転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね!? ~平凡に生きていくために、私は諦めないんだからっ!~

鶯埜 餡

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十一歳

自分の立場

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 クレメンスの執務室。
 プリセラに会う前、火急の用事で話があると国王とクレメンスを呼びだしてあったアリアたちはすぐにそこに通された。

「…………」
「……面倒な案件ですね」
 とりあえずレオノーラ皇女の件はさすがに、明日いきなり国王になんていうことはできない。スフォルツァ家の話ではあるものの、他国で内乱をなんて普通だったら、考えられないはずだから。
 だけどもそりゃ国王だってまさかこんな事態になると思っていなかったはずだから、沈黙するし、クレメンスが『面倒』と言いきっても仕方ない。
 アリアもベアトリーチェも一切、私情を交えずに話したあと、一応どうしましょうかと尋ねたのだが、深く考え込んだディートリヒ王は大きくため息をつき、考えこんでいる。
「少なくともこちらとしてはスベルニア皇国と荒波を立てたくありません。レオノーラ皇女の提案は最善なんですが」
 歯切れの悪いクレメンスの呟きに国王も頷く。
 どうやら二人はこれ以外にリリスに罪を償わせる方法がないか探っているようだ。
「それはなぜでしょうか?」
 一応『姉』であるアリアはなぜその方法に素直に頷くことができないのか尋ねると、ディートリヒ王が仕方ないなというように話しだす。
「これがフレデリカぐらいだったら、どうぞとくれてやったのだが、現スフォルツァ公爵の姉、すなわちスベルニアへ影響があるとみなされてもおかしくないからな」
 そういうことか。
 アリアが現在、迂闊に動けないのと同じ理由だった。なるほどと納得すると、二人が提案しあい、それを否定していく。
「かといって、こちらで引きとって北の方に流刑、もしくはどこかに幽閉というのは正直、コストがかかりすぎて面倒ですね」
「だな。同じような提案をこちらの国でしてやってもいいが、あいにくこちらでは適当な・・・人物はおらん。しかし、レオノーラ皇女の息がかかっている老兵というと、あの・・女好きか」
「……ああ、あの人ですか」
 リーゼベルツで流刑、もしくは幽閉という線は(コスト的)に難しいようだ。それに彼女の提案であるどこかの後妻にするというのはリーゼベルツうちでは難しいようだ。
 誰か信用のある人物と結婚させて、その人に監視してもらうというのは罰が軽すぎるうえ、不安定この上ない。そういう意味ではレオノーラ皇女の提案は最善なのだろう。
 しかし、リリスの自業自得とはいえ、国のトップ二人が納得しあえるほどの女好きとやらに結婚させられるのか。
 仮にも妹なので残念ではあったが、致し方ないとわりきることにした。

「ねぇ、大丈夫?」
 二人にレオノーラからもたらされた案件を話し終え、クレメンスの執務室を出たアリアにベアトリーチェが声をかける。
「どういう意味?」
 一瞬、彼女からかけられた言葉に、喧嘩を売っているのかと思ってしまったアリアはきつい言葉を言い放ち、ベアトリーチェを睨んでしまった。
「……――――っ」
 睨まれたベアトリーチェはびくりと肩を震わせる。
 ベアトリーチェの顔を見たアリアは彼女がそうではない人物だと思いなおす。彼女は純粋に自分のことを心配してくれているのだろう。
「……ごめん、少し気が立っていた」
「わかっている。大丈夫」
 なんで自分は腹を立てたのだろう。
 そんな自分にバカげているなと思ったアリアは素直に謝罪すると、ベアトリーチェは苦笑いしながら首を横に振る。
「私には兄弟姉妹がいないからわからないけど、きっとアリアはリリスちゃんを守りたかったんだね」
「え?」
 ベアトリーチェの解釈に今度はアリアが首を傾げた。
 あの前世の記憶が出てきたあと、彼女が勝手な行動をしだして以来、リリスを守ろうなんて思っていなかった。
「だってさ、さっきから多分、どこかではいっそのこと・・・・・・、なんて思ってなかった?」
 彼女は真剣な眼差しで尋ねてくるが、そこには感情が一切含まれず、絶対零度の無機質だった。
『いっそのこと』? まさか、彼女は『アリアがリリスを自分の手で殺そうなんて思っていなかった』ということを言っているのだろうか。
 どこでそんなことを彼女は考えだしたのだろうか。
 もしその考えが間違っていなければとアリアは薄ら寒くなった。
 しかし、ベアトリーチェはアリアの戦慄に気づいていないのか、ううんと首を横に振った。
「多分、私の気のせい。なんでもないわ」
 彼女はじゃあまた、明日ねとほほ笑んで自分の部屋に戻っていった。
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