神様のあったかご飯。

にのまえ

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初めての料理

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 シロウさんから店の鍵を受け取った。食材は、配達業をしている鬼人のキジマさんに“タブレット”という機械で注文できるらしい。

 このタブレットも、食材代も、すべてシロウさんが僕の神力払いで立て替えてくれたものだ。

『シロウさん、いろいろしてくれるけど……僕の神力はまだ回復していないよ。それでもいいの?』

『えぇ、気にしなくていいですよ。お金には困っていませんし、後払いで返してくだされば十分です』

 そう言われるたび、甘えてばかりの自分が情けなくなる。でも、本当に助かっているのだ。

 だから翌日。せめてものお礼に、時間があれば食べに来てほしいと、シロウさんにもらったスマホでメールを送った。

〈今日は時間があります。お土産を持ってまいりますね〉

〈ありがとうございます。お店で待っています〉

 本日作るのは、あの日の刺し身の出し茶漬けではなく、おにぎりとお味噌汁。

 出汁茶漬けは初心者には難しいと神ラインのみんなにも言われたので、少し料理に慣れてから挑戦することにした。

「これにお米を入れて……お米を研ぐ、だったかな?」

 言われた通り、お米を二合、炊飯器で炊く準備をする。具材は、以前シロウさんが買ってきてくれたおにぎりと同じ、梅干し・おかか・シーチキンに決めた。

 お味噌汁は“インスタント”という便利なもので、お椀に味噌と具を入れてお湯を注ぐだけでいいらしい。

 昼から、炊飯器につながるコードを手に持ち、バタバタとコンセントを探して店の中をうろうろしていた時だった。

 扉が開き、いつものきちんとしたスーツではなく、少しくだけた服装のシロウさんが入ってきた。

「九さん、いますか?」
「はい、シロウさん。こんにちは」

「こんにちは。……ん? ところで九さんはコードを持って、何をしているんですか?」

 シロウさんが不思議そうに首を傾げる。

「……えっと、恥ずかしいのですが。コンセントを探していて」

 一瞬、シロウさんの細い目が大きく見開かれた。そして次の瞬間――「ああ、そうか。それで……」と腹を抱えて大笑いした。

「もう、笑わないでください」

「すみません、九さん。炊飯器を使うの初めてでしたね。大丈夫ですよ。俺、人間の世界の暮らしが長いので、なんでも聞いてください」

「ほんとうですか。助かります!」

 シロウさんはすぐにプラグを見つけ、コンセントへ差し込んでくれた。炊飯器が動き出し、ほっと胸をなで下ろす。すると、今日のメニューを尋ねてくる。

「おにぎりです。具は、梅干しとおかかと……シーチキンにしようと思います」

「いいですね。俺はいなり寿司と油揚げを買ってきました。お米が炊けたら、油揚げを軽く焼きましょう」

「はい!」

 役に立たなさすぎて恥ずかしい。でも、こんなにも優しいシロウさんには、感謝しかない。
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