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「ダニエル = アルトマイヤー、俺と結婚してくれ」

エトヴィン = ウェラーは、タレのたっぷりかかった焼き鳥を食った後に、口の周りも拭かずに告白してきた。

エトヴィンの突然の結婚の申込みに、俺は食べかけの「芋と獣肉のごった煮スープ」を吹き出してしまった。くそ、もったいない!

俺と、英雄のエアハルト。そして、精液をタップリ出してきたエトヴィン。三人の元魔王討伐パーティーメンバーは、俺の行きつけの飯屋に来ていた。

エトヴィンが突然の告白をした時、俺とエアハルトは、注文した「芋と獣肉のごった煮スープ」を食べている最中だった。

エアハルトは英雄の名誉にかけて、スープを吹き出しはしなかった。だが、動きが停止している。魔法の「ストップ」で、行動不能状態に陥っている様子と似ていた。だがまあ、回復魔法は必要無さそうだし・・放っておこう。

問題は、エトヴィン = ウェラーの方だ。彼の頭は、バグを起こしているに違いない。俺は呆れ顔で、エトヴィンにハンカチを手渡した。

「エトヴィン = ウェラ。もしも、本気で俺を口説いているならば・・行きつけの飯屋で、求愛するのはやめてくれ。周囲の視線が痛いだろうが!しかも、口の周りが焼き鳥のタレでベタベタだよ?まずは、口の周りを綺麗に拭け、エトヴィン!」

「うぐっ、承知した」

エトヴィンは慌てた様子で、俺の手渡したハンカチで口の周りを拭った。自らハンカチを手渡したものの、白いハンカチが焼き鳥のタレで、茶色に染まっていく様を見てげんなりした。

この世界は、俺が適当に書いたBL小説を基礎として成り立っている。つまりは、ご都合主義の塊のような世界なのだ。

だが何故か、ティシュペーパーが存在しない!トイレットペーパーは存在するのに、何故にティッシュが存在しないんだ!ティシュペーパーが存在しない世界が、これほど不便だとは思いもしなかった。

エトヴィンは口を綺麗に拭くと、俺にハンカチを返すことなく、自身のジャケットの隠しに収めた。綺麗なジャケットが汚れるのに。

「ダニエル = アルトマイヤー、俺と結婚してくれ。既に、父上から許可を得て、我が家の紋章入りの指輪を製作済みだ。この指輪を、左手の薬指に合体してくれ、ダニエル。そして、このまま新婚旅行に向かい、道中でたくさん合体しよう。もしかすると、新婚旅行中に、ダニエルが孕むことも考えられる。だが、避妊はなしだ!何故なら、俺は父親になる気が十分にあるからだ!」

エトヴィンは、一方的に告白を済ませると、紫色の奇麗な小箱を取り出した。そして、パカリと蓋を開けた。その小箱には、ウェラー家の紋章が刻まれた指輪が納められていた。



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