、弟の素直な反応と淫らにくねる体を目に愉しんでいるのだ。

 その容赦のない焦らしに、リュセルは決して慣れる事が出来ない。快楽に弱い体は、いつも兄の意のままの反応を返してしまう。啼きながら懇願してしまう。

「ふふ、ここも可愛く立っているね。どうしようか? このまま、ここで達くかい?」

「ひぃッ」

 果実のように、赤く立ち上がった胸の突起に両手を這わせられ、そこを軽く引っ張られたリュセルは、短い悲鳴を上げて、湯の中で腰を揺らす。

 バシャバシャと盛大な水音をさせて湯の中を突くリュセル自身は、その動きにつられ、水面から僅かに姿を覗かせる。赤く腫れ立ち上がり、先走りの蜜を零し続けるその様は、想像以上に卑猥だ。

 弟の乱れる様を、金色の気高い瞳にすべて映し入れていた兄は、もう一度尋ねた。

「どこで、達きたいんだい? リュセル」

 淫魔のようなささやきだ。リュセルは差し出されたレオンハルトの指に夢中で舌を這わせながら、胸の突起を弄るもう片方の兄の手を自分の股間に導く。

「して。早く、……中、突いて……ッ」

 途切れ途切れに紡がれた言葉を聞くと同時に、レオンハルトは導かれるままリュセル自身の更に奥、閉ざされたままの後腔に指を突き入れた。

「ッはぁ……、ぁあああ、……ああ、お湯が、お湯が入ッ」

 無造作に挿入された指が増やされると、一緒に入ってきた湯にリュセルは身震いする。

「あっ、あぁ……ぁ。あ、……はぁッ」

「やはりお湯の中だと柔らかいね。今挿入れたら、すごく悦さそうだ」

 明日の事を考え、今夜は挿入れるつもりのないレオンハルトは、一度リュセルの中から指を引き抜くと、体を返し、自分と迎え合わせる体位にした。

「私の指の動きに合わせて、腰を振ってごらん」

 弟の痴態に煽られたのか、レオンハルト自身も硬く反応していた。そんな兄自身と解放を求め訴える自身を重ね持たされ、リュセルの銀の瞳が物欲しそうな感情を映す。

 大きなレオンハルト自身に突かれ、揺さぶられる悦びを知るが故にその欲望の塊が欲しかった。

「駄目だよ。明日も忙しいのは、分かっているだろう?」

 嗜める低い声と共に、再び後腔に、あの艶めかしい長い指が入り込んでくる。

「あ、ぁああ、あ、……っはぁ、あんっ」

 三本の指が、的確にリュセルの弱い場所を抉り、突く。

 わざと湯が大量に入るようにするレオンハルトの指の動きに合わせ、リュセルはレオンハルトの体を押し倒し、右手で押さえつけた格好のまま腰を振る。

 そして欲望のまま、焦らされ続けた自身を兄自身に擦りつけながら、押さえつけたその左腕に爪をたてた。

「ん……、ふ、可愛いよ、リュセル」

 喘ぎ泣きながら腰を振る弟を艶めいた顔で見上げ、レオンハルトは熱い吐息を洩らす。

「はぁ、……はん、あ、ぁあ、あ、ぁああ、兄……さッん」

 激しく後ろを突かれ、兄自身に自身を擦りつけながら、リュセルは何も考えられなくなる。

「お達き」

 息の乱れた兄に低い声でささやかれると同時に、一気に引き抜かれた指が勢いをつけて突き入れられる。

「あッ、あああああッ」

 瞬間、リュセルは大量の蜜液を自身から迸らせながら、レオンハルトの体の上で爆ぜ達した。

「いい子だ」

「は……はぁ、は……」

 レオンハルトは、自分の体の上に重なってきた弟の額に口づける。それとほぼ同時に、リュセルの薄い銀の瞳が閉ざされた。

 気を失ってしまったリュセルの体を湯殿の中から引き上げると、レオンハルトは無言のまま、その体を床上に横たえる。湯の影響か、もたらされた快楽の影響か、白磁の肌が薄紅に染まり、ひどく艶めかしい。

 色香の強く漂う、薄く開かれた唇に指を這わすと、欲望のままに己の唇を重ね、意識のない弟の甘い口内を貪り奪う。

「ん、や……っ」

 逸らされた首筋に歯をたてた瞬間、リュセルの瞳がうっすらと開かれた。それでも意識は完全に戻っていないらしく、その瞳はぼんやりと空に注がれている。

 そして、そのまま力ない両脚を開かせ、レオンハルトは、綺麗に筋肉のついた硬い弟の太腿に自身を挟ませる。

「ふっ、クク……、本当に可愛らしい事だ」

 素股に感じる半身の欲望に煽られ、意識がほとんどないにもかかわらず、再び兆し始めたリュセル自身に気づき、レオンハルトは淫蕩に笑う。

 自分が達する為に大きく淫らな動きで腰を動かしながら、レオンハルトは震えるリュセル自身を激しく扱き始める。

「ん……、んん……ぁ」

 弱々しい喘ぎ声を洩らすリュセルは、完全に意識を飛ばしており、レオンハルトの動きにつられて体を揺らす。

 そしてそのまま、白い大理石で出来ている豪奢な浴室の床の上、リュセルは二度目の精を放ち、太腿にレオンハルトの熱い欲望を受けたのだった。



*****



「あっれ~!? リュセル殿下、首の所のここ、虫さされですか? うわっ、いっぱいある!」


 翌日、再び訪れた兄の執務室。そこに響いた若い声に、リュセルは顔を引きつらせながら、少女の凝視している首裏を右手で押さえ込んだ。

 栗色をした短髪(ショートカット)の、背の高いボーイッシュな少女。

 ふんだんに使用されたフリルとリボン。最新の流行のデザインの漆黒のドレスは、大胆なミニ丈だ。スラリとした長い脚は、繊細な花の模様の刺繍を施された黒タイツに覆われ、足元を飾る靴も同じ黒で統一されている。

 スノウ大陸中のすべての娘達の憧れの的。おしゃれ女王の異名を持つ、若干十七歳の有名服飾作家。ダリア・シュルーナだ。

「気にするな」

 顔を真赤に染めながら、そっぽを向く銀の王子の美貌に、ダリアはうっとりと見惚れてしまう。

 その様子をじっと凝視していた、もう一人の少女は、持っていたノンちゃん柄の大きめのメモ帳に、サラサラと文字を書いてリュセルとダリアに見せる。

 ー聞いちゃダメよ、ダリア。野暮ってものだわー

 その、すべてを見透かしたような言葉を耳にし、リュセルは顔を引きつらせる。

 ダリアの着る漆黒のドレスと同じデザインの純白のドレスを着た、金髪の巻き毛の少女。

 宝石細工師として有名な、サキエ・ケイフォスタン。同じく十七歳である。

 ダリアがおしゃれ女王なら、サキエはさしずめおしゃれ姫か。しかし、彼女についたあだ名はそれではなく、何故かおしゃれ番長だった。

「野暮って?」

 相棒の言葉に、ダリアは首を傾げる。

 ーそれはね、虫さされじゃなくて、キスマークと言って、リュセル王子がレオンハルト様に愛された証拠…………ー

「だあああああああああッ!」

 リュセルはそう叫ぶと、サラサラと丸っこい可愛い字で紡がれた文字を途中で遮り、メモ帳を取り上げた。

「…………」

 それを黙って見上げていたサキエは、クスリと小悪魔的に笑う。そして、胸元に潜ませていた予備のメモ帳を出すと、そこに再び文字を書く。

 ー可愛い、リュセル王子ー

 ドーーーーーーーーーーーーンッ

 リュセルの心は挫かれた。

「え~!? リュセル殿下は可愛いんじゃなくて、格好いいのよ! 何言ってるの? サキエってば!」

 ヨロヨロと打ちひしがれている様子のリュセルを気にする事なく、ダリアは不服そうにサキエに詰め寄る。

 ーまだまだね、ダリアは(笑)ー

「何よそれ~~~~。しかも何、この(笑)は! 失笑? 失笑なの??? これ!」

「コホン」

 若い娘達のはしゃぎ声を止める為、年嵩の侍女達は小さく咳払いをする。大声を注意されたダリアは、サキエに詰め寄るのを止めた。

 非凡な才能を有する、自分の仕事に誇りを持つ真面目ないい娘達なのだが、年齢が若い分、一度はしゃぎ出すと止まらない部分があるのだ。そんな少女二人の追及が止み、リュセルは首裏を押さえたまま、ほっと息をつく。

(今日、衣装合わせの続きがあるのが分かってるんだから、普通は痕を残さないもんだよな。普通は……)

 リュセルの諦めのまじった視線の先では、熟練の侍女達に囲まれ、様々な衣装の着せ替えをさせられている兄の姿が在る。

 二十代後半から三十代後半まで位の年齢層の侍女達は、レオンハルトの着替えを手伝いながらも、その鍛え上げられた、たくましくも艶めかしい体にうっとりとした視線を注ぎ、表情のあまり表れぬ美麗な顔に羨望の眼差しを送っていた。

 何も語らずとも、何もせずとも、女達の目を釘付けにし、虜にする男。その名はレオンハルト。職業鬼畜王。(職業じゃないし)

「わあああっしょおおいッ!」

 侍女達の熱い視線をまるで気にしていない兄に生温い目を向けていたリュセルは、近くで響いた声にビクリとした。

「イマ、神ガ、デザインの神ガ、降臨シタ……」

 いきなりその場に倒れ込み、白目を剥きながら、リュセルの足元でガタガタブルブル肩を震わせるダリアを見て、サキエは急いでメモに言葉をしたためる。

 ーま、まさか、ダリアに数年に一度訪れる、パーフェクトスペシャル神デザインが、今!?ー

「な、なんだ? その、パーフェクトスペシャル神デザインとは???」

 壊れたようにガクガク揺れるダリアが心配になったリュセルがそう言うと、サキアは更に説明を書く。

 ー今まで様々な流行を生み出した、とんでもないデザインです。それが今、生まれようとしています。何か刺激を受けると、たまにそうなるんですー

「刺激って?」

「リュセル殿下とレオンハルト殿下の愛の印…………きたわ!」

 ズシャシャシャシャ

 一瞬、キランと目を光らせ格好よくポーズを決めた後、傍に置いてあった大きな画紙にペンを走らせ始めたダリアを唖然と見つめながら、リュセルはサキエの書く説明を読んだ。

 ー今回は、リュセル王子の首の虫さされ……じゃなくて、愛撫の痕がデザインの元になったようだわー

「……そうか。って、オイ!」
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