20 / 124
2人目
成長
しおりを挟む
激痛に気を失いそうになり、ぼやける視界の中グランツがフレイムサーペントのその長い胴体に巻き取られ、絞められているのが見えた。
「同期切断」
俺がそう言い終えた瞬間、元の身体に意識が戻り痛みも全て消える。さっきまで戦っていたのはスキル<分身>による分身体だ。分身体は俺が本体に意識を戻した時点で消える。
本体の俺の視界には、すっかり俺を殺したと思い込んでグランツにとどめを刺すことに必死なフレイムサーペントのうなじが丸見えだった。
「グランツ、よく耐えた!」
背後からの必殺の一撃、転生者特典『忍びの術』により死角からの急所への攻撃はその威力が十倍になる。
「はぁぁ!!!」
全力を込めた一撃、フレイムサーペントもようやく気付くが既に遅い。ナイフと奴の表皮の間に一瞬、赤黒い閃光が走り
── グサッ
心地よい音と共に、グランツを今にも絞め殺さんとしていたフレイムサーペントの尾が脱力する。作戦通りの勝利だった。
「やるな、怪我は無いか?」
「それを言うならお前だろう、大丈夫か?」
巻きついた重い尾をどかしながら問うグランツの方がどう見ても重症だ。全身に擦り傷は出来てるし、締め付けられて血を吐いていたんだ。内臓もかなりの損傷を負っているだろう。
「俺は大丈夫だ、<治癒>……ほら、元通り」
だが、グランツは大したことじゃないと言うように笑って治してみせる。いくら怪我は治せるからといって、痛みはあるだろうに。
俺が今まで戦ってきた仲間たちは、みなこの戦術を使えば「もっと早く倒せた」とか「お前だけ安全圏に」と文句を言われるから今回も覚悟をしてたんだが、杞憂だったようだ。
「お前は良い奴だな」
「そうか?」
その時だった。
ピーン、と<探知>特有の脳に直接来る痛みが発生する。これは……溶岩湖の中か。
「グランツ、もう一体来た。行けryっ!?」
言葉が途切れてしまう。違う。もう一体じゃない。絶えず<探知>が迫り来る危機を知らせ続ける、何度も何度も何度も。
「おい、どうした? 大丈夫か!?」
心配そうにこちらに駆け寄ってくれるグランツだが、俺にはそれに返事が出来るほどの余裕が無かった。信じられない<探知>の結果に、もはや笑いすらこぼれる。
「セージ、どうして笑ってる!? 敵は何体だ?」
戦いの音を聞き付けたのだろうか。溶岩湖から次々と魔物の反応が<探知>されたのだ。その数捉え切れるだけでも十五以上、もはや勝てる戦いじゃない。
「数え切れないほどだ、グランツ。これは勝てない」
俺の言葉を聞いたグランツは何故かホッとしたような表情を見せる。
「勝てない、と判断出来たなら逃げればいい。お前のスキルなら大丈夫だろう」
── あ、一つだけ打開の方法があった。
グランツの言葉で俺はひとつの作戦を思いつく。だが、決してその作戦の内容は言わない、言えない。俺は無言のままグランツを抱え上げた。
「えっ?」
そのまま全力で走り、さっきまでの場所から出来るだけ遠くへ遠くへ逃げる。だいたい50メートルほど離れただろうか、岩陰で俺はグランツを下ろした。
「ここで隠れる、というわけだな」
グランツの言葉は残念ながら間違っている。俺だけならここで隠れ続けるだけで良いが、グランツの<潜伏>じゃいずれバレる。というか、ここまで走ってる様子を恐らく何体かの魔物には視認されているから根本的にダメだ。
「グランツ、お前は生きろ」
[転生者の篝火]は世界に降りかかる災厄の為に生まれた存在だ。俺が死んでも転生者特典はグランツに移るだけだが、グランツが死ねば雫の転生者特典が消えてしまう。教国の為、世界の為にこんなところで死なせる訳にはいかない。
それに、俺個人の感情としても生きて欲しい。どうしてか短い間の仲間だったが、そう思ってしまった。
「それはどういう……」
グランツの言葉が終わる前に俺は逃げるように、意識同期を切断した。
そう、グランツを運んだのは俺の分身体だ。本体の俺は未だフレイムサーペントを倒した場所に居る。転生者特典と<隠密>によりバレていないが、既に周りを魔物に取り囲まれている中、俺はさっき思い付いた打開策を始めることにした。
「<水生成>っ!」
唱えたのは初級生活魔法、瞬時に俺の掌に300mlほどの水球が出現する。俺はその水を溶岩湖に落とす。水蒸気爆発、水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象。
つんざく轟音と光に包まれ、俺は意識を手放した。
ステータス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 40
体力 A
魔力 A
膂力 A
俊敏性 A
スキル
<逃亡>< 疾走 ><軽量化><隠密><治癒><反転><対象変更><鑑定><瞬歩><クナイ><空中歩行>
称号
[転生者の篝火]⋯転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。
転生者特典
『超回復』『忍びの術』
「同期切断」
俺がそう言い終えた瞬間、元の身体に意識が戻り痛みも全て消える。さっきまで戦っていたのはスキル<分身>による分身体だ。分身体は俺が本体に意識を戻した時点で消える。
本体の俺の視界には、すっかり俺を殺したと思い込んでグランツにとどめを刺すことに必死なフレイムサーペントのうなじが丸見えだった。
「グランツ、よく耐えた!」
背後からの必殺の一撃、転生者特典『忍びの術』により死角からの急所への攻撃はその威力が十倍になる。
「はぁぁ!!!」
全力を込めた一撃、フレイムサーペントもようやく気付くが既に遅い。ナイフと奴の表皮の間に一瞬、赤黒い閃光が走り
── グサッ
心地よい音と共に、グランツを今にも絞め殺さんとしていたフレイムサーペントの尾が脱力する。作戦通りの勝利だった。
「やるな、怪我は無いか?」
「それを言うならお前だろう、大丈夫か?」
巻きついた重い尾をどかしながら問うグランツの方がどう見ても重症だ。全身に擦り傷は出来てるし、締め付けられて血を吐いていたんだ。内臓もかなりの損傷を負っているだろう。
「俺は大丈夫だ、<治癒>……ほら、元通り」
だが、グランツは大したことじゃないと言うように笑って治してみせる。いくら怪我は治せるからといって、痛みはあるだろうに。
俺が今まで戦ってきた仲間たちは、みなこの戦術を使えば「もっと早く倒せた」とか「お前だけ安全圏に」と文句を言われるから今回も覚悟をしてたんだが、杞憂だったようだ。
「お前は良い奴だな」
「そうか?」
その時だった。
ピーン、と<探知>特有の脳に直接来る痛みが発生する。これは……溶岩湖の中か。
「グランツ、もう一体来た。行けryっ!?」
言葉が途切れてしまう。違う。もう一体じゃない。絶えず<探知>が迫り来る危機を知らせ続ける、何度も何度も何度も。
「おい、どうした? 大丈夫か!?」
心配そうにこちらに駆け寄ってくれるグランツだが、俺にはそれに返事が出来るほどの余裕が無かった。信じられない<探知>の結果に、もはや笑いすらこぼれる。
「セージ、どうして笑ってる!? 敵は何体だ?」
