毒魔法使いの異世界探訪!

しぼりたて柑橘類

文字の大きさ
15 / 35
一章.魔法使いと人工キメラ

十二話目-本の都とその巨壁

しおりを挟む
 僕らはホウキにのってイゴロノスの高い外壁にたどり着いた。
 隣街のゾーノが、戦禍に襲われたために本が燃えてしまうのを恐れて作られたらしい……。

 が、しかし圧巻である。
 その壁はあまりに高く「見上げればうなじが背に届く」という謳い文句があるほどだが、一ミリも偽りの無いことが今分かった。

 「でっかー!」

 長年の煤と汚れで所々黒く変色したその灰色の壁は、来るものすべてを拒絶するが如くの重厚感と荘厳さを兼ね備えていた……。

 「でっ……デカイ……」
 
すると壁からノイズ混じりの声が聞こえた。

  「おーい! そこにいるお二人さーん! ここを通るには通行表にサインしてもらわないと困るよー!」
 
 慌てて声の主を探すと、壁の高いところに空いた小窓から身をせり出した髪の長い門番? いや壁番か?  詳しくは知らないが、ともかく歓迎してくれているように手を振っていた。
 右手には白い拡声器を持っている。

 「真っ直ぐこっちに来てー! 今門を開けるからー!」
 「わかりましたー! ありがとうございまーす!」

 どうでもいいことだがどうやら区分的にはが正しかったようだ……。

 ギギギギギギギ……。
 その大きさからは想像もできないほどの厚さの門がゆっくりと開いた。
 防火ではなくどうやら耐火が目的のようだ。
 
 門はようやく僕らが通れるぐらいのところまで開くと、そこで鳴動を止めた。

 「ごめーん! これ以上開くと閉じるのがめんどくさいから早く入って!」

 僕らは促されるままに門を通ると再びその門は動き始めた。
 すごい高さにあるが、ホウキに乗っている人や有翼人向けなのだろうか?
 
「ようこそ! 【イゴロノス】へ! 歓迎するよ! こちらの通行証にサインを! 上の名前だけでいいからね!」
「はい……」

 僕が「イーヴォ」と記入したところでセシリアが、

「私も書く!」
 
 と言って、僕からペンを渡されると歪な文字で「せしりあ」と、記名した。

 ……あとで文字もちゃんと教えないとな……。

 「うんうん……イーヴォ君とセシリアちゃんだね! 私は門番のネネ.コクガン! よろしくね!」
 「よろしく!」
 「よろしくお願いいします……」

 に、しても驚きだ……イゴロノスの壁は二重構造になっていて空間に人が居ることができるなんて……。
 百聞は一見に如かずとは言うがまさにこういうことなのだろう……。
 
 「イゴロノスは火事を避けるために年中魔法使いが雨を降らせてるよー 。 密閉されたところで火事なんか起きたら蒸し焼きになっちゃうからね!」
 
 さらっと怖いこと言うな……この人……。
 ネネさんは右手に傘を持ちながら言った。

 「はい! ごめんね、皆に渡してたら一つしかなくって……あと、ゾーノから来たのなら少し注意して貰いたいんだけど」
 「何ですか?」
 
 傘を受け取りながら聞く。
 「ここの街、結構古いものを大切にしてるからちょっと嫌なことをされるかもしれないよ?」
 「大丈夫です。 慣れていますので」
 「私も!」
 「なら心配のしすぎだったかもね!」
 
 ネネがレバーを下ろすとゆっくりと大きな音をたてて壁とイゴロノスを繋ぐ扉が開きその先にある長い階段が見えた。
 
 「では芸術と本の街イゴロノスを心行くまで楽しんでね!」
 「はい!」
 「もちろん!」

 ここはイゴロノス。 芸術、 文化、 本の街…… 国中の知識と情報がここに集まる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~

草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。 レアらしくて、成長が異常に早いよ。 せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。 出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん
ファンタジー
 誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。  運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……  与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。  だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。  これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。  冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。  よろしくお願いします。  この作品は小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

処理中です...