7 / 69
1.少女のハンドクリーム
理由
しおりを挟む
テレーゼが『ステルラ』に飛び込みで訪れてから、二十日余りが経った。
いまだにアイゼル=ワード大公国にいるミールからの連絡はない。
今日もテレーゼの施術の日だった。
彼女の掌は、完全には治っていないものの、最初にここを訪れた時より、ずいぶんと赤みが引いていた。もうしばらくは様子見が必要だが、ここまで肌荒れが治ってきたのならば、先日、彼女がつけていた毛織物の手袋を着用しても問題ないだろう、とドーラは触診しながらそう思った。
今日の施術はハンドマッサージと、専用ハーブティーの飲用。どちらも代謝を良くして、毒素を追い出すためのものであり、最近では、ラベンダーだけではなく、他の精油をブレンドしたものをマッサージオイルとして使用している。
「そういえば、キミの師匠って、この店の前の持ち主なんだよね?」
施術の最中、手持ち無沙汰になったのか、首だけを動かして、辺りを見回して尋ねたテレーゼ。特に隠し立てすることでもないので、ええ、とドーラは頷き、伯母の持ち物だったんです、と机の端に飾られていた小さな肖像画を見た。
「そうか。しかし、その伯母さんをここで見かけたことがないんだが、その方は、今どこに?」
テレーゼの純粋な疑問に虚を突かれたのか、手を止めたドーラ。その表情はごっそり抜け落ちていた。
「――――あ、すまない。聞いちゃいけなかったみたいだね」
フェオドーラの雰囲気に、自分一人でどうすればいいのか分からなくなって、オロオロしだしたテレーゼは、外にいる自身の警護を呼ぼうかとしたとき、突然、外から暢気な声が聞こえてきた。
「帰ったぞ」
抜け殻のようになっているフェオドーラとそれにオロオロとしている青年を見た声の持ち主は、あんた誰? と青年に声を掛けた。
「あ、私は――――」
「アイゼル=ワード大公のテレーゼさんです」
テレーゼの言葉にかぶせるように言ったのは、彼の声を聞いて立ち直ったドーラだった。
全体的にまだ抜け殻のような雰囲気だったが、目だけはしっかりと意思を持っているのを確認した金髪の若い男は、ふぅんと言って、その男装した女性の方を見た。
「あんた、もしかして、伯母さんの事とか尋ねたりした?」
青年は意地悪そうに尋ねると、テレーゼはその雰囲気に押されてか、言葉を発さず、コクコクと頷いた。
「悪りぃな。あいつにとっても俺にとっても、あの人は身内で大切な師匠だ。だけど、調香師認定試験に受かったその日に行方不明になったとくれば、あいつが答えたくても答えられないのが、分かるだろ?」
彼の口調にテレーゼは一歩下がった。
「もちろん、それを知らなかったあんたを責めるわけにはいかねぇ。だが、保護者からすりゃ、ちょっと看過できなくてね」
テレーゼの事情を考えつつも、大公という地位にいる客人よりもドーラを優先させる青年に、テレーゼは苦笑するしかなかった。
「ドーラは過去のことを詮索する人があまり好きじゃない、というか、深入りされると、使いもんにならなくなるんだ。あんただって、自分の家のことに深入りされたくないから分かるだろ、アイゼル=ワード大公殿下?」
テレーゼは青年の言葉で、テレーゼと父親との間に深い溝があった事を、彼が知っているのだと理解でき、それ以上、何も言えなかった。
「だから、申し訳ないが、今日のところは一度、引き取ってもらえないか――――ああ、施術が終わっていないみたいだから、俺も一応は調香師の端くれだ。それだけはやらせてもらう」
青年は外出着のまま腕まくりをして、テレーゼに座るように促した後、ぼんやりしたままのドーラに声を掛けた。
「とりあえず、お前は上で休め」
青年の言葉に、かすかに頷いたドーラは何も言わずに部屋を出て行った。彼はドーラが残していった処方箋を参考にしながら、テレーゼの施術を再開した。
その施術はドーラと同じくらいの気持ち良いものだった。
