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第十三章 聖女の血
11-3 襲撃前夜、それぞれの想い③
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時刻は真夜中。後ろには寝台。前方にライサン。そして、手にはコロコロ。(意味不明) 瞬間、ルークの顔色は真っ青に変化する。このままではまた、女神に背く変態行為(ルーク談)を強要されてしまう!
「では、これも見つかった事だし。俺はもう戻るぞ。お前も早く休めよ」
そう言いながら後ずさりし、ライサンの自室から撤退を試みる。
だが……。
「お待ちなさい」
去りかけようとしたルークの腕は、ライサンの手に掴まれてしまう。
「何の為に今夜は自室に戻したと思っているのですか。戻ったら、また掃除を再開するつもりでしょう?」
「…………」
その通りさ。
「明日は大変な一日になるのですよ。徹夜で掃除などという、馬鹿な事をするのがわかって、あなたを帰すはずがないでしょうが」
「わかった、掃除はしない。帰ったら休むようにする……つもりだ」
慌ててルークがそう言い返すが
「帰しませんよ」
最上級の笑顔での、その言葉により、今夜もお泊りが決定してしまったのだった。
「はい。いい子ですから、これを飲んだら一緒に寝ましょうね?」
神官長用私室備え付けの浴室で湯浴みを済ませた後、夜着に着替えた(ライサンがルーク用に用意したものだ)ルークは、無理矢理テーブルの席に座らされて、温かな紅茶を渡される。
眠る前なので、薄めに淹れられたそれは、結構おいしかった。
(一緒に寝る……、寝るのか)
どよ~ん
紅茶を飲み終わりたくない。
そんなルークの気持ちが分かったのか、ライサンはにこにこ笑いながら言った。
「心配しなくても、今夜は何もしませんよ。ただ、寝台は一つしかありませんので、一緒に寝てもらいますがね」
「……そうか」
ふ~ふ~、コクコクコク
熱い紅茶を冷ましながら飲み始めたルークのわかりやすい態度を目にし、ライサンは軽くショックを受ける。
「そんなに嫌でしたか。ちょっとショックですね。おかしいですねぇ、結構悦さそうなのに……」
ブーーーーッ
「この、色情狂が!」
ライサンの独り言を聞いたルークは、紅茶を吹き出すと同時に、近くに在った分厚い本を彼に向って投げ飛ばした。本の題名は、”黒猫ノンちゃんと真実の鏡”。シリーズ第十五作目だ。
パシッ
近距離から飛んできたそれを、軽々キャッチしたライサンは、穏やかな声で嗜めた。
「人に向かって物を投げてはいけないと教えてきたでしょう? まあ、今更ですが」
本やら、筆記具やら、靴やら、色々な物を投げつけられてきているライサンは、そう言うと、諦めにも似たため息をつく。
「ねぇ、ルーク」
「なんだ?」
紅茶を飲みながら、ルークは目の前のライサンに嫌々ながらに目を向ける。また何か、おかしな事を言うつもりなのか?
