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〈第3章 秋、変わる色〉
第18話
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翌日の放課後、僕は真っ先に部室へと向かった。
「おや? 今日は早いね」
部室にいたのは金住先輩だけだった。
「あれ? 行村先輩と母野先輩は?」
「あの二人はまだだよ」
聞くと、二人はまだ教室にいるそうでどうやら今日出された提出物をしているそうだ。それなら何故金住先輩がここにいるかなのだが。
「私は家でやるタイプだから」
とだけ言われた。……答えになっているのかはよくわからない。
行村先輩がいないなら、仕方ない。僕は空いている席に座って文化祭に向けての準備をする事にした。金住先輩はホワイトボードを引っ張り出している。どうやら集まった時のため、事前に準備をしているそうだった。
ホワイトボードは部屋の広さもあり、移動させるのが結構大変なのだが金住先輩はこういった一人で大変なことは手伝ってもらうよりは一人でやった方が楽と言って一人でいつもやってしまう。所謂協力してやるのが得意ではないタイプなのだとも言っていた事があった。
無理な時は仕方ないので助けを求めるとは言っていたのだけども、やはり彼女は色々とちょっと変わった考え方をする。
最初から、ずっと変な人だとは思っていたけれど、ずっと部活で見ていてもやはり変な人だと思う。そういえば、金住先輩を部活関連以外で見かけた事が無かった。
「あの、金住先輩」
「……何だい?」
僕が声を掛けると、彼女は振り向いてくれた。
「そういえば金住先輩って授業とか、家にいる時はどんな感じなんですか?」
「まずは質問が抽象的過ぎてどう言えばいいか、難しいのだけど」
彼女は困り笑顔で言う。僕は自分の発言を振り返ってみると、確かにどんな感じだけではわからないだろう。
僕は改めて言い直す。
「……っと、金住先輩は部活以外ではどのように過ごしているんですか?」
「なるほど、私の生活を曝け出したいと」
「そこまでは言ってないです」
言い方がちょっと過激だ。
「ふむ……まあ、私の生活はそこまで取り立てる程ではない。学校ではみゆきとよく話して過ごすし、家では勉強とかを主にやっているかな」
「へえ……えっと、それだけなんですか?」
僕は思わず尋ねる。
「それだけ。本当に取り立てる程ではないくらいのほとんどの人が言えば”普通”の暮らしをしている。……薫は一体どんな事をしていると思ったのかな?」
「あ、あはは……」
ビックリするほど地の着いた生活を話した彼女は僕に疑り深い目を向ける。正直、イメージしていた程かけ離れた様な生活ではない事にちょっとの意外を感じていた。
本人には言いづらいので愛想笑いで思わず誤魔化してしまったけど。
「まあ、君が何考えていたかは想像が付くから特に追及はしない」
「は、ははは……」
その会話をして、しばらくした後。僕たちが準備をしている最中に母野先輩がやって来た。
「やっほー、やすみと神代くん」
「あ、母野先輩。課題は終わったんですか?」
「あれ? もしかしてやすみから聞いた?」
あ、そういえば母野先輩は課題の事なんて何も言ってなかった。普通に考えずに発言してしまった。
「あー……確かに金住先輩から聞きました」
「ふふっ、そうなのね。一応、課題は半分くらい終わらせたら部活に行く事にしてるからまだ終わってないの」
そうなんですね、と相槌を打つ。
「ああ、でも課題の残りは家でちゃんとやっておくの。二回に分けてやったら私は集中できるからね」
「そういう工夫なんですか」
「そう。そういう工夫」
母野先輩は『工夫』を強調して言った。何故強調したかは知らない。
「そういえば理久は?」
「行村くんは演劇部の方で脚本の打ち合わせしてくるって言ってたわ」
「え、そうなんですか?」
僕は慌ててスマートフォンからメッセージアプリを開いて行村先輩のメッセージを見ると、先輩から『もし直々に感想を伝えたいなら演劇部にも顔を覗いて欲しい。そっちにいるかもしれないから』というメッセージが送られていた。
「すみません、ちょっと演劇部の方行ってきます」
「え? 急にどうしたの?」
母野先輩が僕の急な行動に困惑しながら訪ねる。
「もしかしてこの間の話と関連あったりする?」
すると、金住先輩が横やりを入れて聞いてくる。
「はい。なのでちょっと行ってきますね」
そう答えて僕は文芸部の部室から出て行った。
僕はしばらく歩いて演劇部がどこにあるのかイマイチよくわかっていないまま日々を過ごしていたという事実に気付かされる。
つまり、どこにあるのかわからず校舎の中を行き来しまくっていたのだ。普通に迷子である。
……まず、演劇部がありそうな場所、行きそうな場所から順番にしらみつぶしで行ってみることにしてみた。
そう考えて移動したけれどそれならもういっそ職員室前に貼ってある校舎案内を見るのが早いと思い直した。
そして演劇部の部室を校舎案内に書いてあるがじっと見るとどうやらもう一つある校舎に部室が置かれているようだ。ちなみに案内から見る感じ結構大きな部屋らしかった。
