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第1章 冒険者生活を始める。
噂の否定と確認を
しおりを挟むデミスとルインがトロイメア商会について聞きたいとのことだったので、どうせならとイヴリースがトロイメアのお嬢様だとバラして調子に乗りすぎていたデミスを反省させようとしたのだが、ルインまで怯えてしまった。
ルインが『えっとイヴリースさ、、、様?』と、急に敬称を変えるぐらいにだ。
早く誤解を解かなくてはいけないが、先にイヴリースが否定をする。
「ちょっ、止めてください。確かに家族ですが私は[トロイメア商会]とは関係ありません。私は私で本当にお嬢様とかではないので、様とか付けないでイヴって呼んで下さい!」
イヴリースは否定をしたが、理由が違う。
「いやイヴ、これはお嬢様ということで畏まっている訳じゃないぞ。噂のせいだ。」
「噂?」
(そうかイヴは噂を知らないのか……確かルインさんが言ってたのはこんな感じだったかな)
「お金の為なら血も涙も無いとかなんとか。でしたよねルインさん?」
「ひゃい! すみませんでした。」
(あっ! これをルインに聞くと、ルインが言ったみたいになるから駄目だった……)
それにしても調子に乗っていたデミスでなく、ルインの方が凄い怯えている。
というよりデミスは、固まってしまってまだ反応できていないだけみたいだが。
前にルインから非常識と言われたので一回イタズラし返そうと思っていたが、これではやりすぎかなと思う。
(これはやりすぎたかな……)
なのでそろそろ助け船を出す。
「すみませんルインさん。怯えなくても大丈夫ですよ。噂を[トロイメア商会]のギルスさんに確認しましたけど嘘でした。軍隊を持っているから、イメージが勝手に独り歩きしただけみたいです。」
良く考えたら当たり前だが、本当にお金のために人を殺してたりしてたら聖騎士団がとっくの昔に取り締まっているだろう。
しかしその動きが無かったということは、問題を起こして無いということだ。
イヴリースがギルドに入っているので、何か裏取引をしている可能性も否定できないが……。
問題が無いことの信憑性を高めるために、アヴラムの説明を当事者であるイヴリースが補足する。
「そうですよ、私も家族のことあんまり好きじゃ無いですけど、決して人として間違ったことには手を染めていません。なのでそんな噂なんか信じないでください!」
ギルスはまともな路線で組織を拡張しているようだが、もしかしたら非人道的なことはしていないので黒では無いけど、組織の拡大と強化そして一族の繁栄の為に灰色なことをしている人が中にはいるのかもしれない。
『もし本当に越えてはいけない一線を越えたら、私が責任を持ってあの家を潰します。』とも補足していたが、本当に一人でもそれが出来そうなのが怖いところだ。
『その時はアヴラムもよろしく!』とも言っていたので巻き込む気まんまんだったが……。
■■■
その後もトロイメア商会の噂の否定と説明を続けることでなんとか誤解は解けたようだが、それでもさすがに呼び捨てはしないみたいだが。
そして『改めてイヴさん、先ほどは失礼しました』とデミスとルインが頭を下げる。
「だからもういいんですって! 私は何も気にしていませんから」
「そうですか……ではこのギルドに入っていただくことは可能なのでしょうか?」
直ぐに切り替えギルド職員として、そこをしっかりと聞く所を見るに、ルインの優秀さが垣間見える。
だがこれはトロイメア商会の令嬢より難しい理由があるので無理だろう。
イヴリースが説明するより前に自分で説明した方が良いと思いアヴラムが話す。
「そのことで話しておかなければいけないのですが、ルインさん、そしてデミスさん、今まで黙っていましたが俺は元聖騎士団員です。そしてこちらのイヴは現役の聖騎士団員なので、ギルドに加入することはできません」
「「!!」」
またしても二人して固まるが、今度は割かし早く意識を取り戻した。
おそらくある程度はアヴラムの元の職業を予想していて、その内の一つだったのかもしれない。
ギルドに所属していない実力者の所属先は限られるからだろう。
「そうだったんですね……いや今確信しました。私たちのあの決断が間違っていなかったんだって!」
そういえばこの二人というか、ギルドでなにやら企んでいるとの噂になっていたので確認をしようと思っていたのだった。
そしてこの反応を見るに、やっぱりアヴラムとビートをあてにして企んでいるのは間違いなさそうだ。
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