「もし、私が自分を見失ったらどうします?」
頬杖をつき、ルークから目線を逸らしたライサンは、ぼんやりとした口調でそう尋ねた。先程の、窓の外の何かを聞いていた時と同じような状態。どこか、遠くを気にしているような……。
その時、ルークは何故だか、ライサンがどこか遠くに行ってしまうような感覚に陥った。そして、非常にショックな事に、それは予想外な程、大きな不安と焦燥だったのだ。
この男が自分の前からいなくなる事。それがこんなにも怖いとは……。その事実にショックを受けると同時に、怒りが込み上げる。ショックを受けた自分と、それに気づかせたライサンに対して。
(クソっ)
ルークは自分に毒づきながら立ち上がると、ライサンの手元にあった本(黒猫ノンちゃんシリーズ第十五巻)を掴み上げた。
そのまま……。
スパーーーーーーンッ
勢いよく、ライサンの頭をそれで叩く。
ボーーーーッとして、隙だらけだったライサンは、簡単にルークに殴られてしまう。
「イ、イタ、ちょっと……、痛いですよ、ルーク」
「安心しろ。こうやって殴って、お前を元に戻してやる」
面倒くさそうなルークの言葉を聞いたライサンは、涙目のまま目を瞬かせる。
先程、自分が何気なく口にした問いの、これが答えか……。それに気づいたライサンは、微笑を浮かべ、不意に立ち上がると、訝しげなルークの手を取り、その唇に口づけた。
テーブル越しに触れるだけの口づけをしたライサンは、真っ赤になったルークに想いを告げる。
「好きですよ、ルーク」
何度となくされたその告白に、ルークは戸惑うように瞳を揺らす。
「あなたを、誰よりも愛しています」
嘘偽りない、真の言葉。
それを捧げると、ルークの燃えるような赤い髪に触れる。しばらくその感触を楽しむように撫でた後、ライサンは話題を変えるように言った。
「さてと、そろそろ休みましょう。眠れないようなら、私が子守歌代わりに黒猫ノンちゃんの本の朗読を聞かせてさしあげますが?」
「いらん」
ライサンの申し出をきっぱりと断ると、ルークは立ち上がり、部屋の奥に配置された寝台へと歩み寄り、そのまま、ライサンに背を向けた状態で横になった。
「ふふ、おやすみなさい、ルーク」
就寝の挨拶を告げた後、ライサンはまた窓の方へと視線を向けた。
(…………まだ聞こえる。一体、いつまで)
心配そうに眉根を寄せながら寝台の上に上がると、嫌がるルークに朗読を聞かせ、彼が眠りに落ちてもその寝顔を見つめたまま、ライサンは耳に聞こえるそれが終わるまで、眠るのを拒否し続けた。
そうやって、ライサンがルークを寝かしつけている間、アシェイラ城の客室に泊まる彼も、夜更かしをしている半身を寝かせようとしていた。
「ロー、そろそろ眠らぬと、明日が辛いぞ」
これまで幾度となくした呼びかけを、ため息混じりに再びしたアルティスは、テーブルの上に、様々な道具、部品を広げ、聖銃の調整を行っていたローウェンの手元を覗きこむ。
「待って、もうちょっと………………、出来た!」
カチャカチャ
いじり回していた聖銃を掲げ、ローウェンは嬉しそうに笑う。
「そうか、良かったな」
「うん」
よしよしというように頭を撫でてくれる半身の暖かい手の感触を感じながら、ローウェンは大切なそれを膝の上に抱える。
「絶対、今日中にこれの調整をし直して、明日、リュセル兄さんに渡したかったんだ。きっと大変な一日になるから。身を守る武器を持っていてもらいたい」
「ロー」
思いつめたように呟くローウェンの体を、アルティスは後ろから抱き締めた。
いつも左目の上を覆っていた漆黒の眼帯を外したローウェンは、アルティスの周囲を覆う、わずかに輝く白銀の淡い光を見た。それは、他の女神の子供達の周囲にもあり、よくはわからないが、自分にもあるはずだ。触れようとしても決して触れる事が出来ない事から、それが、自分にしか見えぬ幻覚なのだと気づいている。
菫色をした左の目にしか映らぬ、幻の光(オーラ)。
自分達を覆う神気が具現化した、神子の証なのだろうとローウェンは勝手に思っていた。
「見えざるものを見る瞳」
ローウェンはそう言うと、左目の上に左手を添える。
「スノーデュークが言っていたんだ。僕のこの目は、見えないものを見るって。アルやリュセル兄さん、女神の子供達の周囲に見える幻光も、そうなんだろうな。他の人達には見えないもん」
もしかしたら、邪神の贄になる運命だったかもしれない弟。そう考えると、アルティスは胸の奥が凍え、体が震えるのを止められなかった。
