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2.黄金の夜鳴鶯
社交界の闇
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煌びやかな世界。
くるくると回る男女。
豪華に盛り付けられた食事。
そして、誰しもが浮かべている表面上の微笑み。
エルスオング大公国の社交界で開かれる夜会でも、女性たちのドレスや男女関係なく付けられる香水は人々を魅了していた。
「はぁ、疲れた――――」
フェオドーラはため息をついて、まっすぐ前を見る。本当はこんな場所には来たくないが、『ステルラ』のパトロンであるポローシェ侯爵の手前、そうも言っていられない。
彼と最初に契約するとき、こういった社交界に出て、人脈を作っておくことも悪くないのだと、諭された。
それ自体は間違っていない。
『香り』自体、非常に希少なものであり、高価な『香り』による癒しを求めるのは、ほとんどが貴族。だから、貴族たちとのつながりを作っておくのは悪くない。
こうして出会えた人の中には、ドーラの『香り』を気にいって『ステルラ』に通うようになった人だっているのだから。
「大丈夫か」
顔見知りの貴族への挨拶が終わって、退屈そうにしていたドーラに気付いたのか、ポローシェ侯爵が声を掛けてきた。
ドーラは自分が考えていることがばれていたのだと、少し苦笑いして、隣を見た。
そこにいるのは、五十過ぎの老齢の紳士。撫でつけられたグレイの髪は年相応であり、それが変えて格好良さを引き立てていた。
「ええ、申し訳ありません」
ドーラがため息をついたことに謝罪すると、いいや、と侯爵も苦笑いして、
「私もあまりこういう場は好まん。私とて、できることならさぼってやりたいものだ」
と、この国の中枢を担っている人とは思えないことを言った。
「しかし、今日も相変わらずだな」
一通りドーラと談笑した後、侯爵がホールの中央を見てそう呟いた。ホールの中央では今も流れる曲に合わせて、男女が踊っている。
彼女は侯爵が言った『相変わらず』という意味が分からなくて、首を傾げた。誰かこの中に有名な人がいるのだろうかと思ったが、彼女が知る限りでは際立って目立つ人はいなかったようにみえた。
すると侯爵はいいや、なんでもない、と首を横に振った。
「お前さんが気にするようなことじゃない」
彼はそう呟いて微笑んだ。その微笑み方はどこかこの会場にいる人たちと同じ、表面に張り付けたものだった。
もう少し挨拶しよう、そういって侯爵に連れていかれた先には、すごく上品に着飾った老齢の夫妻がいた。
「これはポローシェ侯爵ではないか」
先に気付いたのは男性で、胸に着けられた徽章から辺境伯――国境付近の警備などをするために設けられた、普通の伯爵とは扱いが異なる――のようだった。老齢の辺境伯と言えばコルンデス辺境伯だけのはずだ。そう気づいたドーラは少し緊張した。彼と会うのはいろいろな意味で気を遣うのだ。
だが、そんなドーラの思いなど気にも留めず、二人をにこやかに手招きした。
「久しぶりだな、ダニール」
ポローシェ侯爵も相手の笑みに相好を崩した。挨拶しながら握手すると、辺境伯はドーラにも笑顔で挨拶した。
「お嬢さん、こんばんは。こないだお嬢さんに作ってもらった香水、かなり娘が気に入りましてなぁ。また、よろしくお願いしますよ」
そう言うと、隣の夫人も笑顔でうなずいた。
ドーラははい、とだけ言うのにとどめ、あとは笑顔で誤魔化した。
二人は“いい人”なのではあるが、表面上に張り付けられた笑顔が苦手だった。
ポローシェ侯爵も同じで、挨拶だけしたら、さっさと彼らの前から去りたいようだった。
しかし、彼らはどういう思惑があるのかは分からなかったものの、それを阻むように言葉をかけた。
「そういえば、あの横領事件のことは解決できそうなのかい?」
