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聖女召喚された男

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俺は陛下に呼ばれ、護衛騎士を連れて王の私室に向かっていた。呼び出された理由が分かっているだけに、踏みしめる一歩一歩に感慨深いものがある。

「ようやく、聖女の役目を返上できる。マジで、長かったな~」

「セツ様」

護衛騎士のウルスラが、俺の名を小声で呼んだ。余計な事は喋るなってことだな。

「わかってる、ウルスラ」
「はい、セツ様」

俺は歩を止める事なく、ウルスラに声を掛ける。ウルスラが言葉少なに返事した。通いなれた王の私室への道のりはいつも静かで、俺に過去の事を想い起こさせた。

◇◇◇

異世界に聖女召喚されたのが、十代半ばの頃だった。言葉が理解できず狼狽える俺を、無言の男たちが御輿にのせた。

やがて、御輿は城内の廊下をしずしずと進み、陛下の私室にたどり着いた。

そして、俺は陛下に謁見した。

もっとも、異世界に来たばかりの俺には、目の前の人物がこの国のトップだと分かる筈もなかった。でも、俺と同じ年齢に見える人物に、年嵩の者達がひれ伏すのを見てただ者ではないないことは理解した。

だけど、その夜に起こることまでは想像していなかった。男は寝所で一晩中俺を抱いた。泣いても叫んでもその行為は続けられ、俺はいつの間にか気絶していた。その日から、俺は男のモノになった。

まあ、今では親友関係だと俺は勝手に思っているけどね。


◇◇◇

「セツ様、お待ちしておりました。どうぞ、陛下の部屋にお入りください。陛下は人払いをされ、セツ様をお待ちです」

「人払いしてるの?」

「はい、左様です。護衛騎士様は、私と共に控え室でお待ち頂くことになります。よろしいでしょうか?」

俺がウルスラに視線を向けると、彼は心配そうな表情を浮かべていた。俺は彼にちょっと笑い掛けてから、陛下の私室に入っていった。


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