「今までそれが見えなかったのは、きっと、僕がこの目を疎んでいたからだろうね。目の前の運命から逃げて、見えるものを見ようとしなかった」
見えるようになったのは、自分のすべてを受け入れてくれる半身の存在を得、心身ともにローウェンが強くなったからなのでろう。
「…………………………怖いよ、アル」
「ロー」
長い沈黙の後、紡がれた泣き声に、アルティスはローウェンを抱く力を強めた。
「見ちゃったんだ。リュセル兄さんとレオンハルト兄さんに見えるのは、幻光だけじゃない!」
二人の背に見える、翼。
幻光よりもはっきり見えるそれは、幻翼。白銀に輝く神の証。それも、リュセルは右翼、レオンハルトは左翼と、片翼ずつなのだ。あれは、きっと……。
目の奥に浮かぶのは、聖なる輝きに満ちた母神。
「あれは、母様だよ。母様の翼が重なって見えるんだ」
当たり前だ。彼らの魂は、女神のものであるのだから。
他の者には見えない。ローウェンにしか見えない。だからこそ、不安になる。
「う……、ううぅ、リュセル兄さんとレオンハルト兄さん……。ずっと僕達と一緒に、この世界にいてくれるよね? どっか、いなくなったりしないよね?」
「ああ、いなくならぬさ。その為に、我ら同胞がおるのだからな。だから、泣くでない」
力強いアルティスの言葉を聞いて、ローウェンはゴシゴシと涙の滲む両目をこする。
「うん。泣いてたって、何も変わらないしね。僕は、アルを守る為と、リュセル兄さんやレオンハルト兄さんを誰にも渡さない為になら、この瞳の力を最大限に使うよ! 疎まれてきた、この忌眼で、全部丸ごと守ってみせる!」
強く、未来を見据える少年の瞳。
それは、すべてを見通すという力がなくても、十分価値のあるものにアルティスは感じられた。とても誇らしく、そして、たまらなく愛しい。
「愛しているよ、ロー。お前が、何よりも愛しい」
兄の想いを聞いたローウェンは、自分を抱く褐色の腕に触れると目を閉じた。
「うん、僕もだよ。アルティス……」
「では、これも見つかった事だし。俺はもう戻るぞ。お前も早く休めよ」
そう言いながら後ずさりし、ライサンの自室から撤退を試みる。
だが……。
「お待ちなさい」
去りかけようとしたルークの腕は、ライサンの手に掴まれてしまう。
「何の為に今夜は自室に戻したと思っているのですか。戻ったら、また掃除を再開するつもりでしょう?」
「…………」
その通りさ。
「明日は大変な一日になるのですよ。徹夜で掃除などという、馬鹿な事をするのがわかって、あなたを帰すはずがないでしょうが」
「わかった、掃除はしない。帰ったら休むようにする……つもりだ」
慌ててルークがそう言い返すが
「帰しませんよ」
最上級の笑顔での、その言葉により、今夜もお泊りが決定してしまったのだった。
「はい。いい子ですから、これを飲んだら一緒に寝ましょうね?」
神官長用私室備え付けの浴室で湯浴みを済ませた後、夜着に着替えた(ライサンがルーク用に用意したものだ)ルークは、無理矢理テーブルの席に座らされて、温かな紅茶を渡される。
眠る前なので、薄めに淹れられたそれは、結構おいしかった。
(一緒に寝る……、寝るのか)
どよ~ん
紅茶を飲み終わりたくない。
そんなルークの気持ちが分かったのか、ライサンはにこにこ笑いながら言った。
「心配しなくても、今夜は何もしませんよ。ただ、寝台は一つしかありませんので、一緒に寝てもらいますがね」
「……そうか」
ふ~ふ~、コクコクコク
熱い紅茶を冷ましながら飲み始めたルークのわかりやすい態度を目にし、ライサンは軽くショックを受ける。
「そんなに嫌でしたか。ちょっとショックですね。おかしいですねぇ、結構悦さそうなのに……」
ブーーーーッ
「この、色情狂が!」
ライサンの独り言を聞いたルークは、紅茶を吹き出すと同時に、近くに在った分厚い本を彼に向って投げ飛ばした。本の題名は、”黒猫ノンちゃんと真実の鏡”。シリーズ第十五作目だ。
パシッ
近距離から飛んできたそれを、軽々キャッチしたライサンは、穏やかな声で嗜めた。
「人に向かって物を投げてはいけないと教えてきたでしょう? まあ、今更ですが」
本やら、筆記具やら、靴やら、色々な物を投げつけられてきているライサンは、そう言うと、諦めにも似たため息をつく。
「ねぇ、ルーク」
「なんだ?」
紅茶を飲みながら、ルークは目の前のライサンに嫌々ながらに目を向ける。また何か、おかしな事を言うつもりなのか?
「もし、私が自分を見失ったらどうします?」
頬杖をつき、ルークから目線を逸らしたライサンは、ぼんやりとした口調でそう尋ねた。先程の、窓の外の何かを聞いていた時と同じような状態。どこか、遠くを気にしているような……。
その時、ルークは何故だか、ライサンがどこか遠くに行ってしまうような感覚に陥った。そして、非常にショックな事に、それは予想外な程、大きな不安と焦燥だったのだ。
この男が自分の前からいなくなる事。それがこんなにも怖いとは……。その事実にショックを受けると同時に、怒りが込み上げる。ショックを受けた自分と、それに気づかせたライサンに対して。
(クソっ)
ルークは自分に毒づきながら立ち上がると、ライサンの手元にあった本(黒猫ノンちゃんシリーズ第十五巻)を掴み上げた。
そのまま……。
スパーーーーーーンッ
勢いよく、ライサンの頭をそれで叩く。
ボーーーーッとして、隙だらけだったライサンは、簡単にルークに殴られてしまう。
「イ、イタ、ちょっと……、痛いですよ、ルーク」
「安心しろ。こうやって殴って、お前を元に戻してやる」
面倒くさそうなルークの言葉を聞いたライサンは、涙目のまま目を瞬かせる。
先程、自分が何気なく口にした問いの、これが答えか……。それに気づいたライサンは、微笑を浮かべ、不意に立ち上がると、訝しげなルークの手を取り、その唇に口づけた。
テーブル越しに触れるだけの口づけをしたライサンは、真っ赤になったルークに想いを告げる。
「好きですよ、ルーク」
何度となくされたその告白に、ルークは戸惑うように瞳を揺らす。
「あなたを、誰よりも愛しています」
嘘偽りない、真の言葉。
それを捧げると、ルークの燃えるような赤い髪に触れる。しばらくその感触を楽しむように撫でた後、ライサンは話題を変えるように言った。
「さてと、そろそろ休みましょう。眠れないようなら、私が子守歌代わりに黒猫ノンちゃんの本の朗読を聞かせてさしあげますが?」
「いらん」
ライサンの申し出をきっぱりと断ると、ルークは立ち上がり、部屋の奥に配置された寝台へと歩み寄り、そのまま、ライサンに背を向けた状態で横になった。
「ふふ、おやすみなさい、ルーク」
就寝の挨拶を告げた後、ライサンはまた窓の方へと視線を向けた。
(…………まだ聞こえる。一体、いつまで)
心配そうに眉根を寄せながら寝台の上に上がると、嫌がるルークに朗読を聞かせ、彼が眠りに落ちてもその寝顔を見つめたまま、ライサンは耳に聞こえるそれが終わるまで、眠るのを拒否し続けた。
そうやって、ライサンがルークを寝かしつけている間、アシェイラ城の客室に泊まる彼も、夜更かしをしている半身を寝かせようとしていた。
「ロー、そろそろ眠らぬと、明日が辛いぞ」
これまで幾度となくした呼びかけを、ため息混じりに再びしたアルティスは、テーブルの上に、様々な道具、部品を広げ、聖銃の調整を行っていたローウェンの手元を覗きこむ。
「待って、もうちょっと………………、出来た!」
カチャカチャ
いじり回していた聖銃を掲げ、ローウェンは嬉しそうに笑う。
「そうか、良かったな」
「うん」
よしよしというように頭を撫でてくれる半身の暖かい手の感触を感じながら、ローウェンは大切なそれを膝の上に抱える。
