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白薔薇の少女
◆◆◆◆◆
ウルスラの着せ替え人形となった俺は、彼の指示するままに体を動かす。
そして、聖女様が完成した。
「セツ様、着付けが完了いたしました。聖女の衣装を身に纏ったセツ様を目にしたものは、誰もが振り返ることでしょう」
ウルスラが満足そうに発言するが、俺は自身の純白の衣装を見てため息を付いた。
「純白の衣装を普段着にしている人間は聖女だけだから・・悪目立ちしてるだけだろ。三十歳で純白衣装とか、罰ゲームでしかない。黒か茶色の衣装に、モデルチェンジして欲しい」
「無理です、セツ様」
「提案をあっさり切り捨てるなよ!まあ、いいや。ウルスラ、第二王子に会いに行くよ」
「はい、セツ様」
着付けの終えた俺は、陛下の寝室を後にすることにした。その前に、陛下がくれた一輪のバラを手に取る。
純白の薔薇。
薔薇の栽培は王家が独占している為、権威の象徴となっている。王家の紋章にも薔薇が印されており、特に白薔薇は最上とされる。
白薔薇を手に出来るのは、王公貴族等の身分の高い者だけ。
「・・ん?」
「セツ様?」
「思い出した!」
「何をですか?」
「十代の頃にね、知らない女の子に白薔薇で頬を叩かれた事があって。でも、その子は名乗りもせず理由も語らず、黙ってその場を去ってしまった。今思うと・・彼女が陛下の婚約者だったのかもしれない。私の情報封鎖が解かれたのなら答えて、ウルスラ」
「随分と昔の話です、セツ様」
「そうだね・・確かに昔の話になる。でも、私は知りたいと望んでいる。その場に、ウルスラがいなかった事も覚えているよ。でも、私を薔薇で叩いた人物の情報は、得ているはずだよね?情報の開示を求める、ウルスラ」
黙ったまま、ウルスラが手を差し出す。俺は白バラを彼に手渡した。元より棘の少ない品種だが、ウルスラは丁寧に棘をとる。そして、俺の結った黒髪に白薔薇を挿し髪飾りとした。
「セツ様の頬を白薔薇で叩いたのは、パール・ハロンステーン様です。パウル陛下の異母弟である、第三王子の姉に当たる方です」
「パール様?うーん、第三王子の姉なら・・陛下とは兄妹関係だよね?彼女が陛下の婚約者だと思ったけど・・違ったみたいだね」
「いえ、セツ様。パール様は、陛下の婚約者です。あの方は、第三王子の母君の連れ子であり、アイナ・ハロンステーン公の孫娘です」
「ウルスラはパール様がまるで生きている様に語るけど・・違うよね?私への暗殺未遂を起こして、パール様は処刑されたと陛下から聞いたよ。私はもっと詳しい事情を知りたいんだ!ウルスラ、教えて!」
「セツ様・・第二王子ならば望んでおられる情報をお持ちかもしれません」
俺はウルスラの返事に肩を竦めた。そして、彼に声を掛ける。
「つまり、第二王子のところに早く行きましょうって、言いたいわけだ?」
ウルスラが静かに頭を下げる。
「分かったよ、ウルスラ」
ウルスラが語らないなら、ターゲットを第二王子に変更するしかない。
それにしても、俺は本当に情報封鎖されていたんだな。でも、これからは違う。自立のために情報を得ないと。
何時までも、陛下の鳥籠の中で過ごせはしないのだから。
「ウルスラ、いくよ」
「はい、セツ様」
十代の俺は陛下の鳥籠の中で、異世界に馴染めず常に死を望んでいた。
二十代の俺は陛下の鳥籠の中で、惰性のままに生きる事を選んだ。
三十代の俺は陛下の鳥籠から、飛び立つ事を余儀なくされている。
◆◆◆◆◆
ウルスラの着せ替え人形となった俺は、彼の指示するままに体を動かす。
そして、聖女様が完成した。
「セツ様、着付けが完了いたしました。聖女の衣装を身に纏ったセツ様を目にしたものは、誰もが振り返ることでしょう」
ウルスラが満足そうに発言するが、俺は自身の純白の衣装を見てため息を付いた。
「純白の衣装を普段着にしている人間は聖女だけだから・・悪目立ちしてるだけだろ。三十歳で純白衣装とか、罰ゲームでしかない。黒か茶色の衣装に、モデルチェンジして欲しい」
「無理です、セツ様」
「提案をあっさり切り捨てるなよ!まあ、いいや。ウルスラ、第二王子に会いに行くよ」
「はい、セツ様」
着付けの終えた俺は、陛下の寝室を後にすることにした。その前に、陛下がくれた一輪のバラを手に取る。
純白の薔薇。
薔薇の栽培は王家が独占している為、権威の象徴となっている。王家の紋章にも薔薇が印されており、特に白薔薇は最上とされる。
白薔薇を手に出来るのは、王公貴族等の身分の高い者だけ。
「・・ん?」
「セツ様?」
「思い出した!」
「何をですか?」
「十代の頃にね、知らない女の子に白薔薇で頬を叩かれた事があって。でも、その子は名乗りもせず理由も語らず、黙ってその場を去ってしまった。今思うと・・彼女が陛下の婚約者だったのかもしれない。私の情報封鎖が解かれたのなら答えて、ウルスラ」
「随分と昔の話です、セツ様」
「そうだね・・確かに昔の話になる。でも、私は知りたいと望んでいる。その場に、ウルスラがいなかった事も覚えているよ。でも、私を薔薇で叩いた人物の情報は、得ているはずだよね?情報の開示を求める、ウルスラ」
黙ったまま、ウルスラが手を差し出す。俺は白バラを彼に手渡した。元より棘の少ない品種だが、ウルスラは丁寧に棘をとる。そして、俺の結った黒髪に白薔薇を挿し髪飾りとした。
「セツ様の頬を白薔薇で叩いたのは、パール・ハロンステーン様です。パウル陛下の異母弟である、第三王子の姉に当たる方です」
「パール様?うーん、第三王子の姉なら・・陛下とは兄妹関係だよね?彼女が陛下の婚約者だと思ったけど・・違ったみたいだね」
「いえ、セツ様。パール様は、陛下の婚約者です。あの方は、第三王子の母君の連れ子であり、アイナ・ハロンステーン公の孫娘です」
「ウルスラはパール様がまるで生きている様に語るけど・・違うよね?私への暗殺未遂を起こして、パール様は処刑されたと陛下から聞いたよ。私はもっと詳しい事情を知りたいんだ!ウルスラ、教えて!」
「セツ様・・第二王子ならば望んでおられる情報をお持ちかもしれません」
俺はウルスラの返事に肩を竦めた。そして、彼に声を掛ける。
「つまり、第二王子のところに早く行きましょうって、言いたいわけだ?」
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ウルスラが語らないなら、ターゲットを第二王子に変更するしかない。
それにしても、俺は本当に情報封鎖されていたんだな。でも、これからは違う。自立のために情報を得ないと。
何時までも、陛下の鳥籠の中で過ごせはしないのだから。
「ウルスラ、いくよ」
「はい、セツ様」
十代の俺は陛下の鳥籠の中で、異世界に馴染めず常に死を望んでいた。
二十代の俺は陛下の鳥籠の中で、惰性のままに生きる事を選んだ。
三十代の俺は陛下の鳥籠から、飛び立つ事を余儀なくされている。
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