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別れ
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母の実家へ引っ越すことになったマヤは
今まで自分を育ててくれたと言っても
いいくらい通った図書館にお別れの
挨拶に行った。
特に、司書の山中さんは、五歳の頃から
マヤの面倒をみてくださった恩人でも
ある。
山中さんは、仕事を忘れたのかのように
マヤとの別れを惜しんでいた。
「マヤちゃん、来なくなると寂しくなるね。
またいつでも遊びに来てよ。本当によ。
あ、そうだ、こんな時に変な話だけど
あの日記ね、借りて行った人が
分かったんだけどさ、その名前が新田瑠璃子
さんなの。偶然かしら、マヤちゃんの
おばあちゃんと同じ名前でしょ。」
「ええ?いつですか?」
「それが日付は、随分前なんだけど
おかしいでしょ。おばあちゃんは、脳梗塞で
倒れて意識不明だったんでしょ?」
「あの日、返しに来れるわけないものね。
それにあの時は、誰が借りたのかも
分からなかったし、ずっと奇妙なことが
続いていたって言うしね。」
(実は、母の実家でその本の声を
聞いたんです。)
マヤは、あの風の囁きを聞いた日のことを
思い出していた。
山中さんに、そう言おうと思ったが
これ以上、彼女を恐がらせても
悪いし、そうだ、その本を供養して
欲しいってことじゃないのかな?
マヤは、怖いという感情よりも
何か先祖と関係してるのかもしれないと
咄嗟に思い、山中さんに、日記を
借りて行ってもいいですかとお願いした。
「止めときなさい。こういう昔の本って
いろいろ人の念が込もってるって
言うし、マヤちゃんは、すぐこういうのに
興味持つから心配になるよ。」
「そうかな。そうでもないのじゃないかな
恋心を綴った日記だから、何か伝えたくて
私の元に来たんじゃないだろうか?」
マヤがそう言うと、山中さんは
返却された本が乗せられてるワゴンを
押してきて、そこに乗せてあった
その日記をマヤに手渡した。
「大丈夫?もしもの時は
早くお寺で供養して貰いなさいよ。
図書館の本だけど、その時は紛失本に
しとくから。」
「ありがとう。山中さん。
今まで本当にお世話になりました。」
「元気で頑張りなさいね!」
マヤは、日記本を持つと母の待つ
自宅アパートへ帰った。
今まで自分を育ててくれたと言っても
いいくらい通った図書館にお別れの
挨拶に行った。
特に、司書の山中さんは、五歳の頃から
マヤの面倒をみてくださった恩人でも
ある。
山中さんは、仕事を忘れたのかのように
マヤとの別れを惜しんでいた。
「マヤちゃん、来なくなると寂しくなるね。
またいつでも遊びに来てよ。本当によ。
あ、そうだ、こんな時に変な話だけど
あの日記ね、借りて行った人が
分かったんだけどさ、その名前が新田瑠璃子
さんなの。偶然かしら、マヤちゃんの
おばあちゃんと同じ名前でしょ。」
「ええ?いつですか?」
「それが日付は、随分前なんだけど
おかしいでしょ。おばあちゃんは、脳梗塞で
倒れて意識不明だったんでしょ?」
「あの日、返しに来れるわけないものね。
それにあの時は、誰が借りたのかも
分からなかったし、ずっと奇妙なことが
続いていたって言うしね。」
(実は、母の実家でその本の声を
聞いたんです。)
マヤは、あの風の囁きを聞いた日のことを
思い出していた。
山中さんに、そう言おうと思ったが
これ以上、彼女を恐がらせても
悪いし、そうだ、その本を供養して
欲しいってことじゃないのかな?
マヤは、怖いという感情よりも
何か先祖と関係してるのかもしれないと
咄嗟に思い、山中さんに、日記を
借りて行ってもいいですかとお願いした。
「止めときなさい。こういう昔の本って
いろいろ人の念が込もってるって
言うし、マヤちゃんは、すぐこういうのに
興味持つから心配になるよ。」
「そうかな。そうでもないのじゃないかな
恋心を綴った日記だから、何か伝えたくて
私の元に来たんじゃないだろうか?」
マヤがそう言うと、山中さんは
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その日記をマヤに手渡した。
「大丈夫?もしもの時は
早くお寺で供養して貰いなさいよ。
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しとくから。」
「ありがとう。山中さん。
今まで本当にお世話になりました。」
「元気で頑張りなさいね!」
マヤは、日記本を持つと母の待つ
自宅アパートへ帰った。
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