転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね!? ~平凡に生きていくために、私は諦めないんだからっ!~

鶯埜 餡

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十一歳

いつもと違う

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 普通ならば、貴族の嫡子は文官になる。それなのにアラン・バルディアが騎士としているのはそれなりの理由がある。
「……すごいわね」
 獲った動物をその場で捌く腕前もすごかったが、その獲物を捕まえる技術もすごかった。
「ありがと」
 目を丸くして驚いたアリアに、素直に礼を言うアラン。
 さっき天幕から出るときはユリウスと一緒だったが、ちょっと経ったときにセルドアに連れていかれてしまったのだ。
「コクーン副騎士団長には敵わないけど、ある人に憧れて弓術を極めた」
「そうなのね」
 彼にも憧れとなる人物がいたことに驚いた。
「でも、そいつにはもう会えないというか、会ったところでわかってもらえねぇというか、その、まぁなんだ。とりあえず、その憧れた人には認めてもらえないけどな」
「へぇ」
 アランの憧れの視線に、なぜだか少しその人がうらやましかった。
「なぁ、お前こそ、なんで弓術がうまいんだ? 貴族令嬢なんて、そんな技術必要ないだろ? なにかあるのか?」
 いきなり質問されたアリアはどう答えようかと迷って、視線を彷徨わせた。
「いや、嫌なら言わなくていい。あまり他人のプライベートに立ち入っちゃいけないっていう不文律を守れなかったこちらが悪い」
 彼女が迷っている間に、アランは自己完結していた。

「あ、いるぞ」
「……あ、本当ね」
 しばらく二人で森の中を歩きまわったあと、アランが獲物の鹿を見つけたようだった。何回かお手本を見せてもらったので、今回はアリアが挑戦してみる番で、静かに矢をつがえる。
「あちら、木と木の間、右よりだ」
 アランのナビゲートによって照準を合わせていく。セルドアと前に練習したときと感覚が同じだったが、今はアランという攻略対象がレクチャーしてくれてる。だからか、ちょっとだけソワソワしてしまった。
「そうだ、そこだ」
「……ええ、わかった」
 放てという合図で弦を離す。放たれた矢は吸いこまれるようにして、鹿の胴に刺さる。
「やば」
 アランがそう呟いてアリアの袖をひき、そろって慌てて鹿から離れる。どうやら当たりどころが悪かったらしく、鹿が暴れはじめたようだったのだ。
 しかも、運の悪いことにアリアたちがいる方向に来たようで、興奮してるからか、より迫ってくるスピードが速いような気がした。
「……わりぃ」
「へっ!?」
 謝罪とともに思いきり体を引きよせられる。その次の瞬間、さっきまでアリアがいたところに鹿がいた。
 そういうことだったのね。
 彼が謝罪したのは仮にも公爵令嬢であるアリアの体を触ったから。そして、彼がいなければアリアは……――
「ありがとう」
「いや、構わない」
 最初出会ったときはかなり険悪な雰囲気を出していた彼だったけども、今では少しだけその警戒心をなくしてくれたらしい。
 アリアの服についた土を軽く払って、戻ろうと声をかけた。
「そうだな」
 アランはなにを考えていたのか一瞬だけ、目を細めたが、すぐに何事もなかったかのように手を差しだしてくれた。彼女はありがとうと微笑み、その手をとった。
「そういえばこないだ、姉貴が失礼なことを言ったようだな」
「え? ああ、そうだったわね」
 彼の姉から受けた言葉をすっかり忘れていたアリアは大丈夫よと首を振る。
「あのバカ姉貴は父に自慢するように言ってたから、今度同じようなことを言ったら、勘当すると言われてた」
「そう」
 なんかこれもどこかで見たことのあるようなやりとりだと思ったが、どうやら二人の父親、バルティア公爵はアリアに言ったとおり、きちんとベアトリーチェを王太子妃に推薦してくれる気があるようで、今度会ったときにはきちんと礼を言っておこうと決めた。
「うちの父がお前と会ってからずいぶんと変わった。お前、なにかしたか?」
「いいえ」
「そう、だよな」
 アランが変なことを見たかのように聞いてきたが、アリアにはさっぱりだった。
「おっと、迎えがきたようだ」
 無言でしばらく歩いていたら、前方から騎乗した騎士がやってきた。どうやら二人がなかなか帰ってこないのを不審に思ったのだろう。
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