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第一章 変わった教師と変わった生徒
第二話 最初のお仕事
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―――
「では早速ですが、風見さんに委員長としての最初の仕事があります。」
放課後、私は先生に呼び出されて職員室にいた。
「仕事……ですか?」
「そうです。それは何かというと!……これです。」
先生が大袈裟な動きで出してきた物は……
「ポスター…と画びょう?」
「そう。よくわかりましたね。」
「わかるわ!」
「これを各クラスの掲示板に貼って下さい。今すぐ。」
「~~~こんなもん、掲示係にやらせろー!」
どんな仕事かと思ったら、本来なら掲示係がするような事に、私は先生の持っているポスターをばらまいた。
「いきなり何するんですか。」
「『何するんですか』じゃな~い!まったく、何の用事かと思えば……」
「だって…掲示係さんが帰っちゃったので……。風見さんだったらやってくれるかなって思ったのに…酷いです。もう、自分でやります……」
急に落ち込んで涙目になりながらポスターを拾い集める先生を見て、私は慌てた。
「いや…やっぱり私やります。ハイ!行ってきま~す!」
そそくさとポスターを拾い画びょうを奪い取ると、小走りに職員室を出た。
「やってくれるって思ってましたよ。」
先生の呟きは私には聞こえなかった……
―――
「あーあ…何で私がこんな事……。そもそもHR委員長なんて私がやるガラじゃないっつーの!もう!」
私は自分のクラス、つまり三組の掲示板に保健委員会のポスターを貼りながら一人ぶつくさ言っていた。
「1日3回は手洗い・うがいをしよう?……けっ!」
「風見?」
「あ?」
「久しぶりじゃねぇか!俺だよ、俺。」
「オレオレ詐欺は今時古いですよ~」
「オレオレ詐欺じゃねぇし!」
「どちら様ですか?」
「白石雄太だよ。一年の時のクラスメイトだった……」
「あぁ!……ってごめん。思い出せない。」
「おいおい…そりゃねぇだろ?」
「嘘、嘘。嘘だって!ちょっとしたジョークだって。」
「…ったく!相変わらずだな~」
雄太君は苦笑しながらそう言うと、私の方に近づいてきた。
「な……何?」
戸惑う私に何の前振りもなくデコピンを喰らわせた。
「いたっ!」
「いたいけな少年をからかうからだ。じゃな!」
どこか得意気に言うと、そのまま去っていった。
「痛いなぁ~、か弱い乙女に何て事……」
白石雄太君というのは一年生の時に同じクラスだった男の子。ノリがよく男女問わず別け隔てなく接する事から、クラスでも人気だった。
席が隣同士になったのをきっかけに良く喋るようになって、割と男子とも気さくに話せる私とはいつもさっきのように軽口を叩きあっていたものだ。
二年になってクラスが別になったから本当に久しぶりの再会だった。
「……って懐かしんでる場合じゃないぞ。自分!」
気合いを入れて残りのポスターを貼っていく。
窓の外の景色がオレンジ色に染まる頃、やっと作業が終わった。
「先生~終わりました!」
「ご苦労様です。」
「それじゃあ、先生。さようなら。」
「あ、待って!」
「はい?」
立ち去りかけた足を止めると先生が近づいてきた。しかも真顔で……
「え?先生?」
「風見さんって……」
「あ…あの?」
「……おでこ広いですよね。」
「あ?」
先生はおもむろに私の前髪を全部上げて、おでこを露にした。しかもそのおでこに思いっ切りデコピンを喰らわしやがった!(言葉遣い)
痛い!それに今日二回目だし!
「先生!何をするんですか!」
「お礼ですよ、お礼。」
「何て事を……もう帰らせて頂きます!」
私は勢いよくドアを閉めて出て行った。
こんな子どもっぽい事、教師がやっていいのか!?けしからん!
……でも、何故だろう?心臓がドキドキいってる。
おでこが熱い。雄太君の時はこんな風じゃなかったのに……
「何だ?この気持ち……」
私は誰にも聞こえないように小さく呟いた……
.
