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第一章 漆黒の翼
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「何なの、あの娘……」
アルフィは驚愕のあまり、黒曜石の瞳を大きく見開いた。
先ほどまで無残に倒れていた全裸の少女が、光る剣を呼び出すとオーガキングを一撃で爆散させたのだ。
「凄まじい覇気だ。クラスA? いや、クラスSか?」
ダグラスも唖然としながら、倒れ込んだ少女を見つめた。
「取りあえず、助けるわよ。中級回復ポーションを出しておいて」
「分かった」
ダグラスは腰につけた革袋から中級回復ポーションを一本取り出すと、少女に向かって走り出したアルフィを追いかけた。
「これは……」
倒れた少女の体を見て、アルフィは顔を顰めた。
体中のあちこちに無残な凌辱の後があり、秘唇からは白濁した男の精液が垂れ、白い太ももを伝って流れ出ていた。
「ひどいな。あいつらにやられたのか?」
オーガキングに殺された四人の死体に目を向けると、ダグラスは革の上着を脱いで少女の体にかけた。
「ダグラス、彼女を運んで。あたしは剣と彼女の服を持って行くわ」
「分かった」
短く答えると、ダグラスは少女を抱き上げた。
脱力した肢体から、少女は淡紫色の長い髪とともに頭と右腕を垂らした。
「何なの、この刀……。こんな重い刀を振り回してたの?」
白銀の刀を持ち上げた瞬間、アルフィは驚きの声を上げた。普通の剣の二倍はある重量が、アルフィの手に伝わってきた。
「それに、鞘が見当たらないわ。抜き身のまま持ち歩いてたなんて考えられないし……」
「確かに近くには落ちてないな。仕方ないが鞘は諦めよう。それより、ポーションを飲める状態じゃないな。気がついてから飲ませるか?」
「それしかないわね。こんな時、回復魔法を使える仲間がいたらいいのに……」
アルフィは顔にかかった長い漆黒の髪をかき上げながら言った。
その美貌を曇らせると、アルフィは豊かな胸に少女の服をかき抱き、右手で抜き身の刀を持った。
「取りあえず、宿に戻るわよ。ギルドへの報告は明日でいいわ。彼女を回復させるのが先よ」
「そうだ、アルフィ。オーガキング討伐の証拠になるような物が残っていないか見てくれ。角か魔石でも残っていればいいんだが……」
魔獣を倒すと、魔石と呼ばれる核が残ることがあった。人間で言えば、心臓に相当するものだった。強力な魔獣になればなるほど魔石は大きく、それを分析することにより討伐した魔獣を特定できるのだ。
「あったわ。さすがにオーガキングとなると、魔石も大きいわね」
地面に突き刺さっていた魔石を拾い上げると、アルフィが告げた。ゴブリンの魔石は一セグメッツェくらいであるのに対し、オーガキングの魔石はアルフィの握りこぶしよりも大きかった。黒水晶のような濁りのない透明な黒色で、赤い炎のような紋様が中心に封じられていた。
「よし、宿に戻ろう」
そう告げると、腕に抱いた少女の顔を一瞥してダグラスは歩き出した。
(それにしても凄まじい覇気だったわ。内包する魔力量も信じられないほど大きい。もしかしたら、あたしより多いかも知れない……)
長い睫毛を伏せて眼を閉じている少女の美貌を見つめながら、アルフィは黒曜石の瞳を輝かせた。
(これは、すごい拾いものかも知れないわね)
魅惑的な唇に笑みを浮かべると、アルフィは少女を抱いたダグラスの後を追いかけていった。
アルフィは驚愕のあまり、黒曜石の瞳を大きく見開いた。
先ほどまで無残に倒れていた全裸の少女が、光る剣を呼び出すとオーガキングを一撃で爆散させたのだ。
「凄まじい覇気だ。クラスA? いや、クラスSか?」
ダグラスも唖然としながら、倒れ込んだ少女を見つめた。
「取りあえず、助けるわよ。中級回復ポーションを出しておいて」
「分かった」
ダグラスは腰につけた革袋から中級回復ポーションを一本取り出すと、少女に向かって走り出したアルフィを追いかけた。
「これは……」
倒れた少女の体を見て、アルフィは顔を顰めた。
体中のあちこちに無残な凌辱の後があり、秘唇からは白濁した男の精液が垂れ、白い太ももを伝って流れ出ていた。
「ひどいな。あいつらにやられたのか?」
オーガキングに殺された四人の死体に目を向けると、ダグラスは革の上着を脱いで少女の体にかけた。
「ダグラス、彼女を運んで。あたしは剣と彼女の服を持って行くわ」
「分かった」
短く答えると、ダグラスは少女を抱き上げた。
脱力した肢体から、少女は淡紫色の長い髪とともに頭と右腕を垂らした。
「何なの、この刀……。こんな重い刀を振り回してたの?」
白銀の刀を持ち上げた瞬間、アルフィは驚きの声を上げた。普通の剣の二倍はある重量が、アルフィの手に伝わってきた。
「それに、鞘が見当たらないわ。抜き身のまま持ち歩いてたなんて考えられないし……」
「確かに近くには落ちてないな。仕方ないが鞘は諦めよう。それより、ポーションを飲める状態じゃないな。気がついてから飲ませるか?」
「それしかないわね。こんな時、回復魔法を使える仲間がいたらいいのに……」
アルフィは顔にかかった長い漆黒の髪をかき上げながら言った。
その美貌を曇らせると、アルフィは豊かな胸に少女の服をかき抱き、右手で抜き身の刀を持った。
「取りあえず、宿に戻るわよ。ギルドへの報告は明日でいいわ。彼女を回復させるのが先よ」
「そうだ、アルフィ。オーガキング討伐の証拠になるような物が残っていないか見てくれ。角か魔石でも残っていればいいんだが……」
魔獣を倒すと、魔石と呼ばれる核が残ることがあった。人間で言えば、心臓に相当するものだった。強力な魔獣になればなるほど魔石は大きく、それを分析することにより討伐した魔獣を特定できるのだ。
「あったわ。さすがにオーガキングとなると、魔石も大きいわね」
地面に突き刺さっていた魔石を拾い上げると、アルフィが告げた。ゴブリンの魔石は一セグメッツェくらいであるのに対し、オーガキングの魔石はアルフィの握りこぶしよりも大きかった。黒水晶のような濁りのない透明な黒色で、赤い炎のような紋様が中心に封じられていた。
「よし、宿に戻ろう」
そう告げると、腕に抱いた少女の顔を一瞥してダグラスは歩き出した。
(それにしても凄まじい覇気だったわ。内包する魔力量も信じられないほど大きい。もしかしたら、あたしより多いかも知れない……)
長い睫毛を伏せて眼を閉じている少女の美貌を見つめながら、アルフィは黒曜石の瞳を輝かせた。
(これは、すごい拾いものかも知れないわね)
魅惑的な唇に笑みを浮かべると、アルフィは少女を抱いたダグラスの後を追いかけていった。
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