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第4章
第38話
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まあ、これだけ悩んでても時間は自然に過ぎていくわけだけど。
翌日になってこうしてリリーと登校している今もなお、やはり頭の片隅には昨日の東谷の件の話が主張激しく残り続けている。
「麻由美、今日は何か元気ないんじゃない?」
「あー……まあね、えへへ」
誤魔化してるけど、明らかに元気ない様に見えるよね……私は今、凄く悩んでいる訳で。でもリリーにこんな話できないし……色々ととんでもない事が起きそうな割には対処がそこまで難しい感じではなさそうらしいんだけど……うーん。
それでも、やっぱり悩んじゃうな……。
そうした重大な悩みを抱えた私は結局その後も好転する事なく今日は放課後になるまでずっと上の空だった。そして、放課後にその転機はやってきた。
「あの、麻由美ちゃんで良いかな?」
放課後、リリーと一緒に帰宅しようとなって廊下を歩いている所に突然声を掛けられる。こんな珍しい事もあるんだと思いながら振り返ると、その声を掛けてきた相手が予想外の人だった。
「え……御伽先輩……?」
「あ、そう。西城くんから聞いているのね……あ、でも無理に先輩って呼ばなくてもいいからね?」
そう、声を掛けてきたのは西城の想い人であり、サッカー部のマネージャーをしている人……御伽先輩だったのだ。
「あれ? 麻由美、御伽先輩と話した事あったっけ?」
「ううん……」
ここまでに御伽先輩と話す機会なんて、一切無かったから唐突に声を掛けられて来た事に私はとても状況が飲み込めない様子だった。
「あー……ちょっとね、私個人で気になる事があったから……あ、莉々ちゃん。麻由美ちゃんと用事ある?」
「あー……麻由美とはこれから一緒に帰ろうとしたぐらいなので、御伽先輩がどうしてもなら」
「えっ、そんなすんなり?!」
いくら先輩とはいえアッサリ過ぎない?!
「いやそりゃすんなり譲るでしょ。そこそこ大事なお話をしたいって事なんじゃないの話しかけに来たっていうのは」
「そういうものかなぁ……」
とりあえず、リリーと一緒に帰るという話は本日は綺麗に取り消しとなった訳で。まさにこの御伽先輩が話しかけに来た事が今までにおいて最大に意外なイベントだったと私はとても強く思った訳で。
一体、何があるんだろう……。
「麻由美ちゃん、うちのお婆ちゃんのお店に来た事あるんじゃない?」
「えっ?」
御伽先輩と二人で街中を歩いている途中、先輩が急にそんな事を話してきたのだ。
「私のお婆ちゃん、古本屋さんやっているんだけど……」
「古本屋……ああっ!?」
た、確かに古本屋に行った事あるけど……もしかして、あのお婆ちゃんって御伽先輩のお婆ちゃんだったの?!
「やっぱり。お婆ちゃんがちょっと変わった子が来たって話で、しかもそれが私の高校の制服着てた子だぁーって言っててね……どんな感じの子だったか聞いてるともしかしてって思ったの……」
そっか。それよりお婆ちゃんから見て私って変わってたんだ……。
「そうなんですか……それで、どう言う風に?」
「なんというかね。お店の前でキョドキョドして声を掛けたらすんなりと入って……絵本を見た時の反応が凄い変わっていたんだって」
「へ、へえー……」
確かに店前で挙動不審な仕草取ってたかも……そりゃお婆ちゃん変わってるって思うよね……って、ちょっと待った。私は色々と御伽先輩から気になる情報がたくさんある。
「もしかして、今から行くのって……」
「そ、お婆ちゃんのお店」
「や、やっぱり……!」
何で御伽先輩が私を呼んだのかが気になったけど……また、あのお店に行く事になるんだ。そして、だ。私は現時点で色々と引っ掛かる事があった。
まずお婆ちゃんが私がお店に来た、というお話。絵本の装置を駆使して時間移動……厳密にはパラレルワールドを行き来していたみたいだけど、そうなるとこの世界では私はあの古本屋さんにどうやって来た事になるんだろうか。
東谷の説明では、私のイメージを元に新しい世界を生成するって事になるからつまりは私が記憶している情報がそのまま反映されている形になると思うんだけど……いつ頃来たって事になっているなんだろう。
そして、もう一つ気になる事があるとすれば、お婆ちゃんは絵本を見た時の反応が凄い変わっていたって言ってた事だけど……どういう事なんだろう?