その言葉にピクリと肩を跳ね上がらせたポローシェ侯爵。一体どうしたものかと思って、彼を見上げると、その唇も震えていた。
「――――――ふふふ。君はエルスオングの坊ちゃんのお気に入りなんだから、せいぜい頑張ってくれよ」
言葉が一切、出てこなかったポローシェ侯爵に対して、今までの言葉と打って変わった口調になった辺境伯。
「ああ。もちろん、君が解決できることを祈っているから」
いっさいそこに本心が含まれていない言葉に、ポローシェ侯爵はようやく落ち着きを取り戻し、ええ、もちろんですよ、とにこやかに言った。先ほど、ドーラに見せたような貼り付けた笑みを浮かべながら。
「クソッタレが」
辺境伯夫妻が聞こえない場所にまでいってから、そう悪態をついた侯爵。
ドーラも少し大きなため息をついた。
「お前さんも苦手なのか?」
彼女のため息に気付いた侯爵が苦笑いしながら尋ねた。ドーラは肯定こそしなかったが、侯爵にはそれがよく分かったようだった。
「まあ、あの人は悪くはないんだが、おせっかいな部分というか、エルスオング大公家のことをあまりにも想いすぎているからな」
ポローシェ侯爵の評価にドーラは驚いた。『クソッタレが』というくらいなのだから、嫌いなのかと思ってしまっていたのだ。
「そのせいで、自分が関われない横領事件が気になるんだろうな」
侯爵は前髪をかき上げながら、そうぼやいた。『横領事件』というのがどんな内容なのか知らなかったが、なるほど、と思ってしまった。
外国――特に帝国との国境を守る辺境伯と、内部の敵と戦う侯爵。
ひとりの人間が同時に二か所に存在することはできない。
本当ならば、話題の事件に辺境伯も携わりたかったのだろうが、それができないもどかしさを侯爵にぶつけたのだろう、と理解できた。
「お嬢さん、一曲いかがですか?」
ポローシェ侯爵と休憩していたドーラに一人の青年が声を掛けてきた。
彼は烏の濡れ羽のような漆黒の髪を持ち、ルビーというよりもガーネットのような深紅の瞳を持つ青年だった。
彼が声を掛けた瞬間、隣のポローシェ侯爵の雰囲気が一気に険悪なものへと変わった。
「お前、は――――――――」
唸るような声にドーラは驚いた。
侯爵の声に恐怖で身をすくませることもなく、青年はアハハ、と笑っている。その様子に侯爵はあることに気付いて、すまん、と謝った。
「いえいえ。あのバカと瓜二つなのは自覚していますんで、お気になさらず」
そう言う青年は気分を害すことなく、へらへらとしている。
「改めて挨拶をさせていただくことにしましょう。はじめまして、『ステルラ』の女主人殿。僕は今話題のハヴルスク侯爵子息ドミトリーの兄、アレクサンドルです」
彼は名乗る前にドミトリーという人の兄だということをわざわざ装飾した。
ドーラにはどうしてそう付け加えたのかわからなかったが、彼の言葉にポローシェ侯爵が苦い顔をしているのを見ると、きっと良くない噂、行動ととる人なのだろうと思った。
「まあ、お嬢さんがそれを知らないのはアイツにとってもよかったことかもしれませんね」
肩をすくめながらそう言うアレクサンドルは、たいそう爽やかな笑みを浮かべていた。
「今度、機会があれば、アイツを紹介するよ、お嬢さん」
青年の言葉にふざけるな、と噛み付くポローシェ侯爵。何をしたのかわからないが、あまりそのドミトリーという人と会わせたくないらしい。
ポローシェ侯爵の噛み付きに再びアハハ、と笑ったアレクサンドル。
「冗談ですよ。父親からあのバカへはすでに最後通牒を突きつけてますから、じきに自滅してくれますよ」
最後だけ真顔になったアレクサンドル。
規律やマナーなど、五大公国の中でも比較的ゆるいと言われているエルスオング大公国の社交界から勘当される、ということは相当なことだった。
そして、実の父親や兄でさえ、それ望んでいる、ということは異常なことだ。
「そのかわり一つ、願い事を叶えてくれないかな?」