僕は演劇部の部室に歩を進める。
翌日の放課後、僕は真っ先に部室へと向かった。
「おや? 今日は早いね」
部室にいたのは金住先輩だけだった。
「あれ? 行村先輩と母野先輩は?」
「あの二人はまだだよ」
聞くと、二人はまだ教室にいるそうでどうやら今日出された提出物をしているそうだ。それなら何故金住先輩がここにいるかなのだが。
「私は家でやるタイプだから」
とだけ言われた。……答えになっているのかはよくわからない。
行村先輩がいないなら、仕方ない。僕は空いている席に座って文化祭に向けての準備をする事にした。金住先輩はホワイトボードを引っ張り出している。どうやら集まった時のため、事前に準備をしているそうだった。
ホワイトボードは部屋の広さもあり、移動させるのが結構大変なのだが金住先輩はこういった一人で大変なことは手伝ってもらうよりは一人でやった方が楽と言って一人でいつもやってしまう。所謂協力してやるのが得意ではないタイプなのだとも言っていた事があった。
無理な時は仕方ないので助けを求めるとは言っていたのだけども、やはり彼女は色々とちょっと変わった考え方をする。
最初から、ずっと変な人だとは思っていたけれど、ずっと部活で見ていてもやはり変な人だと思う。そういえば、金住先輩を部活関連以外で見かけた事が無かった。
「あの、金住先輩」
「……何だい?」
僕が声を掛けると、彼女は振り向いてくれた。
「そういえば金住先輩って授業とか、家にいる時はどんな感じなんですか?」
「まずは質問が抽象的過ぎてどう言えばいいか、難しいのだけど」
彼女は困り笑顔で言う。僕は自分の発言を振り返ってみると、確かにどんな感じだけではわからないだろう。
僕は改めて言い直す。
「……っと、金住先輩は部活以外ではどのように過ごしているんですか?」
「なるほど、私の生活を曝け出したいと」
「そこまでは言ってないです」
言い方がちょっと過激だ。
「ふむ……まあ、私の生活はそこまで取り立てる程ではない。学校ではみゆきとよく話して過ごすし、家では勉強とかを主にやっているかな」
「へえ……えっと、それだけなんですか?」
僕は思わず尋ねる。
「それだけ。本当に取り立てる程ではないくらいのほとんどの人が言えば”普通”の暮らしをしている。……薫は一体どんな事をしていると思ったのかな?」
「あ、あはは……」
ビックリするほど地の着いた生活を話した彼女は僕に疑り深い目を向ける。正直、イメージしていた程かけ離れた様な生活ではない事にちょっとの意外を感じていた。
本人には言いづらいので愛想笑いで思わず誤魔化してしまったけど。
「まあ、君が何考えていたかは想像が付くから特に追及はしない」
「は、ははは……」
その会話をして、しばらくした後。僕たちが準備をしている最中に母野先輩がやって来た。
「やっほー、やすみと神代くん」
「あ、母野先輩。課題は終わったんですか?」
「あれ? もしかしてやすみから聞いた?」
あ、そういえば母野先輩は課題の事なんて何も言ってなかった。普通に考えずに発言してしまった。
「あー……確かに金住先輩から聞きました」
「ふふっ、そうなのね。一応、課題は半分くらい終わらせたら部活に行く事にしてるからまだ終わってないの」
そうなんですね、と相槌を打つ。
「ああ、でも課題の残りは家でちゃんとやっておくの。二回に分けてやったら私は集中できるからね」
「そういう工夫なんですか」
「そう。そういう工夫」
母野先輩は『工夫』を強調して言った。何故強調したかは知らない。
「そういえば理久は?」
「行村くんは演劇部の方で脚本の打ち合わせしてくるって言ってたわ」
「え、そうなんですか?」
僕は慌ててスマートフォンからメッセージアプリを開いて行村先輩のメッセージを見ると、先輩から『もし直々に感想を伝えたいなら演劇部にも顔を覗いて欲しい。そっちにいるかもしれないから』というメッセージが送られていた。
「すみません、ちょっと演劇部の方行ってきます」
「え? 急にどうしたの?」
母野先輩が僕の急な行動に困惑しながら訪ねる。
「もしかしてこの間の話と関連あったりする?」
すると、金住先輩が横やりを入れて聞いてくる。
「はい。なのでちょっと行ってきますね」
そう答えて僕は文芸部の部室から出て行った。
僕はしばらく歩いて演劇部がどこにあるのかイマイチよくわかっていないまま日々を過ごしていたという事実に気付かされる。
つまり、どこにあるのかわからず校舎の中を行き来しまくっていたのだ。普通に迷子である。
……まず、演劇部がありそうな場所、行きそうな場所から順番にしらみつぶしで行ってみることにしてみた。
そう考えて移動したけれどそれならもういっそ職員室前に貼ってある校舎案内を見るのが早いと思い直した。
そして演劇部の部室を校舎案内に書いてあるがじっと見るとどうやらもう一つある校舎に部室が置かれているようだ。ちなみに案内から見る感じ結構大きな部屋らしかった。
僕は演劇部の部室に歩を進める。
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