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2章 ダンジョン都市ラース アンナ編

5話 冒険者登録

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 俺達は、レミリアさんの出してくれたゲートを潜り抜け、異世界ユグヴァリスに舞い降りた。

 そして俺達は、ダンジョン都市ラースに向かって、街道を真っ直ぐ北へ向かって走っていた。なぜ走っているかって? それはな………

 目茶苦茶さみーーーーーーからなのよ!! ちょっとレミリアさん! どうなってんのこれ? 聞いてないんですけどぉーーーーーーーー!!

 ゲートを潜った瞬間。物凄い北風が、びゅーびゅーふいてくるじゃありませんか? のんびり歩いていたら、凍えてしまいそうなんですけど!?

 そんなことで、少しでも体を、温めようと、俺達はひた走る。幸いラースまではそれほど遠くはなく、もう目の前に見えている。

 良く考えたら、一応世界の最北端とか言っていたのを思い出した。
 まあ風さえ凌げれば、まだ何とか耐えられる寒さではあるが。
 それでものんびり歩いていたら、縮こまってしまいそうな寒さだった。
 速やかにギルドへ行き、話を聞いて宿屋で横になりたい。
 と考えてる間に、ダンジョン都市ラースにたどり着いた。

 「はぁはぁ、ラースについたね…」

 「はい、つきましたね。体も結構温まりましたし、今のうちにいきましょう」

 四島さん結構体力あるんだな……。
 ゲートを出た位置から、ここまで3キロくらいだと思うけど。
 ほぼ全力疾走で息一つ乱れないとか、凄いな。
 男として自信なくすわ……

 「お前達、よくそんな軽装で来たな。遠くから物凄い勢いで走ってくるから、何ごとかと思ったが。見た所、おかしな所も無いようだし。もしかして寒くて走って来ただけなのか?」

 ラースの出入口にいる門番の人が話かけてきた。

 「えぇ、そうです。ラースがこんな寒い所だとは知らなくて、あはは…」

 「今は冬だし、寒いのは当たり前だろうが。中でもラースが、世界一寒いと言うのは、割と有名な話だが、お前達どこの田舎から来たんだ?」

 (しまった…今の答えは不味かったな。何処から来たかと聞かれても、答えようがないな…それにしても、冬ってことは四季があるのかな)

 「まあ、良い。街に入りたいのなら、通行証かギルドカードを見せろ。無ければ3日間の入行証を銀貨1枚で発行する。
 二人なら銀貨2枚になるぞ。後は3日以内に街を出て行かない場合は、不法滞在とし捕まることになるから、気をつけるように。
 だが、例外として。3日以内に冒険者ギルドで登録をし、ギルドカードを発効するか、役場に行って住民登録をし、通行証を発効すれば問題ない」

 「分かりました。これでお願いします」

 俺は門番の人に銀貨2枚を渡し、入行証を2枚貰って、1枚を四島さんに渡した。

 「よし、行っていいぞ」

 門番の人から通行の許可が出た。さて行こうかと思った時、四島さんが門番の人に話かけた。

 「あの、冒険者ギルドの場所を聞いても良いですか?」

 おっと、普通に中に入ろうとしたが。
 そういえば冒険者ギルドの場所を知らなかったな。

 「あぁ、お前達やっぱり冒険者になりにきたのか。冒険者ギルドなら、この中央大通りを真っ直ぐ行くと、右手に酒場が見えてくる。酒場の角を曲がった先にギルドがあるぞ。
 ただな、お節介かもしれんが、先に服屋で防寒着を買った方が良いんじゃないか?
 服屋なら、酒場とは反対の角を曲がると、武器屋と防具屋が並んでいる、その隣だ」

 確かに門番の人の言うとおりかもしれない。
 走って多少ましだったが、話してる内に、段々寒くなってきた。

 「親切にありがとうございます。それでは私達はこれで。行きましょう先輩」

 「あぁ、気をつけていけ」

 俺達は軽くお辞儀をして、中央大通りを真っ直ぐ歩いて行く。

 「四島さん、先に防寒着買おうか?」

 「はい、先輩。その方が良いと思います」

 門番の人に教えて貰った通りに進み、俺達は服屋を見つけ防寒着を買う。
 だが、結構なお値段だった。一着金貨1枚、銀貨で10枚なわけで、二着買ったから銀貨20枚が早くも消えた……
 入行証も銀貨2枚消費し、すでに残り銀貨78枚になった。
 思わぬ出費に少し焦るが、まあ仕方ない。
 早く冒険者登録して、稼げば良いだけだと思い、冒険者ギルドへ向かう。

