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十一歳
さまざまな関係
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次に訪れたクロードの母親、プリセラの元へ行くと、やはりクロードと感動の再会(笑)をしているようだった。レオノーラ皇女の部屋とは違って、侍女は一人だけ、しかもあちらに比べて落ちつきのある女性一人だけで、プリセラ自身、厳格そうな顔立ちをしているもののあちらとは違ってクセは少なそうな雰囲気だ。
「この度はリーゼベルツへお越しいただき、ありがとうございます。明日の準備で忙しいので、十分なおもてなしができませんが、少しでもおくつろぎいただけると幸いです」
クロード王子そっくりの金髪に吊りあがった瞳。まるでシンデレラに出てくる継母のようだけど、憎めない人にアリアは少しだけ嫌味を言うが、動じることもない。むしろ、そうだったわねと申し訳なさそうな笑みをこぼす。
「ええ、私のわがままで急な訪問になっちゃったから、受けいれてもらえただけでも嬉しいわ」
どうやら先ほどのレオノーラ皇女よりも常識人なようだ。そう安心した瞬間、プリセラは爆弾を落とす。
「そういえば、あなた、アリア・スフォルツァ公爵令嬢って知らないかしら?」
思わずはぁ!? と言ってしまった。
デジャブだ。デジャブ。
たしかそこにいるあなたの息子もおんなじことを言っていましたよ。
母親の質問にクロード王子も頭を抱える。自分と同じことを言ったことに気づいたのだろう。
「……――私ですが」
多分、同じ切りかえしだ。でも、それしか答えはないのだから仕方ないだろう。
「そう。だったら、ぜひこの子の嫁に迎えたいわね」
「お断りします」
なんなんだ、この女性は。レオノーラ皇女と違ったやばさがありそうだな。そう危機感を募らせると、プリセラはフフフっと笑い、息子を見て呟く。
「断られちゃったわねぇ」
「毎回です」
そんなに求婚もされてないはずだがと思ったが、ここはそういうことにしておこうと黙っておいた。
「とはいえども、弓の名手であることには変わりませんので、明日は楽しみにしておいてもいいと思いますよ」
……――――あ。
すっかり忘れていたが、アリアもそういえばだれかの推薦によって参加者の一人だったということを思いだした。
「そうね、あなたと行動するの?」
「さぁ、どうでしょう?」
どうやらよっぽどアリアの話を聞いていたらしいプリセラは、クロードとくっつけたがっているようだ。どうやればその幻想をなくしてくれるのかが今後の最重要課題なような気がする。
しかし、母親に尋ねられたのをいいことに、こちらに目配せしてくるクロード王子はどういった意図なのだろうか。たしか前に断ったよね?
アリアの気と胃の重さとは反対にプリセラは笑顔でさらに爆弾を投げつけてくる。
「そういえばフィリップ殿下もお嫁さんを探していたし、今度うちに来ませんか?」
なんでこの人は……っていうか、フィリップ殿下ってクロード王子の兄で、セリチアの王太子だよね。血筋をめぐる争いで仲が悪いんじゃないんだろうか。
そう思って説明しろとクロード王子に無言の圧をかけると、苦笑いした彼は説明を始めた。一瞬、プリセラはベアトリーチェを外そうとしたが、それを止めたのはクロードだった。彼は今回のひと騒動で気づいているのだろう。リーゼベルツ王家の意向を。
「僕と兄は対外的には仲が悪いことになっているだけなんだ」
「どういうことですか?」
思わす声をあげたのはベアトリーチェ。そうだろう。アリアでも声をあげるところだったから。でも、なるほどと納得いく部分もあった。
「あの人は勝手に貴族たちを争わせて、全員自滅してくれと願ってるのさ。だから、そのためには王家全体で協力しなければならない。生まれたときから成人するまでは兄の真意に気づけなくてね。聞かされたときはふざけんなとも思ったけど、でも、それからは楽しく演示させてもらってるよ」
クロード王子の言葉になるほどと思った。リーゼベルツでいうならばスフォルツァ家とバルティア家のような関係(ただし、こちらは一方的に嫌っていただけだが)だけども、セリチアはそれを利用して王権強化を図っている。
「だから、ときどきこうやって向こうがこちらの妻を探したり、こちらが向こうの妻を探したりしてるんだ」
こっそり水面下でねとおちゃめに笑うクロード王子。
だからといって巻きこまれる身にもなってほしい。
兄弟の謎が解け、プリセラにさらに巻きこまれる前に退散した二人。次に向かうべきところはひとつ。
「陛下のところに行かなきゃね」
「うん」