「――――君はそれだけの技量がありながら何故、自分の店を持たないんだ?」
黙々と施術をしている青年に、ふと感じたことをテレーゼは尋ねた。すると、一瞬、驚いたような顔をしたが、少しずつ話し出した。
「あいつ――ドーラの伯母さんに俺も調香師になるための修業をつけてもらった。だが、認定試験当日、ちょっとした事故で俺は第一級認定調香師になれなかった――いや、ならなかったんだ。そのまま、調香院に残って、昇格を目指すという道もあったが、ちょうど合格発表の日、あいつの伯母さんが行方不明になってな。
一報を聞いて、憔悴しきってしまったあいつを、一人でここに残しておけないって思ったんだ」
そう話す青年は、その当時のことを思い出しているのだろう、非常に苦い顔をしていた。
「だから、第一級認定調香師しか書けない処方箋を書けなくてもいい、第一級認定調香師しかできない、オリジナルの施術メニューを考えることだってできなくてもいい。
そん時に決めたんだ。
あいつの代わりに、経理だって買い付けだってなんだってやってやるんだってね。
今でもそういう気持ちでしかない」
青年の言葉と純粋にドーラを心配する視線に、そうなのか、と納得したテレーゼは、それ以降は黙って施術を受けた。
数十分の後、テレーゼの施術が終わった。
「そういや、大公殿下」
青年は個室を出る間際のテレーゼに、話しかけた。
「なんだ?」
ドーラのことを第一に考えている青年の口から、一体どんな言葉が出るのだろうかと身構えた。
「本当は俺がこうやって言うのは差し出がましいことなんだが、しばらくしたらドーラを連れて、国へ戻ってもらう必要がある」
テレーゼは青年の口から出た言葉に、どういう事だと訝しんだ。
だが、それには彼は答えず、また、アンゼリム殿下から話があると思うんで、その時はよろしくです、と言って、外に追い出されてしまった。
一応、彼らよりも身分は上のはずだが、追い出された格好になったテレーゼは、怒るわけでもなく、なかなか面白い奴だな、と思った反面、どこか脆そうな奴だな、とも思ってしまった。
例えば、ドーラのために何か罪を犯す、とか。
そんなことはないだろうと、願いつつも、払拭しきれない何かが残っていた。
「ドーラ、大丈夫か?」
テレーゼを追い出した青年――ミールは、ドーラの私室へノックなしで踏み込んだ。
彼女の部屋はあまり物がなく、昔から使っているもの――伯母が残していったものを含む――だけが丁寧に置かれていた。
ドーラはベッドの上で膝を抱えてぼんやりしていた。
「うん、大丈夫。ありがと」
そう言った彼女の声から、先ほどよりも落ち着いているようにミールには見えた。
とはいえども、帰って来たばかりのミールよりも疲れて見えたので、台所へ戻り、ラベンダーのハーブティーを淹れて、再び彼女の部屋に戻ってきた。
そのポットから発せられる香りに気付いた彼女は目線を上げ、ありがと、と呟き、お茶を飲む姿勢になった。
ミールがポットからカップに注ぐ姿は一流の形で、ドーラもミールの姿に追いつこうといくら練習しても、追いつけないが、彼の動きを何度も目で追ってしまう。
そんなドーラの視線に気づいたミールは、ドーラにカップを渡した後、彼女の許可なしに向かいのソファに座った。
「――――いつ帰ってきたの?」
ラベンダーティーを飲んで一息ついたドーラは、ミールに訊ねた。
「ついさっきだ。大公邸には昼前には帰っていたが、エルスオング大公に挨拶したり、侯爵様に引継ぎとかいろいろしてたもんで、ちょっと遅くなった」
ミールは頭を掻きながら、すまない、と謝った。
「そうだったの――――で、向こうで何か分かった?」
ドーラは彼が帰ってきた、ということは何かがあったのだろうと思い、そう尋ねた。
彼女の疑問に、彼はああ、と頷く。
「ゲオルグ・デリュータ=フォン=ファーメナは何か――ヤツ自身が調香できない理由――がある」
ミールから告げられた言葉に、ドーラは頭の中が真っ白になった。
いまだにアイゼル=ワード大公国にいるミールからの連絡はない。
今日もテレーゼの施術の日だった。
彼女の掌は、完全には治っていないものの、最初にここを訪れた時より、ずいぶんと赤みが引いていた。もうしばらくは様子見が必要だが、ここまで肌荒れが治ってきたのならば、先日、彼女がつけていた毛織物の手袋を着用しても問題ないだろう、とドーラは触診しながらそう思った。
今日の施術はハンドマッサージと、専用ハーブティーの飲用。どちらも代謝を良くして、毒素を追い出すためのものであり、最近では、ラベンダーだけではなく、他の精油をブレンドしたものをマッサージオイルとして使用している。
「そういえば、キミの師匠って、この店の前の持ち主なんだよね?」
施術の最中、手持ち無沙汰になったのか、首だけを動かして、辺りを見回して尋ねたテレーゼ。特に隠し立てすることでもないので、ええ、とドーラは頷き、伯母の持ち物だったんです、と机の端に飾られていた小さな肖像画を見た。
「そうか。しかし、その伯母さんをここで見かけたことがないんだが、その方は、今どこに?」
テレーゼの純粋な疑問に虚を突かれたのか、手を止めたドーラ。その表情はごっそり抜け落ちていた。
「――――あ、すまない。聞いちゃいけなかったみたいだね」
フェオドーラの雰囲気に、自分一人でどうすればいいのか分からなくなって、オロオロしだしたテレーゼは、外にいる自身の警護を呼ぼうかとしたとき、突然、外から暢気な声が聞こえてきた。
「帰ったぞ」
抜け殻のようになっているフェオドーラとそれにオロオロとしている青年を見た声の持ち主は、あんた誰? と青年に声を掛けた。
「あ、私は――――」
「アイゼル=ワード大公のテレーゼさんです」
テレーゼの言葉にかぶせるように言ったのは、彼の声を聞いて立ち直ったドーラだった。
全体的にまだ抜け殻のような雰囲気だったが、目だけはしっかりと意思を持っているのを確認した金髪の若い男は、ふぅんと言って、その男装した女性の方を見た。
「あんた、もしかして、伯母さんの事とか尋ねたりした?」
青年は意地悪そうに尋ねると、テレーゼはその雰囲気に押されてか、言葉を発さず、コクコクと頷いた。
「悪りぃな。あいつにとっても俺にとっても、あの人は身内で大切な師匠だ。だけど、調香師認定試験に受かったその日に行方不明になったとくれば、あいつが答えたくても答えられないのが、分かるだろ?」
彼の口調にテレーゼは一歩下がった。
「もちろん、それを知らなかったあんたを責めるわけにはいかねぇ。だが、保護者からすりゃ、ちょっと看過できなくてね」
テレーゼの事情を考えつつも、大公という地位にいる客人よりもドーラを優先させる青年に、テレーゼは苦笑するしかなかった。
「ドーラは過去のことを詮索する人があまり好きじゃない、というか、深入りされると、使いもんにならなくなるんだ。あんただって、自分の家のことに深入りされたくないから分かるだろ、アイゼル=ワード大公殿下?」
テレーゼは青年の言葉で、テレーゼと父親との間に深い溝があった事を、彼が知っているのだと理解でき、それ以上、何も言えなかった。
「だから、申し訳ないが、今日のところは一度、引き取ってもらえないか――――ああ、施術が終わっていないみたいだから、俺も一応は調香師の端くれだ。それだけはやらせてもらう」
青年は外出着のまま腕まくりをして、テレーゼに座るように促した後、ぼんやりしたままのドーラに声を掛けた。
「とりあえず、お前は上で休め」
青年の言葉に、かすかに頷いたドーラは何も言わずに部屋を出て行った。彼はドーラが残していった処方箋を参考にしながら、テレーゼの施術を再開した。
その施術はドーラと同じくらいの気持ち良いものだった。
「――――君はそれだけの技量がありながら何故、自分の店を持たないんだ?」
黙々と施術をしている青年に、ふと感じたことをテレーゼは尋ねた。すると、一瞬、驚いたような顔をしたが、少しずつ話し出した。