再びアレクサンドルが笑みを浮かべると、そうドーラに頼み込んだ。
ポローシェ侯爵も少し不機嫌そうだったが、無言で先を促した。
くるくると回る男女。
豪華に盛り付けられた食事。
そして、誰しもが浮かべている表面上の微笑み。
エルスオング大公国の社交界で開かれる夜会でも、女性たちのドレスや男女関係なく付けられる香水は人々を魅了していた。
「はぁ、疲れた――――」
フェオドーラはため息をついて、まっすぐ前を見る。本当はこんな場所には来たくないが、『ステルラ』のパトロンであるポローシェ侯爵の手前、そうも言っていられない。
彼と最初に契約するとき、こういった社交界に出て、人脈を作っておくことも悪くないのだと、諭された。
それ自体は間違っていない。
『香り』自体、非常に希少なものであり、高価な『香り』による癒しを求めるのは、ほとんどが貴族。だから、貴族たちとのつながりを作っておくのは悪くない。
こうして出会えた人の中には、ドーラの『香り』を気にいって『ステルラ』に通うようになった人だっているのだから。
「大丈夫か」
顔見知りの貴族への挨拶が終わって、退屈そうにしていたドーラに気付いたのか、ポローシェ侯爵が声を掛けてきた。
ドーラは自分が考えていることがばれていたのだと、少し苦笑いして、隣を見た。
そこにいるのは、五十過ぎの老齢の紳士。撫でつけられたグレイの髪は年相応であり、それが変えて格好良さを引き立てていた。
「ええ、申し訳ありません」
ドーラがため息をついたことに謝罪すると、いいや、と侯爵も苦笑いして、
「私もあまりこういう場は好まん。私とて、できることならさぼってやりたいものだ」
と、この国の中枢を担っている人とは思えないことを言った。
「しかし、今日も相変わらずだな」
一通りドーラと談笑した後、侯爵がホールの中央を見てそう呟いた。ホールの中央では今も流れる曲に合わせて、男女が踊っている。
彼女は侯爵が言った『相変わらず』という意味が分からなくて、首を傾げた。誰かこの中に有名な人がいるのだろうかと思ったが、彼女が知る限りでは際立って目立つ人はいなかったようにみえた。
すると侯爵はいいや、なんでもない、と首を横に振った。
「お前さんが気にするようなことじゃない」
彼はそう呟いて微笑んだ。その微笑み方はどこかこの会場にいる人たちと同じ、表面に張り付けたものだった。
もう少し挨拶しよう、そういって侯爵に連れていかれた先には、すごく上品に着飾った老齢の夫妻がいた。
「これはポローシェ侯爵ではないか」
先に気付いたのは男性で、胸に着けられた徽章から辺境伯――国境付近の警備などをするために設けられた、普通の伯爵とは扱いが異なる――のようだった。老齢の辺境伯と言えばコルンデス辺境伯だけのはずだ。そう気づいたドーラは少し緊張した。彼と会うのはいろいろな意味で気を遣うのだ。
だが、そんなドーラの思いなど気にも留めず、二人をにこやかに手招きした。
「久しぶりだな、ダニール」
ポローシェ侯爵も相手の笑みに相好を崩した。挨拶しながら握手すると、辺境伯はドーラにも笑顔で挨拶した。
「お嬢さん、こんばんは。こないだお嬢さんに作ってもらった香水、かなり娘が気に入りましてなぁ。また、よろしくお願いしますよ」
そう言うと、隣の夫人も笑顔でうなずいた。
ドーラははい、とだけ言うのにとどめ、あとは笑顔で誤魔化した。
二人は“いい人”なのではあるが、表面上に張り付けられた笑顔が苦手だった。
ポローシェ侯爵も同じで、挨拶だけしたら、さっさと彼らの前から去りたいようだった。
しかし、彼らはどういう思惑があるのかは分からなかったものの、それを阻むように言葉をかけた。
「そういえば、あの横領事件のことは解決できそうなのかい?」
その言葉にピクリと肩を跳ね上がらせたポローシェ侯爵。一体どうしたものかと思って、彼を見上げると、その唇も震えていた。
「――――――ふふふ。君はエルスオングの坊ちゃんのお気に入りなんだから、せいぜい頑張ってくれよ」
