お一人様希望なので、その番認定は困ります〜愛されるのが怖い僕と、番が欲しい宰相閣下の話~

飛鷹

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sideイリアス

13話

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「改めまして。俺、イリアス様の従者をしている、ブシアと申します。因みに平民なので、敬語なんて使わないでくださいね」

ブシアに先導させて客間にウィリテを連れて行きソファに座らせると、さっそく喜色満面な様子でブシアが声をかけていた。

「あ、ご……ご丁寧に……。僕はウィリテと言います。僕も平民なので、よろしくお願いします」

慣れない場所で緊張しているのか、ウィリテはおずおずと言葉を返している。
その小さく縮こまった姿も小鳥のように愛らしい。
そう思ったのは私だけではなく、ブシアも同じだったようだ。

「うっわ…、可愛い……。ウィリテ様、もしイリアス様に理不尽な事を言われたり要求されたりして困ったら、俺に絶対に言ってくださいね!」

「は……はぁ……」

「で、ウィリテ様。お年はお幾つで?ご職業は?食べ物は何かお好きなものがあります??お好きな色は何色でしょうか?ああ、そうそう!ベッドのリネンはシルクがお好みで?それともコットン?イリアス様がくっついて暑苦しいから、通気性の良い麻って手もありますね!」

何をそんなに浮かれているのか知らないが、捲し立てているブシアの圧にウィリテが困惑している。
つまみ出そうとヤツに近付くと、ぱっとブシアが振り返ってきた。

「ああああ、もうっ!何してんですか、イリアス様!さっさとお湯を浴びて身綺麗にしてきてくださいよ!唯一の取り柄である見た目が、残念な事になってますよ!」

「オマエ……」

相変わらずの容赦ない言葉に、私の眉間にシワがよる。

「あの、イリアス……。僕、ここでちゃんと待っているから。ゆっくりお湯に浸からないと、その疲労も取れないよ?」

気遣う様子を見せてくれる彼に、私はゆるりと微笑んで見せた。

「ウィリテ、ありがとう。では少し席を外させてもらおう。ブシアの事は、無視していいからね」

「……えっ、と?」

さっきより更に眉を下げて困り顔になったウィリテの額に口付ける。そしてブシアに目をむけて釘を刺した。

「あまりウィリテを困らせるな、ブシア」

すいっとウィリテから身を離し、ゆったりと踵を返して湯を浴びに行こうとした。が、ふと思い出してもう一度ブシアに目を向けた。

「そうだ……。ウィリテは一人で部屋を使う。寝具は彼の好みに合わせるように」

そう告げると、今度こそ浴室に向かうべく部屋を後にした。
パタン…と後ろ手で扉を閉める。

ブシアにはああ言ったけれど、本音を言うならウィリテと一緒のベッドで、互いの存在を感じながら休みたい。許されるなら、勿論その先も………。
でもウィリテの事を思って、寝室は分けることにしたのだ。

「ふぅ……」

身体に籠もる熱を散らすように息をつくと、私は再び歩き始めた。
するとその時、扉の向こうでブシアの叫び声が聞こえた。

「はぁぁぁあっ!?イリアス様が我慢?禁欲!?え、まさかの不能っ??」

ーーーーこの後、ウィリテを彼の部屋に案内したら、絶対ブシアを殴ろうと心に決めた。

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