青春少女 北野麻由美はたった一度の青春を謳歌する

益木 永

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第2章

第14話

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 ……私は周囲を確認していた。
 一見、変化のない状況ではあるが問題は通学カバンが綺麗さっぱり消えている事だった。つまり絵本の能力を発動させる事には成功させた訳だけど……確認できる方法は……。
「あったっ」
 ちゃんと制服のポケットの中に携帯が仕舞ってあった。これでいつかを確認できる……よしっ。
 日時は見事に四月末。概ね私が想定した範囲の時間に移動が成功出来ている事に安堵しつつ、ついでに言えばこの時間帯を見た事で。
「やばっ、授業遅れる!」
 時刻が完全に昼休みが終わりそうな時間帯に近づいていたタイミングに戻っていた事も確認できた。
 幸い、私の状態は移動前と比較して通学カバンが手元にない以外は同じだったためにそのまま出ても問題は無かった。個室の扉を叩き開けるかの様に勢い強く開けた後に、トイレを出るとそこは教室近くのトイレになっていた。という事は場所も違う?
 そんな事より、まずは教室に戻らないと。

「麻由美お帰り~。随分ギリギリだったじゃん」
「あ、まあねえ……てへへ」
 教室に戻るや否やリリーが声をかけてくる。これは流石に想定内だ。私とリリーが意気投合したのは入学直後、四月末にでもなれば気軽に声を掛け合う様なぐらいには友達である。
 とにかく、だ。
 私は返答をしながらまず席に戻って通学カバンを確認する。よし、ある。次はカバンの中を見る……よし、絵本もある。絵本の中は人がいなくなってから確認しよう。
「どうしたの? 急にカバンの中見て」
「うん? あ、まあなんか確認したくて」
「ふふっ、何それ」
 私はリリーの質問を軽口で流したら早速席に座る。
 これで第一の問題はセーフだ。絵本の能力を活用したら、まずは状況確認と絵本が手元にあるかの確認だ。これをクリアした後はこの能力を使った理由……今回の場合は藍春との問題だ。これを探らないと行けない訳で。
 ……それにしても、どこからすれば良いんだろうか? 藍春に単刀直入に聞くだなんて、絶対に避けなければならない。変にトラブルを生むのは確定だ。これは探らないと行けない訳で。
「おっ、授業のチャイム鳴ったんじゃない」
「うわホントだ」
 リリーが言及した事でチャイムが鳴った事に気づく。……うん、とりあえず今は授業を受けなきゃ。

「はー、やっと終わった」
「本当にね」
 六限目の授業が終わって私はリリーと話をしながら、これからどうするべきかを考えていた。
 私が今ここにいるのは藍春の問題について探る事。藍春が私に対して明確に突っかかってきたのはこの頃の事なのだ。確か……そうだ、移動教室に行く際の事だった筈だ。
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