戦いの音を聞き付けたのだろうか。溶岩湖から次々と魔物の反応が<探知>されたのだ。その数捉え切れるだけでも十五以上、もはや勝てる戦いじゃない。
「数え切れないほどだ、グランツ。これは勝てない」
俺の言葉を聞いたグランツは何故かホッとしたような表情を見せる。
「勝てない、と判断出来たなら逃げればいい。お前のスキルなら大丈夫だろう」
── あ、一つだけ打開の方法があった。
グランツの言葉で俺はひとつの作戦を思いつく。だが、決してその作戦の内容は言わない、言えない。俺は無言のままグランツを抱え上げた。
「えっ?」
そのまま全力で走り、さっきまでの場所から出来るだけ遠くへ遠くへ逃げる。だいたい50メートルほど離れただろうか、岩陰で俺はグランツを下ろした。
「ここで隠れる、というわけだな」
グランツの言葉は残念ながら間違っている。俺だけならここで隠れ続けるだけで良いが、グランツの<潜伏>じゃいずれバレる。というか、ここまで走ってる様子を恐らく何体かの魔物には視認されているから根本的にダメだ。
「グランツ、お前は生きろ」
[転生者の篝火]は世界に降りかかる災厄の為に生まれた存在だ。俺が死んでも転生者特典はグランツに移るだけだが、グランツが死ねば雫の転生者特典が消えてしまう。教国の為、世界の為にこんなところで死なせる訳にはいかない。
それに、俺個人の感情としても生きて欲しい。どうしてか短い間の仲間だったが、そう思ってしまった。
「それはどういう……」
グランツの言葉が終わる前に俺は逃げるように、意識同期を切断した。
そう、グランツを運んだのは俺の分身体だ。本体の俺は未だフレイムサーペントを倒した場所に居る。転生者特典と<隠密>によりバレていないが、既に周りを魔物に取り囲まれている中、俺はさっき思い付いた打開策を始めることにした。
「<水生成>っ!」
唱えたのは初級生活魔法、瞬時に俺の掌に300mlほどの水球が出現する。俺はその水を溶岩湖に落とす。水蒸気爆発、水が非常に温度の高い物質と接触することにより気化されて発生する爆発現象。
つんざく轟音と光に包まれ、俺は意識を手放した。
ステータス
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
[リューロ・グランツ] 19歳 人族 男
レベル 40
体力 A
魔力 A
膂力 A
俊敏性 A
スキル
<逃亡>< 疾走 ><軽量化><隠密><治癒><反転><対象変更><鑑定><瞬歩><クナイ><空中歩行>
称号
[転生者の篝火]⋯転生者と出会い導く運命を神に与えられた者の称号。その篝火を灯せば転生者は正しく道を歩み貴方に感謝するだろう。その篝火を消せば転生者は霧の中を彷徨い、全ての力は貴方の手の上のものになるだろう。
転生者特典
『超回復』『忍びの術』
20
あなたにおすすめの小説
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
異世界子供ヤクザ【ダラムルバクト】
忍絵 奉公
ファンタジー
孤児院からスラムで育ったバクト。異空間収納と鑑定眼のダブルギフト持ちだった。王都西地区20番街では8割を縄張りとする先代のじいさんに拾われる。しかしその爺さんが死んだときに幹部同士のいざこざが起こり、組は解散。どさくさにまぎれてバクトが5・6番街の守役となった。物語はそこから始まる。7・8番街を収めるダモンとの争い。また後ろ盾になろうと搾取しようとする侯爵ポンポチーコ。バクトは彼らを越えて、どんどん規格外に大きくなっていく。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!
HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。
跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。
「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」
最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
盾の間違った使い方
KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。
まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。
マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。
しかし、当たった次の瞬間。
気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。
周囲は白骨死体だらけ。
慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。
仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。
ここは――
多分、ボス部屋。
しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。
与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる
【異世界ショッピング】。
一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。
魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、
水一滴すら買えない。
ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。
そんな中、盾だけが違った。
傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。
両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。
盾で殴り
盾で守り
腹が減れば・・・盾で焼く。
フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。
ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。
――そんなある日。
聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。
盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。
【AIの使用について】
本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。
主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。
ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる