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本編
③
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あったかい……ふわふわしてる……。
ここ、どこだろう。
まぶたの向こうがちょっとまぶしくて、ゆっくり目を開けると――白くてきれいな布が、天井からゆらゆらしていた。
起き上がってあたりを見渡すと、自分がすっごく大きなベッドの上に寝ていることに気づいた。
「わぁ……おっきい……」
何人寝られるんだろう。
お布団も、やわらかくて、ふかふかで……。
ぎゅって抱きしめたら、まるで雲みたい。
あれ、でもどうしてこんなところにいるんだろう?
ゆっくり、昨日のことを思い出す。
そうだ、神様と話して……それから違う世界に来たんだった。
夢じゃないんだ。
外、どんな感じなんだろう。
ちょっと見てみたい。
そう思ってベッドからおりようとしたら、足元にかけ布団が落ちてて、それに足がひっかかった。
「あっ!」
どてんっていきそうになって――
「おっと」
低い声がして、ふわっと誰かの腕の中に包まれた。
……え?
そっと顔を上げると、キラキラした銀の髪と、青い目が目に入った。
まるで絵本の王子様みたい。
「大丈夫ですか?」
やさしい声。
「……だぁれ?」
「失礼いたしました。フランベルジェ王国第一王子、ルーファス・フランベルジェです。」
「……おうじさま?」
ほんとに、王子様なんだ……。
でもルーファスって、なんか言いにくいな。
「ルー?」
そう聞いてみたら、王子様――ルーファスはぴたりと止まった。
あれ……怒った?
呼び方、だめだった?
胸の奥がキュッて痛くなる。
怒られたらどうしよう。叩かれるの、やだ……。
「ご、ごめんなさい……!」
思わず小さな声が出る。
だけど、次の瞬間。
「っ、モモ様、失礼いたします」
ふわり、と抱き上げられた。
背中をやさしくなでられて、びっくりする。
……殴られない?
「おこってないの……? ルーって呼んだのに」
「怒ってないですよ。むしろ、嬉しいです。」
「うれしい……?」
こくん、と頷くルー。
その笑顔を見たら、胸の中のぎゅうってなってた怖いのが、すーって消えていった。
「ですとかますとか、“様”もいらないよ。普通に話して?」
「……わかったよ。」
「うんっ」
嬉しくて、思わずぎゅうっと抱きつきルーの頬にすり寄る
「……モモは、他の人にもすぐ抱きついたりするの?」
「しないよ? ルーはなんとなく、ぎゅーってしたかったの。」
「……そうか。じゃあこれからは、俺以外の人にはむやみに触れたらだめだよ。わかった?」
「? うん。」
「うん、いい子だ。」
ぽんぽんって頭をなでられると、なんだかくすぐったい。
でも、うれしい。
ぎゅってされるよりも、もっとあったかい。
「外を見たかったんでしょ? 一緒に行こうか。」
そう言って、抱っこされたまま窓のそばへ。
わぁ……!
外はきらきらしてて、鳥が空を飛んでる!
建物も、空も、全部きれい。
「この国はね、戦争もなくて、近くの国の中でも一番平和なんだよ。」
「へいわ……?」
「うん。みんな笑って暮らしてる国だ。」
平和……。
いいなぁ。みんな、笑ってるんだ。
いいな……。
「そろそろ戻ろうか。身体を冷やすと良くないからね。」
「はぁい」
部屋に戻ると、ルーは大きなソファに座らせて、ふわふわのブランケットを膝にかけてくれた。
「今日は来たばかりだから、ゆっくり休もう。侍女や護衛は明日紹介するよ。」
「じじょ? ごえい?」
「モモを助けてくれる人たちのことだよ。」
「ふーん……」
よくわかんないけど、叩かれなかったらいいな
「よければ、モモの話を聞かせて?」
「ぼくの?」
「うん。好きなこと、嫌いなこと。モモのことが知りたい。」
そんなふうに言われたの、初めて。
胸がきゅってなって、でもあったかくて、
ぽつぽつと話してしまった。
お母さんのこと。家のこと。
食べるのが怖いこと。
ルーは一言も遮らず、ただ真剣に、優しい目で聞いてくれた。
気づけば僕は、彼の膝の上にちょこんと座っていて――
あぁ、こんなに安心できる場所があるなんて、知らなかった。
「ルー……」
「ん?」
「ありがと……」
あぁ、なんか……眠くなってきた。
ルーの手が髪を撫でてる音が、心地よくて。
「……おやすみ、モモ。」
その声を最後に、僕はあたたかい光の中で、なんだか素敵な夢を見た
ここ、どこだろう。
まぶたの向こうがちょっとまぶしくて、ゆっくり目を開けると――白くてきれいな布が、天井からゆらゆらしていた。
起き上がってあたりを見渡すと、自分がすっごく大きなベッドの上に寝ていることに気づいた。
「わぁ……おっきい……」
何人寝られるんだろう。
お布団も、やわらかくて、ふかふかで……。
ぎゅって抱きしめたら、まるで雲みたい。
あれ、でもどうしてこんなところにいるんだろう?
ゆっくり、昨日のことを思い出す。
そうだ、神様と話して……それから違う世界に来たんだった。
夢じゃないんだ。
外、どんな感じなんだろう。
ちょっと見てみたい。
そう思ってベッドからおりようとしたら、足元にかけ布団が落ちてて、それに足がひっかかった。
「あっ!」
どてんっていきそうになって――
「おっと」
低い声がして、ふわっと誰かの腕の中に包まれた。
……え?
そっと顔を上げると、キラキラした銀の髪と、青い目が目に入った。
まるで絵本の王子様みたい。
「大丈夫ですか?」
やさしい声。
「……だぁれ?」
「失礼いたしました。フランベルジェ王国第一王子、ルーファス・フランベルジェです。」
「……おうじさま?」
ほんとに、王子様なんだ……。
でもルーファスって、なんか言いにくいな。
「ルー?」
そう聞いてみたら、王子様――ルーファスはぴたりと止まった。
あれ……怒った?
呼び方、だめだった?
胸の奥がキュッて痛くなる。
怒られたらどうしよう。叩かれるの、やだ……。
「ご、ごめんなさい……!」
思わず小さな声が出る。
だけど、次の瞬間。
「っ、モモ様、失礼いたします」
ふわり、と抱き上げられた。
背中をやさしくなでられて、びっくりする。
……殴られない?
「おこってないの……? ルーって呼んだのに」
「怒ってないですよ。むしろ、嬉しいです。」
「うれしい……?」
こくん、と頷くルー。
その笑顔を見たら、胸の中のぎゅうってなってた怖いのが、すーって消えていった。
「ですとかますとか、“様”もいらないよ。普通に話して?」
「……わかったよ。」
「うんっ」
嬉しくて、思わずぎゅうっと抱きつきルーの頬にすり寄る
「……モモは、他の人にもすぐ抱きついたりするの?」
「しないよ? ルーはなんとなく、ぎゅーってしたかったの。」
「……そうか。じゃあこれからは、俺以外の人にはむやみに触れたらだめだよ。わかった?」
「? うん。」
「うん、いい子だ。」
ぽんぽんって頭をなでられると、なんだかくすぐったい。
でも、うれしい。
ぎゅってされるよりも、もっとあったかい。
「外を見たかったんでしょ? 一緒に行こうか。」
そう言って、抱っこされたまま窓のそばへ。
わぁ……!
外はきらきらしてて、鳥が空を飛んでる!
建物も、空も、全部きれい。
「この国はね、戦争もなくて、近くの国の中でも一番平和なんだよ。」
「へいわ……?」
「うん。みんな笑って暮らしてる国だ。」
平和……。
いいなぁ。みんな、笑ってるんだ。
いいな……。
「そろそろ戻ろうか。身体を冷やすと良くないからね。」
「はぁい」
部屋に戻ると、ルーは大きなソファに座らせて、ふわふわのブランケットを膝にかけてくれた。
「今日は来たばかりだから、ゆっくり休もう。侍女や護衛は明日紹介するよ。」
「じじょ? ごえい?」
「モモを助けてくれる人たちのことだよ。」
「ふーん……」
よくわかんないけど、叩かれなかったらいいな
「よければ、モモの話を聞かせて?」
「ぼくの?」
「うん。好きなこと、嫌いなこと。モモのことが知りたい。」
そんなふうに言われたの、初めて。
胸がきゅってなって、でもあったかくて、
ぽつぽつと話してしまった。
お母さんのこと。家のこと。
食べるのが怖いこと。
ルーは一言も遮らず、ただ真剣に、優しい目で聞いてくれた。
気づけば僕は、彼の膝の上にちょこんと座っていて――
あぁ、こんなに安心できる場所があるなんて、知らなかった。
「ルー……」
「ん?」
「ありがと……」
あぁ、なんか……眠くなってきた。
ルーの手が髪を撫でてる音が、心地よくて。
「……おやすみ、モモ。」
その声を最後に、僕はあたたかい光の中で、なんだか素敵な夢を見た
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