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ゼレイ地方の戦い
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しおりを挟む何時間たったのか……―――――
戦いは解放団の勝利だった。
ルイをはじめ多数の死者が出た。
解放団の戦死者はルイをはじめ3,000人を超えた。
そして……ルイ以外にも将が亡くなった。
クレイジー、テリィ、ナタリーが戦死。
さらにアニエスも重傷を負い、クリック、フッキも落馬で腕を骨折という軽傷をおった。
降伏した兵士は1,000人ほど。
残りの帝国兵士は全て解放団の手にかかり戦死した。
戦死者の中にボレイル将軍もいた。
ボレイル将軍はあたしを見逃してくれた人で、帝国にいた頃は可愛がってくれた人だった。
あたしは身内と親友が亡くなるなんて……と悲しむ間もなくあたしはサモニ王国の国王、つまりはクルーの父親に会う事になった。
この戦いに来ていたみたい。
「はじめまして。私が解放団リーダーを務めてますセシル・アドレイです」
挨拶をして頭を下げ、頭を上げたらクルーに似た顔の貫禄がある人物が豪快に笑った。
「クルーのリーダーがまさか女性でこんな若い方だとはな!クルーがいつも世話になっている!」
クルーのように明るい人物。
あたしは自然と笑顔が零れた。
「申し遅れた……私はカズイ・レザ・バレル……セシル殿の心中お察しする……クルーより先程聞いたが亡くなった者に身内や親友がいたと……」
「カズイ殿……お気になさらず……親友は違ったけど私の身内は元々軍人……戦で死ねて本望でしょう……」
あたしの言葉は本心なんかじゃない。
ナタリーだってやりたいことも生きたい気持ちもあったはず。
軍人家系だから、元々帝国将軍だから、死んで本望なわけない。
でも、強がらないとあたしは泣いてしまうから。
今ここで、サモニ王国の国王の前で感情をあらわにするのは得策に感じなかった。
アニエスが重傷で運ばれた今、外交はあたしの役目だし、アニエスがいなくてもあたしの役目だから。
それを察したのはやはり長く一緒にいたクルーだった。
肩を叩かれて振り向くとクルーは普通に泣いていた。
「セシル……俺はリーダーであるお前にきつい言葉を言ったがな、泣きたい時は泣けばいいと思うぞ。戦いは終わった。
解放団はゼレイ地方を解放できた。嬉し泣きでも悲し泣きでも構わねぇからさ……感情を抑える必要なんかないさ……親父いるからって緊張あるだろうけどさ」
クルーの言葉を聞いてるうちに自然と涙を流したあたしがいた。
「……みっともないなぁあたし。結局、みんな生きて帰れないなんて……しかも泣いて……リーダー失格の力不足だよね…」
「泣かない方が人間らしくない。お嬢様のお心を察すると私も胸が張り裂ける思いだ」
いつのまにかゼシカが隣にいた。
あたしは俯いたまま自然とゼシカの手を握ってしまった。
地面を見たらあたしの涙の落ちた所とゼシカのいる位置の砂漠の砂の色が変わっていた。
見上げなかったけど、ゼシカも泣いている。
戦いで何を思い、何で泣いたかわからないけど、泣いているんだ。
悲しいのは、あたしだけじゃない。
あたしには悲しさも共有できる仲間がいる。
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