「絶対、今日中にこれの調整をし直して、明日、リュセル兄さんに渡したかったんだ。きっと大変な一日になるから。身を守る武器を持っていてもらいたい」
「ロー」
思いつめたように呟くローウェンの体を、アルティスは後ろから抱き締めた。
いつも左目の上を覆っていた漆黒の眼帯を外したローウェンは、アルティスの周囲を覆う、わずかに輝く白銀の淡い光を見た。それは、他の女神の子供達の周囲にもあり、よくはわからないが、自分にもあるはずだ。触れようとしても決して触れる事が出来ない事から、それが、自分にしか見えぬ幻覚なのだと気づいている。
菫色をした左の目にしか映らぬ、幻の光(オーラ)。
自分達を覆う神気が具現化した、神子の証なのだろうとローウェンは勝手に思っていた。
「見えざるものを見る瞳」
ローウェンはそう言うと、左目の上に左手を添える。
「スノーデュークが言っていたんだ。僕のこの目は、見えないものを見るって。アルやリュセル兄さん、女神の子供達の周囲に見える幻光も、そうなんだろうな。他の人達には見えないもん」
もしかしたら、邪神の贄になる運命だったかもしれない弟。そう考えると、アルティスは胸の奥が凍え、体が震えるのを止められなかった。
「今までそれが見えなかったのは、きっと、僕がこの目を疎んでいたからだろうね。目の前の運命から逃げて、見えるものを見ようとしなかった」
見えるようになったのは、自分のすべてを受け入れてくれる半身の存在を得、心身ともにローウェンが強くなったからなのでろう。
「…………………………怖いよ、アル」
「ロー」
長い沈黙の後、紡がれた泣き声に、アルティスはローウェンを抱く力を強めた。
「見ちゃったんだ。リュセル兄さんとレオンハルト兄さんに見えるのは、幻光だけじゃない!」
二人の背に見える、翼。
幻光よりもはっきり見えるそれは、幻翼。白銀に輝く神の証。それも、リュセルは右翼、レオンハルトは左翼と、片翼ずつなのだ。あれは、きっと……。
目の奥に浮かぶのは、聖なる輝きに満ちた母神。
「あれは、母様だよ。母様の翼が重なって見えるんだ」
当たり前だ。彼らの魂は、女神のものであるのだから。
他の者には見えない。ローウェンにしか見えない。だからこそ、不安になる。
「う……、ううぅ、リュセル兄さんとレオンハルト兄さん……。ずっと僕達と一緒に、この世界にいてくれるよね? どっか、いなくなったりしないよね?」
「ああ、いなくならぬさ。その為に、我ら同胞がおるのだからな。だから、泣くでない」
力強いアルティスの言葉を聞いて、ローウェンはゴシゴシと涙の滲む両目をこする。
「うん。泣いてたって、何も変わらないしね。僕は、アルを守る為と、リュセル兄さんやレオンハルト兄さんを誰にも渡さない為になら、この瞳の力を最大限に使うよ! 疎まれてきた、この忌眼で、全部丸ごと守ってみせる!」
強く、未来を見据える少年の瞳。
それは、すべてを見通すという力がなくても、十分価値のあるものにアルティスは感じられた。とても誇らしく、そして、たまらなく愛しい。
「愛しているよ、ロー。お前が、何よりも愛しい」
兄の想いを聞いたローウェンは、自分を抱く褐色の腕に触れると目を閉じた。
「うん、僕もだよ。アルティス……」
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