 
 冒険者ギルドに着いた俺達は、中へ入り辺りを見わたす。ギルドの中は俺の想像とはかなり違っていた。
 もっと汚れた感じのを想像していたのだが、中は大勢の人間が出入りしているわりに、余り汚れを感じさせない綺麗な作りで、銀行のような感じ? と言えば分かるだろうか。

 「冒険者登録は向こうか」

 少し上を向くと、案内看板が設置されているのが見える。
 その案内に従って、ギルドの奥へ行く。
 そして目的の場所につき、受付のお姉さんに話かける。

 「すみません、冒険者登録をお願いしたいんですが?」

 「はい、冒険者登録ですね。ただ失礼ですがお客様、登録料はお持ちですか?
 近年モンスターが減少し、それでも冒険者増加が後を立たない為に、このダンジョン都市ラースに人が集まりまして。
 それにともない、初心者冒険者等を狙う、追い剥ぎ紛いの冒険者が増え、犯罪率が、かなり増加しているんです。
 その対策の一環として、無闇に新人冒険者を出さないように、登録料が少し高くなっております。
 一応一人銀貨5枚の登録料となっておりますので、お二人なら銀貨10枚になりますが、どういたしますか?」

 マジかーー、こんな所でも思わぬ出費が、これは結構痛い気がするが、これも仕方がないのか…必要経費だ…。

 「お金はありますので、登録をお願いします」

 そう言って、銀貨10枚をわたす。

 「分かりました。まずは、こちらの紙に、名前、ジョブ、レベルをお書き下さい。もし、代筆が必要でしたら、1回1銅貨でお書きします」

 しかし綺麗なお姉さんだな。
 良く見ると胸がデカイ……思わずガン見してしまった。
 おっといかん、代筆を頼まなくてわ。

 「すみません、二人分代筆をお願いしても良いですか?」

 銅貨は無いから、銀貨1枚を渡して釣りを貰う。
 冒険を始める前からどんどん金が減るな……
 このペースで金が減っていったら、1週間も持たないんじゃないだろうか。

 「それでは、こちらで書きますので、名前、ジョブ、レベルを教えて下さい」

 「名前は本橋幸貴。ジョブは、メインが召喚師でサブが錬金術師。レベルは両方1です」

 俺は聞かれた事を、素直に言っただけなのだが、それが大失敗だったようだ………

 「え? 召喚師? え!? サブ?? お客様は貴族様ですか!?」

 なんだろう……大したことを言った覚えはまったくないのだが。三つも疑問で返されてしまった……さて、どうしたものか……まあ一つ一つ、片付けていくしかないのだが。

 「いえ、貴族ではないのですが、何故ですか?」

 こっちも、貴族と何故間違われたのか分からずに、聞き返す。

 「何故かと言われましても。普通平民は、名前しか名乗ることは、許されておりませんので」

 あ~そうなのか、間違いでしたー?
 で、済むかなこれ? 適当に誤魔化すか…

 「すみません。田舎から来たので、良く分かってなかっただけです。ご免なさい。名前は幸貴でお願いします」

 「はぁ…分かりました。名前は幸貴さんですね。それとジョブが召喚師と言うのは本当でしょうか? それにサブジョブとか仰いましたが?」

 「そっちはどちらも本当ですが、これも何か不味いですか?」

 名前は誤魔化せたけど、ジョブも何が不味いのかまったく分からない…

 「いえ、不味くはないのですが、本当なのかと思いまして。召喚師とはかなり珍しいジョブですし。その上更にサブジョブをお持ちとか?
 まず、普通の人は、サブジョブなど持ってはいませんので。
 極まれに、才能に恵まれた人だけに、発現するらしいのですが。
 私はここで5年近く、新人受付をやっていますが、見たことなど一度もありません。
 お見かけしたところ、まだお若いようですし。その年で、これだけのレアなジョブをお持ちだとは、思えなかったもので。大変失礼いたしました」

 なるほど、そういうことか。
 しかしそれならば、召喚師は隠しようがないが、サブジョブのことは、言わなくても良かったんだろうな…。
 まあ、言ってしまったものは仕方ない。珍しいと言うだけで、何か不味いわけでもなさそうだしな。

 「それでは、こちらの情報で、幸貴さんのギルドカードをお作りします」

 「はい、お願いします」

 何とか終わったか、大したことはしていないのに、何故か一気に疲れたな。

 「それでは、次は女性の方どうぞ」

 「はい、私の名前は梨花、ジョブは魔法使い、レベルは1です」

 「はい、ありがとうございます。こちらの情報でギルドカードをお作りしますね」

 はやっ!四島さんの手続き、目茶苦茶早いんだけど!?