翌日になってこうしてリリーと登校している今もなお、やはり頭の片隅には昨日の東谷の件の話が主張激しく残り続けている。
「麻由美、今日は何か元気ないんじゃない?」
「あー……まあね、えへへ」
誤魔化してるけど、明らかに元気ない様に見えるよね……私は今、凄く悩んでいる訳で。でもリリーにこんな話できないし……色々ととんでもない事が起きそうな割には対処がそこまで難しい感じではなさそうらしいんだけど……うーん。
それでも、やっぱり悩んじゃうな……。
そうした重大な悩みを抱えた私は結局その後も好転する事なく今日は放課後になるまでずっと上の空だった。そして、放課後にその転機はやってきた。
「あの、麻由美ちゃんで良いかな?」
放課後、リリーと一緒に帰宅しようとなって廊下を歩いている所に突然声を掛けられる。こんな珍しい事もあるんだと思いながら振り返ると、その声を掛けてきた相手が予想外の人だった。
「え……御伽先輩……?」
「あ、そう。西城くんから聞いているのね……あ、でも無理に先輩って呼ばなくてもいいからね?」
そう、声を掛けてきたのは西城の想い人であり、サッカー部のマネージャーをしている人……御伽先輩だったのだ。
「あれ? 麻由美、御伽先輩と話した事あったっけ?」
「ううん……」
ここまでに御伽先輩と話す機会なんて、一切無かったから唐突に声を掛けられて来た事に私はとても状況が飲み込めない様子だった。
「あー……ちょっとね、私個人で気になる事があったから……あ、莉々ちゃん。麻由美ちゃんと用事ある?」
「あー……麻由美とはこれから一緒に帰ろうとしたぐらいなので、御伽先輩がどうしてもなら」
「えっ、そんなすんなり?!」
いくら先輩とはいえアッサリ過ぎない?!
「いやそりゃすんなり譲るでしょ。そこそこ大事なお話をしたいって事なんじゃないの話しかけに来たっていうのは」
「そういうものかなぁ……」
とりあえず、リリーと一緒に帰るという話は本日は綺麗に取り消しとなった訳で。まさにこの御伽先輩が話しかけに来た事が今までにおいて最大に意外なイベントだったと私はとても強く思った訳で。
一体、何があるんだろう……。
「麻由美ちゃん、うちのお婆ちゃんのお店に来た事あるんじゃない?」
「えっ?」
御伽先輩と二人で街中を歩いている途中、先輩が急にそんな事を話してきたのだ。
「私のお婆ちゃん、古本屋さんやっているんだけど……」
「古本屋……ああっ!?」
た、確かに古本屋に行った事あるけど……もしかして、あのお婆ちゃんって御伽先輩のお婆ちゃんだったの?!
「やっぱり。お婆ちゃんがちょっと変わった子が来たって話で、しかもそれが私の高校の制服着てた子だぁーって言っててね……どんな感じの子だったか聞いてるともしかしてって思ったの……」
そっか。それよりお婆ちゃんから見て私って変わってたんだ……。
「そうなんですか……それで、どう言う風に?」
「なんというかね。お店の前でキョドキョドして声を掛けたらすんなりと入って……絵本を見た時の反応が凄い変わっていたんだって」
「へ、へえー……」
確かに店前で挙動不審な仕草取ってたかも……そりゃお婆ちゃん変わってるって思うよね……って、ちょっと待った。私は色々と御伽先輩から気になる情報がたくさんある。
「もしかして、今から行くのって……」
「そ、お婆ちゃんのお店」
「や、やっぱり……!」
何で御伽先輩が私を呼んだのかが気になったけど……また、あのお店に行く事になるんだ。そして、だ。私は現時点で色々と引っ掛かる事があった。
まずお婆ちゃんが私がお店に来た、というお話。絵本の装置を駆使して時間移動……厳密にはパラレルワールドを行き来していたみたいだけど、そうなるとこの世界では私はあの古本屋さんにどうやって来た事になるんだろうか。
東谷の説明では、私のイメージを元に新しい世界を生成するって事になるからつまりは私が記憶している情報がそのまま反映されている形になると思うんだけど……いつ頃来たって事になっているなんだろう。
そして、もう一つ気になる事があるとすれば、お婆ちゃんは絵本を見た時の反応が凄い変わっていたって言ってた事だけど……どういう事なんだろう?
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