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episode18*その愛を信じてみたい※
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翌朝は、アラームが鳴るより少し前に目が覚めた。
0時をまわっておめでとうを伝えた後にベッドに入ったのだから睡眠時間はいつもより少ないはずなのに、隣にぬくもりを感じながら眠ったおかげで熟睡できたらしく、気分がすっきりとしている。
明るいと寝付けない要の寝室のカーテンは、暗めの色をした少し厚手の遮光カーテンだ。
いつも隙間なくびっちりと閉じられているそれを、少しだけずらして窓の外を見てみる。
梅雨入り前の少しだけ夏を先取りしたみたいなギラギラの太陽が、雲一つない青空に燦々と輝いていた。
「タルさん…、もう起きる時間ですか。」
「あ、ごめん、眩しかった?」
「いえ、大丈夫です、俺ももう起きます。」
「そっか、じゃあ俺先に戻って飯用意しとくから、準備出来たら上に来な?」
「はい、ありがとうございます。」
ベッドを抜け出して部屋を出ようとしたとき、あ、と気が付いて要の方を振り返る。
誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう、それらを伝えてからでないと今日が始まらない。
ぎゅっと抱きしめて額にキスをしながら伝えると、要は口元を手で押さえながら、照れたように笑った。
一緒に朝食を摂って、いつも通り並んで出社して、定時に上がれるようにいつもよりハイペースで仕事をこなして、就業後は同じ場所へ帰る。
それはいつもと同じように見えて、今日だけは特別な意味を持つ。
要が選んでくれたから、今こうして隣でこの日を迎えられている。
誕生日を共に過ごす相手を、家族でも友人でもなく、俺に決めてくれたから。
その事実だけで、1日胸がいっぱいになっていた。
ダイニングテーブルには、今日のメインの鶏肉と、卓上IHコンロ、マヨネーズなどで作った特製ソース、それからノンアルコールのレモンサワー。
昨夜、リクエストを受けてから一緒にスーパーへ行って、大量に買い込んだ鶏肉を唐揚げ用に漬け込んでおいたものを、卓上コンロの上で揚げながら食べる計画だ。
何だって、揚げたてが一番うまい。
俺には、要に一番うまい状態のものを食わせてやる使命がある。
「うわ、タルさんのからあげを揚げたそばから食えるって、夢の食べ方ですね。」
「ははっ、油跳ねるからそれだけは注意な。」
「はーい、つか、え、これとこれ色違いません?」
「うん、醤油と塩の2種類漬けてみた。」
「あぁっ、最高かよ…。」
「ははっ、…米は?どんくらい食う?」
「こんなん米いくらでもいけるやつですよ。」
「じゃあ、多めによそっておくな?」
「はい、ありがとうございます。」
揚げたてのからあげを要の皿にのせたら、あついあついと言いながらも嬉しそうに一口かじって、うまいって俺の好きな最高の笑顔を向けてくれる。
タルさんも食べてみてください、めちゃくっちゃ美味いですよ、と残りの半分を口に放り込まれて、あついあついって言いながら笑い合って食べた。
食後、シャワーを浴びて、明日の準備を整えてから要の部屋へ向かうと、リビングでソファに腰かけていた要がこちらを見て、隣のシートをポンポンと叩き、早く来いと催促してくる。
小走りで駆け寄って勢いよくソファにダイブすると、嬉しそうな顔で、待ちかねていたようにぎゅうっと強く抱きしめられた。
そのまま流れるようにひじ掛けの方へ押し倒されて、そこからずっと、唇を吸われ続けている。
「…っ、…要ぇ?…っふ、長くねぇ?」
「うん、…っ、だって、…気持ちいんだもん。」
「……あきねぇの?…はっ、明日唇腫れそうじゃねぇ?」
「あきるわけっ、ないでしょ、…俺タルさんとキスすんの、好きなのにっ。」
「ははっ、そうなの?…んっ、なら、いいけど。」
要が唇を離して、ハッとした顔で間近から見下ろしてくる。
「え、タルさんは飽きてるんですか?」
「いや?全然。」
「ふはっ、よかった。」
要は安心したように笑ってキスを再開すると、脇腹に手を這わせて、腰から太ももにかけてをさらさらと撫でてきた。
「タルさん、まだ傷痛いですか?」
「うん?昨日よりはだいぶマシだよ。」
「………今からシたいっていったら、怒りますか?」
「…怒んねぇよ、怒んねぇけど、要の事、満足させてやれねぇかもよ。」
「良いんです、ただ欲しいだけなので。」
「っ…、シーツの替えあんの?」
「ははっ、何の心配ですか、タオルでも敷いとけばいいでしょ。」