「あいつ――ドーラの伯母さんに俺も調香師になるための修業をつけてもらった。だが、認定試験当日、ちょっとした事故で俺は第一級認定調香師になれなかった――いや、ならなかったんだ。そのまま、調香院に残って、昇格を目指すという道もあったが、ちょうど合格発表の日、あいつの伯母さんが行方不明になってな。
一報を聞いて、憔悴しきってしまったあいつを、一人でここに残しておけないって思ったんだ」
そう話す青年は、その当時のことを思い出しているのだろう、非常に苦い顔をしていた。
「だから、第一級認定調香師しか書けない処方箋を書けなくてもいい、第一級認定調香師しかできない、オリジナルの施術メニューを考えることだってできなくてもいい。
そん時に決めたんだ。
あいつの代わりに、経理だって買い付けだってなんだってやってやるんだってね。
今でもそういう気持ちでしかない」
青年の言葉と純粋にドーラを心配する視線に、そうなのか、と納得したテレーゼは、それ以降は黙って施術を受けた。
数十分の後、テレーゼの施術が終わった。
「そういや、大公殿下」
青年は個室を出る間際のテレーゼに、話しかけた。
「なんだ?」
ドーラのことを第一に考えている青年の口から、一体どんな言葉が出るのだろうかと身構えた。
「本当は俺がこうやって言うのは差し出がましいことなんだが、しばらくしたらドーラを連れて、国へ戻ってもらう必要がある」
テレーゼは青年の口から出た言葉に、どういう事だと訝しんだ。
だが、それには彼は答えず、また、アンゼリム殿下から話があると思うんで、その時はよろしくです、と言って、外に追い出されてしまった。
一応、彼らよりも身分は上のはずだが、追い出された格好になったテレーゼは、怒るわけでもなく、なかなか面白い奴だな、と思った反面、どこか脆そうな奴だな、とも思ってしまった。
例えば、ドーラのために何か罪を犯す、とか。
そんなことはないだろうと、願いつつも、払拭しきれない何かが残っていた。
「ドーラ、大丈夫か?」
テレーゼを追い出した青年――ミールは、ドーラの私室へノックなしで踏み込んだ。
彼女の部屋はあまり物がなく、昔から使っているもの――伯母が残していったものを含む――だけが丁寧に置かれていた。
ドーラはベッドの上で膝を抱えてぼんやりしていた。
「うん、大丈夫。ありがと」
そう言った彼女の声から、先ほどよりも落ち着いているようにミールには見えた。
とはいえども、帰って来たばかりのミールよりも疲れて見えたので、台所へ戻り、ラベンダーのハーブティーを淹れて、再び彼女の部屋に戻ってきた。
そのポットから発せられる香りに気付いた彼女は目線を上げ、ありがと、と呟き、お茶を飲む姿勢になった。
ミールがポットからカップに注ぐ姿は一流の形で、ドーラもミールの姿に追いつこうといくら練習しても、追いつけないが、彼の動きを何度も目で追ってしまう。
そんなドーラの視線に気づいたミールは、ドーラにカップを渡した後、彼女の許可なしに向かいのソファに座った。
「――――いつ帰ってきたの?」
ラベンダーティーを飲んで一息ついたドーラは、ミールに訊ねた。
「ついさっきだ。大公邸には昼前には帰っていたが、エルスオング大公に挨拶したり、侯爵様に引継ぎとかいろいろしてたもんで、ちょっと遅くなった」
ミールは頭を掻きながら、すまない、と謝った。
「そうだったの――――で、向こうで何か分かった?」
ドーラは彼が帰ってきた、ということは何かがあったのだろうと思い、そう尋ねた。
彼女の疑問に、彼はああ、と頷く。
「ゲオルグ・デリュータ=フォン=ファーメナは何か――ヤツ自身が調香できない理由――がある」
ミールから告げられた言葉に、ドーラは頭の中が真っ白になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる