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絶え間
答え
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「そう、だから国は転生者に大義と身分を与えた。魔王討伐とその英雄っていうね」
「……なるほど」
シズクが軽く言った真実、それはつまり魔王の存在は人間が作った虚構ということで、転生者は英雄では無いってことで……今まで聞いてきた当たり前が全て嘘だったと言うことを示すものだ。
── エディが知ったら卒倒するだろうな。
1層で亡くした戦士のエディ、彼はよくラーン様を尊敬している発言をしていたからな。
そうやって懐かしい仲間のことを思い出していると、「ちょっと聞いてるの?」とシズクにつねられたので、俺は少し苦笑いしながら再び彼女の話に集中する。
「転生者は来たる災厄、魔王討伐の為に神に遣わされた英雄である。そう発表することで、各国は転生者を管理することに成功したの」
「……それは各国が協力して?」
百年前の政情は知らない。ただ、大国である共和国、教国、帝国の3つだけを考えても信じがたい話だった。現在犬猿の仲で度々戦争をしている帝国と共和国、宗教上対立関係にある共和国と教国、その三国が協力するなんて……。
俺の問いに、目を瞑って軽くかぶり降ったのを見るにそこはやはりシズクにも不可解なようだ。
「そう、そこはちょっとね……当時何があったのか、言ってもその頃の私は一介の何も知らない転生者に過ぎなかったわけだし」
「うーん……」
今ここで俺が考えても答えなんて出ないと思うが、それでも考えてしまう。そんな俺を見兼ねたのか、シズクは、あくまでも可能性、と念を押した上である組織の名を口にした。
「『連国議会』が何者かの傀儡になっていたとか……まぁ与太話に過ぎないケド」
「あー……そうか。そんな昔からあるのか」
『連国議会』とは各国の政治を牛耳る貴族やそれに相当する身分の人間が集まった組織だ。確かに彼らならば政府を動かせるだろう。
── まぁ、でも……そこまで驚きは無いな。
シズクの話は突拍子もないようで、案外突拍子があった。魔人を人工的に作ったり、その他諸々の研究所として利用されていたと思われる裏迷宮の存在を各国の上層部だけが認知していること。英雄と呼ばれたパータロル様が、教国が関与していると思われるデッドウルフによって殺されていること。それら全てシズクの話を聞いてみると、「なんだ、そうだったのか」と納得することが出来る。
「ま、そこは置いといて……」
シズクはぱん、と軽く手を叩いて切り替える。
「そういう経緯で、転生者は家族に虐待されることはなくなり、代わりに幼いうちから政府に引き渡され、訓練という名の洗脳を施され、そして魔物と戦わされた」
「それは人工的に作られた魔物なのか?」
「半々ぐらいかな、魔物被害を解決するのに転生者は有用だったし、でも雑用ばかりじゃ顔が立たないから、たまに人造魔物が当てられた。ほら、ここの魔物がそうだよ」
周囲をくるりと指すシズクに俺はハッとさせられた。そうだ、裏迷宮の魔物は異常に強かった。魔兎ですら手に負えなかったぐらいだ。すっかり俺は、ユミの言っていた研究所だけが魔物を作っていた場所だと思い込んでいたが、この裏迷宮全体がそうなんだ。
「あとは……四天王と魔王か」
シズクはそこでちょっと考えるようにした。
「うん、ここからは私の体験談を話すよ」
「……なるほど」
シズクが軽く言った真実、それはつまり魔王の存在は人間が作った虚構ということで、転生者は英雄では無いってことで……今まで聞いてきた当たり前が全て嘘だったと言うことを示すものだ。
── エディが知ったら卒倒するだろうな。
1層で亡くした戦士のエディ、彼はよくラーン様を尊敬している発言をしていたからな。
そうやって懐かしい仲間のことを思い出していると、「ちょっと聞いてるの?」とシズクにつねられたので、俺は少し苦笑いしながら再び彼女の話に集中する。
「転生者は来たる災厄、魔王討伐の為に神に遣わされた英雄である。そう発表することで、各国は転生者を管理することに成功したの」
「……それは各国が協力して?」
百年前の政情は知らない。ただ、大国である共和国、教国、帝国の3つだけを考えても信じがたい話だった。現在犬猿の仲で度々戦争をしている帝国と共和国、宗教上対立関係にある共和国と教国、その三国が協力するなんて……。
俺の問いに、目を瞑って軽くかぶり降ったのを見るにそこはやはりシズクにも不可解なようだ。
「そう、そこはちょっとね……当時何があったのか、言ってもその頃の私は一介の何も知らない転生者に過ぎなかったわけだし」
「うーん……」
今ここで俺が考えても答えなんて出ないと思うが、それでも考えてしまう。そんな俺を見兼ねたのか、シズクは、あくまでも可能性、と念を押した上である組織の名を口にした。
「『連国議会』が何者かの傀儡になっていたとか……まぁ与太話に過ぎないケド」
「あー……そうか。そんな昔からあるのか」
『連国議会』とは各国の政治を牛耳る貴族やそれに相当する身分の人間が集まった組織だ。確かに彼らならば政府を動かせるだろう。
── まぁ、でも……そこまで驚きは無いな。
シズクの話は突拍子もないようで、案外突拍子があった。魔人を人工的に作ったり、その他諸々の研究所として利用されていたと思われる裏迷宮の存在を各国の上層部だけが認知していること。英雄と呼ばれたパータロル様が、教国が関与していると思われるデッドウルフによって殺されていること。それら全てシズクの話を聞いてみると、「なんだ、そうだったのか」と納得することが出来る。
「ま、そこは置いといて……」
シズクはぱん、と軽く手を叩いて切り替える。
「そういう経緯で、転生者は家族に虐待されることはなくなり、代わりに幼いうちから政府に引き渡され、訓練という名の洗脳を施され、そして魔物と戦わされた」
「それは人工的に作られた魔物なのか?」
「半々ぐらいかな、魔物被害を解決するのに転生者は有用だったし、でも雑用ばかりじゃ顔が立たないから、たまに人造魔物が当てられた。ほら、ここの魔物がそうだよ」
周囲をくるりと指すシズクに俺はハッとさせられた。そうだ、裏迷宮の魔物は異常に強かった。魔兎ですら手に負えなかったぐらいだ。すっかり俺は、ユミの言っていた研究所だけが魔物を作っていた場所だと思い込んでいたが、この裏迷宮全体がそうなんだ。
「あとは……四天王と魔王か」
シズクはそこでちょっと考えるようにした。
「うん、ここからは私の体験談を話すよ」
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