「じゃあ、…首触んの禁止、乳首禁止、名前呼ぶの禁止な。」
「ん~、守れたらね。」
翌朝は、アラームが鳴るより少し前に目が覚めた。
0時をまわっておめでとうを伝えた後にベッドに入ったのだから睡眠時間はいつもより少ないはずなのに、隣にぬくもりを感じながら眠ったおかげで熟睡できたらしく、気分がすっきりとしている。
明るいと寝付けない要の寝室のカーテンは、暗めの色をした少し厚手の遮光カーテンだ。
いつも隙間なくびっちりと閉じられているそれを、少しだけずらして窓の外を見てみる。
梅雨入り前の少しだけ夏を先取りしたみたいなギラギラの太陽が、雲一つない青空に燦々と輝いていた。
「タルさん…、もう起きる時間ですか。」
「あ、ごめん、眩しかった?」
「いえ、大丈夫です、俺ももう起きます。」
「そっか、じゃあ俺先に戻って飯用意しとくから、準備出来たら上に来な?」
「はい、ありがとうございます。」
ベッドを抜け出して部屋を出ようとしたとき、あ、と気が付いて要の方を振り返る。
誕生日おめでとう、生まれてきてくれてありがとう、それらを伝えてからでないと今日が始まらない。
ぎゅっと抱きしめて額にキスをしながら伝えると、要は口元を手で押さえながら、照れたように笑った。
一緒に朝食を摂って、いつも通り並んで出社して、定時に上がれるようにいつもよりハイペースで仕事をこなして、就業後は同じ場所へ帰る。
それはいつもと同じように見えて、今日だけは特別な意味を持つ。
要が選んでくれたから、今こうして隣でこの日を迎えられている。
誕生日を共に過ごす相手を、家族でも友人でもなく、俺に決めてくれたから。
その事実だけで、1日胸がいっぱいになっていた。
ダイニングテーブルには、今日のメインの鶏肉と、卓上IHコンロ、マヨネーズなどで作った特製ソース、それからノンアルコールのレモンサワー。
昨夜、リクエストを受けてから一緒にスーパーへ行って、大量に買い込んだ鶏肉を唐揚げ用に漬け込んでおいたものを、卓上コンロの上で揚げながら食べる計画だ。
何だって、揚げたてが一番うまい。
俺には、要に一番うまい状態のものを食わせてやる使命がある。
「うわ、タルさんのからあげを揚げたそばから食えるって、夢の食べ方ですね。」
「ははっ、油跳ねるからそれだけは注意な。」
「はーい、つか、え、これとこれ色違いません?」
「うん、醤油と塩の2種類漬けてみた。」
「あぁっ、最高かよ…。」
「ははっ、…米は?どんくらい食う?」
「こんなん米いくらでもいけるやつですよ。」
「じゃあ、多めによそっておくな?」
「はい、ありがとうございます。」
揚げたてのからあげを要の皿にのせたら、あついあついと言いながらも嬉しそうに一口かじって、うまいって俺の好きな最高の笑顔を向けてくれる。
タルさんも食べてみてください、めちゃくっちゃ美味いですよ、と残りの半分を口に放り込まれて、あついあついって言いながら笑い合って食べた。
食後、シャワーを浴びて、明日の準備を整えてから要の部屋へ向かうと、リビングでソファに腰かけていた要がこちらを見て、隣のシートをポンポンと叩き、早く来いと催促してくる。
小走りで駆け寄って勢いよくソファにダイブすると、嬉しそうな顔で、待ちかねていたようにぎゅうっと強く抱きしめられた。
そのまま流れるようにひじ掛けの方へ押し倒されて、そこからずっと、唇を吸われ続けている。
「…っ、…要ぇ?…っふ、長くねぇ?」
「うん、…っ、だって、…気持ちいんだもん。」
「……あきねぇの?…はっ、明日唇腫れそうじゃねぇ?」
「あきるわけっ、ないでしょ、…俺タルさんとキスすんの、好きなのにっ。」
「ははっ、そうなの?…んっ、なら、いいけど。」
要が唇を離して、ハッとした顔で間近から見下ろしてくる。
「え、タルさんは飽きてるんですか?」
「いや?全然。」
「ふはっ、よかった。」
要は安心したように笑ってキスを再開すると、脇腹に手を這わせて、腰から太ももにかけてをさらさらと撫でてきた。
「タルさん、まだ傷痛いですか?」
「うん?昨日よりはだいぶマシだよ。」
「………今からシたいっていったら、怒りますか?」
「…怒んねぇよ、怒んねぇけど、要の事、満足させてやれねぇかもよ。」
「良いんです、ただ欲しいだけなので。」
「っ…、シーツの替えあんの?」
「ははっ、何の心配ですか、タオルでも敷いとけばいいでしょ。」
「じゃあ、…首触んの禁止、乳首禁止、名前呼ぶの禁止な。」
「ん~、守れたらね。」
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