言葉が一切、出てこなかったポローシェ侯爵に対して、今までの言葉と打って変わった口調になった辺境伯。
「ああ。もちろん、君が解決できることを祈っているから」
いっさいそこに本心が含まれていない言葉に、ポローシェ侯爵はようやく落ち着きを取り戻し、ええ、もちろんですよ、とにこやかに言った。先ほど、ドーラに見せたような貼り付けた笑みを浮かべながら。
「クソッタレが」
辺境伯夫妻が聞こえない場所にまでいってから、そう悪態をついた侯爵。
ドーラも少し大きなため息をついた。
「お前さんも苦手なのか?」
彼女のため息に気付いた侯爵が苦笑いしながら尋ねた。ドーラは肯定こそしなかったが、侯爵にはそれがよく分かったようだった。
「まあ、あの人は悪くはないんだが、おせっかいな部分というか、エルスオング大公家のことをあまりにも想いすぎているからな」
ポローシェ侯爵の評価にドーラは驚いた。『クソッタレが』というくらいなのだから、嫌いなのかと思ってしまっていたのだ。
「そのせいで、自分が関われない横領事件が気になるんだろうな」
侯爵は前髪をかき上げながら、そうぼやいた。『横領事件』というのがどんな内容なのか知らなかったが、なるほど、と思ってしまった。
外国――特に帝国との国境を守る辺境伯と、内部の敵と戦う侯爵。
ひとりの人間が同時に二か所に存在することはできない。
本当ならば、話題の事件に辺境伯も携わりたかったのだろうが、それができないもどかしさを侯爵にぶつけたのだろう、と理解できた。
「お嬢さん、一曲いかがですか?」
ポローシェ侯爵と休憩していたドーラに一人の青年が声を掛けてきた。
彼は烏の濡れ羽のような漆黒の髪を持ち、ルビーというよりもガーネットのような深紅の瞳を持つ青年だった。
彼が声を掛けた瞬間、隣のポローシェ侯爵の雰囲気が一気に険悪なものへと変わった。
「お前、は――――――――」
唸るような声にドーラは驚いた。
侯爵の声に恐怖で身をすくませることもなく、青年はアハハ、と笑っている。その様子に侯爵はあることに気付いて、すまん、と謝った。
「いえいえ。あのバカと瓜二つなのは自覚していますんで、お気になさらず」
そう言う青年は気分を害すことなく、へらへらとしている。
「改めて挨拶をさせていただくことにしましょう。はじめまして、『ステルラ』の女主人殿。僕は今話題のハヴルスク侯爵子息ドミトリーの兄、アレクサンドルです」
彼は名乗る前にドミトリーという人の兄だということをわざわざ装飾した。
ドーラにはどうしてそう付け加えたのかわからなかったが、彼の言葉にポローシェ侯爵が苦い顔をしているのを見ると、きっと良くない噂、行動ととる人なのだろうと思った。
「まあ、お嬢さんがそれを知らないのはアイツにとってもよかったことかもしれませんね」
肩をすくめながらそう言うアレクサンドルは、たいそう爽やかな笑みを浮かべていた。
「今度、機会があれば、アイツを紹介するよ、お嬢さん」
青年の言葉にふざけるな、と噛み付くポローシェ侯爵。何をしたのかわからないが、あまりそのドミトリーという人と会わせたくないらしい。
ポローシェ侯爵の噛み付きに再びアハハ、と笑ったアレクサンドル。
「冗談ですよ。父親からあのバカへはすでに最後通牒を突きつけてますから、じきに自滅してくれますよ」
最後だけ真顔になったアレクサンドル。
規律やマナーなど、五大公国の中でも比較的ゆるいと言われているエルスオング大公国の社交界から勘当される、ということは相当なことだった。
そして、実の父親や兄でさえ、それ望んでいる、ということは異常なことだ。
「そのかわり一つ、願い事を叶えてくれないかな?」
再びアレクサンドルが笑みを浮かべると、そうドーラに頼み込んだ。
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