レオノーラが持ちこんだ案件を片づけなければならない。ベアトリーチェ自身にはまったく影響がないのに、昔、会ったことがあるという理由だけで気にかけてくれている。このかけがえのない友人を心配させないためにもきちんと片づけねば。
そう思って、次の戦場に向かった。
「この度はリーゼベルツへお越しいただき、ありがとうございます。明日の準備で忙しいので、十分なおもてなしができませんが、少しでもおくつろぎいただけると幸いです」
クロード王子そっくりの金髪に吊りあがった瞳。まるでシンデレラに出てくる継母のようだけど、憎めない人にアリアは少しだけ嫌味を言うが、動じることもない。むしろ、そうだったわねと申し訳なさそうな笑みをこぼす。
「ええ、私のわがままで急な訪問になっちゃったから、受けいれてもらえただけでも嬉しいわ」
どうやら先ほどのレオノーラ皇女よりも常識人なようだ。そう安心した瞬間、プリセラは爆弾を落とす。
「そういえば、あなた、アリア・スフォルツァ公爵令嬢って知らないかしら?」
思わずはぁ!? と言ってしまった。
デジャブだ。デジャブ。
たしかそこにいるあなたの息子もおんなじことを言っていましたよ。
母親の質問にクロード王子も頭を抱える。自分と同じことを言ったことに気づいたのだろう。
「……――私ですが」
多分、同じ切りかえしだ。でも、それしか答えはないのだから仕方ないだろう。
「そう。だったら、ぜひこの子の嫁に迎えたいわね」
「お断りします」
なんなんだ、この女性は。レオノーラ皇女と違ったやばさがありそうだな。そう危機感を募らせると、プリセラはフフフっと笑い、息子を見て呟く。
「断られちゃったわねぇ」
「毎回です」
そんなに求婚もされてないはずだがと思ったが、ここはそういうことにしておこうと黙っておいた。
「とはいえども、弓の名手であることには変わりませんので、明日は楽しみにしておいてもいいと思いますよ」
……――――あ。
すっかり忘れていたが、アリアもそういえばだれかの推薦によって参加者の一人だったということを思いだした。
「そうね、あなたと行動するの?」
「さぁ、どうでしょう?」
どうやらよっぽどアリアの話を聞いていたらしいプリセラは、クロードとくっつけたがっているようだ。どうやればその幻想をなくしてくれるのかが今後の最重要課題なような気がする。
しかし、母親に尋ねられたのをいいことに、こちらに目配せしてくるクロード王子はどういった意図なのだろうか。たしか前に断ったよね?
アリアの気と胃の重さとは反対にプリセラは笑顔でさらに爆弾を投げつけてくる。
「そういえばフィリップ殿下もお嫁さんを探していたし、今度うちに来ませんか?」
なんでこの人は……っていうか、フィリップ殿下ってクロード王子の兄で、セリチアの王太子だよね。血筋をめぐる争いで仲が悪いんじゃないんだろうか。
そう思って説明しろとクロード王子に無言の圧をかけると、苦笑いした彼は説明を始めた。一瞬、プリセラはベアトリーチェを外そうとしたが、それを止めたのはクロードだった。彼は今回のひと騒動で気づいているのだろう。リーゼベルツ王家の意向を。
「僕と兄は対外的には仲が悪いことになっているだけなんだ」
「どういうことですか?」
思わす声をあげたのはベアトリーチェ。そうだろう。アリアでも声をあげるところだったから。でも、なるほどと納得いく部分もあった。
「あの人は勝手に貴族たちを争わせて、全員自滅してくれと願ってるのさ。だから、そのためには王家全体で協力しなければならない。生まれたときから成人するまでは兄の真意に気づけなくてね。聞かされたときはふざけんなとも思ったけど、でも、それからは楽しく演示させてもらってるよ」
クロード王子の言葉になるほどと思った。リーゼベルツでいうならばスフォルツァ家とバルティア家のような関係(ただし、こちらは一方的に嫌っていただけだが)だけども、セリチアはそれを利用して王権強化を図っている。
「だから、ときどきこうやって向こうがこちらの妻を探したり、こちらが向こうの妻を探したりしてるんだ」
こっそり水面下でねとおちゃめに笑うクロード王子。
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レオノーラが持ちこんだ案件を片づけなければならない。ベアトリーチェ自身にはまったく影響がないのに、昔、会ったことがあるという理由だけで気にかけてくれている。このかけがえのない友人を心配させないためにもきちんと片づけねば。
そう思って、次の戦場に向かった。
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