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第3章
第28話
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現在、教室では文化祭の企画についてのクラス全体での相談が行われていた。
「えーっと、それじゃあこれからうちのクラスが担当する……」
うー、緊張してきた緊張してきた……!
私は内心平静になる様に言い聞かせながらも、どうしても本音が頭の中を支配している。やっぱり緊張が隠せない。それは誰かが気づかない……なんて事はなく。
「麻由美大丈夫なの……?」
「あ、だ……大丈夫ぅ」
「声が大丈夫じゃないて」
隣からリリーが声かけてくるぐらいには漏れ出ている。
れ、冷静になれ私……! 今回の文化祭では主に一年生は各教室で出し物をするという話になっている。今回、私たちのクラスでは……そう、
「所謂ゲームカフェ……来場してくれた方に向けた参加型企画イベントを中心としたミニゲームの催しで……」
ゲームカフェ。まあ、ざっくりとした事なんだけど様々なゲームを教室内で用意してそれを来てくれた人が選んで遊んでもらう、という形式の催しを私たちのクラスはやる。ちなみにカフェというのは便宜上の呼び名で別に飲み物とかは用意されていない。
そういうのは、他の純喫茶企画のクラスが担当するらしいしね。
……この企画で私が緊張するのは……所謂立候補。つまり自分の希望担当を挙げる事と、そしてその決まった担当の仕事を全うする事。これが、今回決める事。私が今回立候補したいのは……。
「では、改めて私たちの行う催しについて確認した所で本題に入ります」
キタッ! 教室の黒板前に立っているクラスメイトの子が、今回の文化祭において代表クラス委員として動かしてくれている訳だけど、この子は本当に声が綺麗に響き渡ってくる。
教室内、ちょっとザワザワしているけどそんな中でもよく聞き取れるもんね……凄い。
そもそもザワザワとした教室内でもこうやって進行ができるからこそ、こうやって堂々と声を出す事が出来るというか……。
「皆がやりたい担当を今回、決めたいのですが……」
途端、一気に教室内のザワザワとした空気感が大きくなる。代表の子は「しーずーかーにー!」と注意を促している。
注意を促すと少しずつ、教室の空気が落ち着いてくる。凄い、ちゃんと話を動かしてる……!
「えー、今回のゲームカフェ、企画されたゲームを五つ、それぞれ四名が交互の交代制で動かすという話になりましたが……」
そうして、改めて担当を決める振り分けの話へと至る。私も、ここからが重要だと思うからちゃんと聞いておかないと……!
「それでは、これで行きます。充分相談した上ですので問題ありませんね?」
そう言って今日の文化祭の相談……は終了を迎えた。……はー、疲れた……!
「疲れた~、リリーもお疲れ~」
「お疲れ。でも麻由美本当に行くの?」
リリーに心配されたけど……うん、これは正直な所私としてはチャレンジではあった。
「ホントホント。こういう時こそチャレンジするのが青春、でしょ?」
「いやいや、だからと言って随分思い切ったな」
余程、私がこのゲームカフェで最も大きい企画であるビンゴイベントの司会をやるのが意外と思われている……?! そんなに私、人前で緊張するタイプって思われているのかな?!
「でも、こういうのも経験でしょ?」
「まあそれはわかるけど、あの子も心配してたでしょ」
「うっ……」
確かに『北野さん、これで問題ない?』って妙に念押しされていたけど……あれ、やっぱり心配だったんだ……。
「でも、こういう時こそだしさ!」
「うーん……まあ、麻由美がそれでいいなら」
よしよし、リリーもなんだか納得してくれ……いや納得というには渋々って感じがするけど……とりあえず、私はこういう時こそ決断するべきだって思う、やっぱり私は青春を謳歌するという目標をするくらいなら。
今までにない事、チャレンジしてみても良いんじゃない? 私は、だからこそここで挑戦してみようと考えたのだ。
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