悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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それぞれの想い

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目が覚めた時は夜で



「セシルさん」


横を向いたらティアがいた。


「体調はどうですか?」



「痛いし……寒いです………みんなは?」



周りを見たら誰もいない。


ティアが毛布を深くかけてくれてから教えてくれた。



「セシルさんが目を覚まさない間に4人はほとんど寝ないで薬草探しやあなたの護衛で側に誰かしらいたので……もう大丈夫だからと部屋から追い出して、たぶん今は寝てますよ」



「本当にあたしって迷惑かけてばっかり……」



「でも、迷惑と思うなら誰ひとりあなたを助けようとはしません」



そう言って湯気が出ているカップを差し出された。



「解毒剤です。最初に処方した量が少し足りなかったようでまだ身体の中にも毒が残ってますから飲んでください」



素直に受け取り飲んだけど、まずい。



「全部……飲まないとだめ?」


「はい、もちろん」



有無を言わせぬ笑顔……たぶんこのまずさを知ってるんだ。


背中の傷のためにも包帯は巻けないからと、服の背中は切り取られて毛布も背中にあたらないように被せてある。
でももう冬になったから寒い。



「先生……あたしはいつになれば動けますか?」


「最低1ヶ月は安静に……本来なら2ヶ月は安静にしていただきたいです。矢が刺さった位置は心臓の近く……ですので通常より安静にしている期間が長く必要です」



1ヶ月もここにいて、それからロックルックに行ってなんとか頼み込んで……了解を得られたとしてもロックルックから船を停泊させた森までは20日以上で……あたし、いつになればレイクサイドに行けるの?




そう考えながらまた、眠りについた。

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