 「それではこのまま、少しお待ち下さい。今ギルドカードを作ってきます」

 そう言って受付のお姉さんは、後ろの扉へ書類を持って入っていく。

 5分くらい時間が経過しただろうか。扉が開き受付のお姉さんが戻ってきた。
 手には四角い茶色のカードを持っていた。

 「こちらがギルドカードになります。無くさないようにお願いしますね。
 再発行には、銀貨3枚かかりますのでご注意下さい。
 それでは、冒険者ランクについてご説明しますね。
 冒険者ランクはGランクからSSSランクまでの10段階ございます。
 お二人は、まずGランクスタートになります。
 冒険者ランクをあげるには、ダンジョンやフィールドでモンスターを倒し、一定以上の素材を売却して頂ければ、ランクが自動で上がります。
 メリットとしましては、まずダンジョンに入れることや、冒険者の名声はもちろんですが、Cランク以上になるとギルドから、Sランク以上になると、国から給与が与えられます。
 その他の特典としましては、優秀な冒険者には、国や都市から、その地域の永住権や土地に家など、その他色々な物が、与えられることもございますので、頑張って下さい。
 これで説明は終わりですが、初心者講習の方はどうしましょうか?
 冒険者になれば、全て自己責任ですので、受講自体は、義務ではありませんが、レベルも低いようですし、受講することをオススメしますが?」

初心者講習か、受けた方が良いのかな? 
 まさか、また金がかかるのでは……
 とりあえず内容を聞いてからにするか。

 「初心者講習て、どんなことをするんですか? ちなみに受講料はどれくらいかかりますか?」

 「いえ、お金はかかりません。実は最初の登録料に含まれてまして。初心者講習の細かな内容は、当日担当する者でないとわからないのですが。
 大まかな内容としては、七日間ダンジョンで付き添いの、実地訓練となっております」

 なるほど、それは助かりそうだが、逆に七日間拘束されるわけか。
 どうするか、四島さんに聞いて見るか。

 「受けた方が良いと思います、幸貴先輩」

 ん? 一瞬何か違和感を覚えたが、何だろうか? 
 まあいいか、四島さんも賛成のようだし、受けるとするか。

 「受けるのには、どうすれば良いんでしょうか?」

 「受講希望ですね。でしたら明日、朝日が上る頃に、ギルドへお越し下さい。初心者講習担当のアンナが、ここからお二方をダンジョンへ案内し、そのまま講習開始となりますので」

 「分かりました、ありがとうございます」

 何とか手続きが終わり、冒険者ギルドを後にするが、この後はどうするか。

 「四島さん、この後はどうしようか?」

 「幸貴先輩、これからは名前で読んで下さいね? 先輩みたく、怪しまれますから♪」

 あ"そうか、さっきの違和感はこれか! 確かにそうだ…がしかしこれは…

 「リッ、リカさん…この後はどうします?」

 うわっ、目茶苦茶緊張して声が裏返ったし、口調も何か変だ…

 「ふふふ、先輩可愛いです♪ でも先輩、とっても変なので、呼び捨てでお願いしますね」

 女性に可愛いとか言われてしまった……

 「わっ、わかった…」

 「それじゃ、幸貴先輩、宿屋を探しましょうか。もしかしたらと思うんですけど、宿屋探しも苦労するんじゃないかと思って」

 ん? どういうことだろうか?
 良くわからないが、梨花には思う所があるようだ。

 宿屋は、ギルドに来る前に、中央大通りで何軒か見かけたし。
 とりあえず見た目で安そうな所に入って聞いてみた。
 だが残念なことに部屋はすべて満室で断られた。
 仕方がないので、次をあたるも、また満室、次も満室……
 いったいどうなってんのぉーーー!!

 「思った通りでしたね~幸貴先輩」

 「リッ、梨花は、こうなることを分かってたんだ?」

 流石に名前呼び捨ては、まだ恥ずかしいな…

 「確証があったわけじゃ無かったんですけど、話を聞いてて、そう思ったんですよ」

 マジで? どの辺で? 
 とか聞いたら、絶対負けだろうな……

 「良いですか幸貴先輩? この都市はすでに、冒険者で溢れているって言ってたじゃないですか? じゃ、その冒険者は、何処に住んでるんですかって、話なんですが。
 長年いるか、稼げる冒険者は永住するのに、家を買ってたりするのかもしれませんが、追い剥ぎ紛いの冒険者までいるってくらいですし、稼げる冒険者より、圧倒的に稼げない冒険者の方が、多いんじゃないかと思っただけなんですけど。
 安い宿が、そういった冒険者でいっぱいでも、おかしくないかなと思ったんですよ」

 梨花って、実はかなり頭が良いのではなかろうか……家の事情で仕方なく、あんな底辺高に来ただけで………何か涙が出てきそうだ……

 「なら、どうしようか?」

 「都合良く、部屋が空いていればよったんですけど。仕方ないですし、高い宿に行くしかないと思います」

 また出費がかさむわけか……本当に大丈夫かな…

 俺達は中央大通りを奥へ歩き、一つ道がずれた裏通りにある、中々高そうな宿屋へ来た。宿屋の名前は何て書いてあるかわからないが、高そうな感じがひしひしと伝わって来る。

 「本当にここにはいるの? 凄く高そうだけど…」

 「仕方なくですよ、先輩。他はどこもいっぱいなんですから。それにここもまだ、空いてるか分かりませんし。とりあえず、聞くだけ聞いて見ましょう」

 梨花に手を引かれながら中へはいる。中は少し薄暗くはあったが綺麗に清掃されている感じで、本当に普通のホテルって感じがした。

 「いらしゃいませ~、宿屋、愛の島へ、ようこそ~」

 え"、愛の島?、もしかして、ここってラブホか!?

 「すみません、部屋は空いていますか?」

 「はい、空いてますよ。一部屋一泊銀貨5枚になります。二人で一部屋お使いになりますよね?」

 やっぱりラブホじゃねーか!! 
 普通一人一部屋だろ! 
 二人で一部屋使うことに、何も疑問に思わない処か、聞いてくるって、おかしいでしょ!
 不味い、ここは駄目だ……部屋は空いているようだが、まあ高いのもあるしな。
 うん。他にいこう。
 りかさーん、他にいきますよ~~。

 「はい、それで良いので10日程お願いします」

 え"!?梨花さん何をいってるのーーーーぉ!?

 「ありがとうございます。では、料金は金貨で5枚、銀貨なら50枚頂きます。また食事は別料金で銀貨1枚から、お湯は一桶銅貨3枚でお部屋に持って行きますので、いつでもお申し付け下さい」

 「先輩、お金、お願いします」

 いやいや、梨花さん。ちょっと待って下さい。
 えっ、何これ、もう決定なの!?
 困った、非常に困ったが。
 本人が良いと言うのだから良いのか……
 仕方ない、仕方ないんだ。
 もう決定したことだしな、うん。

 そうして俺は、自分の心に言い聞かせ、お金を払った。

 しかしどうする。
 まあ無事に部屋が見つかったのは良いとして、残り銀貨17枚と8銅貨しかないんだが? 明日からガンガン稼ぐしかないよな……

 「先輩、お湯も二つお願いしますね、私と先輩の分で」

 更に6銅貨消えた……明日からがんばる!!

 「こちらが部屋の鍵になります。お湯は後でお持ちしますので、ごゆっくりおくつろぎ下さい」

 俺は部屋の鍵を受け取り、指定された自分達の部屋にむかう。
 そして部屋の中を見て俺は絶句した。
 そこにはピンク色の世界があったからだ……ピンク色の床に壁、そしてピンク色のベット、ハイ、100%ラブホ決定ーーーーー!!

 俺が固まってる間に、梨花がスタスタと中へはいり、防寒着を脱いで、ベットに横になりくつろぎだす。

 「先輩もこっち来て休んだらどうですか?」

 「あぁ、そうだね……」

 とりあえず、入り口で固まってても仕方ないので、中へ入り、俺も防寒着を脱ぎ、近くにあった椅子に座る。
 とりあえず少し落ち着こう。
 自分で勝手に、変な妄想してきょどってるだけだ。
 今思っているようなことが、おこるわけ無いだろ。
 これだから童貞は夢見すぎなんだよ!!

すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~軽く深呼吸して、さて落ち着いた所で、やることをやってしまおう。

 「大丈夫ですか、先輩? そんなに私と一緒じゃ嫌でしたか?」

 「いやいや、そんなわけないよ。大丈夫、ちょっと緊張してただけで、もう落ち着いたから、あはは…
 俺ちょっとやることあるからさ、梨花はゆっくり休んでていいよ」

 俺のやりたいこととは、なんぞや? 
 それは明日の冒険の為の、ポーション作りだ。
 今のうちに作って置かないと意味がないしな。
 ついでに、どれくらいMPが消費して、MPがどれくらいで回復するのかも知っておかなくてわな。

 ラースについて以降、一つも良いところの無い俺だが、少しは考えてるんだぜ? 今のうちにしっかり準備をして、明日こそは、良い所を見せてやるぜ!

 「先輩、やることって何ですか~?」

 「明日のためにね、ポーションを作り置きしておこうと思ってね」

 ふふふ、さりげなく、頼れる男アピールをする俺。

 「そういえば先輩、サブジョブが錬金術師でしたよね。どんなポーションが作れるんですか?」

「えっとね、スキルMAXレベルだから全部作れるんだけど。まあ全部って言っても、種類は3つしかなくてね。回復、MP回復、状態異常回復の3つで、そこからランクわけがあるみたい。ランクはGランク~Sランクまでかな。
 とりあえず低ランクのGとFを各種何個かずつ作って置くかと思うけど。
 後は消費MPと効果のテストかな、どれだけ消費して回復するか分からないしさ」

 「そういえばそうですよね。スキル設定してる時に、私も気になりましたけど。レミリアさん達に聞いてもわからないかなと思って、聞かなかったんですよね。まあ後で使った時に見れば良いだけですし。
 所で先輩、私にも、いつくかポーションもらえますか?」

 「ああ、もちろん。そのつもりだよ」

 「ありがとうございます。幸貴先輩♪」

 梨花が笑顔でお礼を言ってくる。マジで可愛いぜ……
 おっと見とれてる場合じゃないな。早速やるか。

 ちなみに今の俺のステータスはこんな感じ。

 本橋幸貴 召喚師レベル1

 HP323
 MP357
  力107
 体力105
 俊敏106
 器用108
 魔力113

  HPMP300と各種ステータス100は身体能力向上スキルによるもの
  スキル1振りHPMP30と各種10上昇×10

 俺は右の手のひらを前に出し、頭の中で、ランクG回復ポーション作成と念じると、右手がわずかに光だし、手のひらにポーションがあらわれた。
 スキルを設定した時に、作り方も頭に入ってきてはいたが、これは非常に簡単だ。
 そしてステータス画面を開くとMPが5減っていた。
 G回復ポーションで消費5か、回復量はHPが減ってないし、わからないかな?
 試しに飲んでみるが、ステータスに変化はない。しかし、このポーションうまいな、メロン味?そんな感じの味だった。ポーションの色も緑色だったしな…
 とりあえず5消費なら20はいけるだろう、サクッと作って10個を梨花に渡す。

 次はGのMP回復ポーションだな。
 うまくいけば永遠ループで作り続けられる。
 同じ要領でMP回復ポーションを作り、回復量を確かめるためにポーションを飲む。

 「おえ゛ぇぇぇーーーーッ!!!!!」

 「先輩!!大丈夫ですか!?」

 梨花が心配して近寄ってくる。しかし、なんて不味さだ!!
 一瞬毒でも飲んだのかと思った。これはきついな……いざというときなら気合いで何とか飲むかもしれんが、正直二度と飲みたくはない……
 一応ステータスを確認する。確か消費は10だったから、MP回復は20か…飲め続けられれば、一気にかなりの量のポーションを作れたのだが、仕方なく諦めた。

 「大丈夫だよ、ちょっとMP回復ポーションが激不味だっただけでさ…とりあえず、いざというときの為に渡すけど、目茶苦茶不味いから気をつけてね」

 不味いとはいえ、命にはかえられないしな。GランクのMP回復ポーションを10個作り5個を梨花に渡す。
 Fランクも試したかったところだが、半分以上はMPを使ってしまった。完全にMPを限界まで使うのは無用心すぎるだろう。
 何より、気分は最悪だし、ポーション作りはここで終わりにしよう。
 後は時間でどれだけMPが回復するかだな。
 とはいえ、時間を確認することができないので、自分の感覚で時間を数えてみてみたが、恐らくは2分位でMP1回復している感じだろうか。
 まあ1時間で30も回復するなら十分だろう。

 さて、テストも終わったし横になりたいが、ベットは一つで梨花が使っているし、仕方なく床に寝ようとしたときだった。

 コンコン

誰か来たのか、扉を叩く音が聞こえた。


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