「では早速ですが、風見さんに委員長としての最初の仕事があります。」
放課後、私は先生に呼び出されて職員室にいた。
「仕事……ですか?」
「そうです。それは何かというと!……これです。」
先生が大袈裟な動きで出してきた物は……
「ポスター…と画びょう?」
「そう。よくわかりましたね。」
「わかるわ!」
「これを各クラスの掲示板に貼って下さい。今すぐ。」
「~~~こんなもん、掲示係にやらせろー!」
どんな仕事かと思ったら、本来なら掲示係がするような事に、私は先生の持っているポスターをばらまいた。
「いきなり何するんですか。」
「『何するんですか』じゃな~い!まったく、何の用事かと思えば……」
「だって…掲示係さんが帰っちゃったので……。風見さんだったらやってくれるかなって思ったのに…酷いです。もう、自分でやります……」
急に落ち込んで涙目になりながらポスターを拾い集める先生を見て、私は慌てた。
「いや…やっぱり私やります。ハイ!行ってきま~す!」
そそくさとポスターを拾い画びょうを奪い取ると、小走りに職員室を出た。
「やってくれるって思ってましたよ。」
先生の呟きは私には聞こえなかった……
―――
「あーあ…何で私がこんな事……。そもそもHR委員長なんて私がやるガラじゃないっつーの!もう!」
私は自分のクラス、つまり三組の掲示板に保健委員会のポスターを貼りながら一人ぶつくさ言っていた。
「1日3回は手洗い・うがいをしよう?……けっ!」
「風見?」
「あ?」
「久しぶりじゃねぇか!俺だよ、俺。」
「オレオレ詐欺は今時古いですよ~」
「オレオレ詐欺じゃねぇし!」
「どちら様ですか?」
「白石雄太だよ。一年の時のクラスメイトだった……」
「あぁ!……ってごめん。思い出せない。」
「おいおい…そりゃねぇだろ?」
「嘘、嘘。嘘だって!ちょっとしたジョークだって。」
「…ったく!相変わらずだな~」
雄太君は苦笑しながらそう言うと、私の方に近づいてきた。
「な……何?」
戸惑う私に何の前振りもなくデコピンを喰らわせた。
「いたっ!」
「いたいけな少年をからかうからだ。じゃな!」
どこか得意気に言うと、そのまま去っていった。
「痛いなぁ~、か弱い乙女に何て事……」
白石雄太君というのは一年生の時に同じクラスだった男の子。ノリがよく男女問わず別け隔てなく接する事から、クラスでも人気だった。
席が隣同士になったのをきっかけに良く喋るようになって、割と男子とも気さくに話せる私とはいつもさっきのように軽口を叩きあっていたものだ。
二年になってクラスが別になったから本当に久しぶりの再会だった。
「……って懐かしんでる場合じゃないぞ。自分!」
気合いを入れて残りのポスターを貼っていく。
窓の外の景色がオレンジ色に染まる頃、やっと作業が終わった。
「先生~終わりました!」
「ご苦労様です。」
「それじゃあ、先生。さようなら。」
「あ、待って!」
「はい?」
立ち去りかけた足を止めると先生が近づいてきた。しかも真顔で……
「え?先生?」
「風見さんって……」
「あ…あの?」
「……おでこ広いですよね。」
「あ?」
先生はおもむろに私の前髪を全部上げて、おでこを露にした。しかもそのおでこに思いっ切りデコピンを喰らわしやがった!(言葉遣い)
痛い!それに今日二回目だし!
「先生!何をするんですか!」
「お礼ですよ、お礼。」
「何て事を……もう帰らせて頂きます!」
私は勢いよくドアを閉めて出て行った。
こんな子どもっぽい事、教師がやっていいのか!?けしからん!
……でも、何故だろう?心臓がドキドキいってる。
おでこが熱い。雄太君の時はこんな風じゃなかったのに……
「何だ?この気持ち……」
私は誰にも聞こえないように小さく呟いた……
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