ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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1~10話

家は食べ物ではありません【下】

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「おぉー……」

 どこまでも続く、広々とした『室内』。
 フルーツの乗った巨大なローテーブルに、ぬいぐるみの鎮座する巨大なソファ、天まで届きそうなほど高い本棚。
 ……まあこの場合、私が小さいだけで、外に見える家具類はサイズなのだろう。

 目線の高さからするに、このドールハウスは棚か何かの上に置かれているようだ。

 たくさんのぬいぐるみやドールハウスがあるくらいだから子供部屋のような空間を想像していたけれど、見渡したそこは意外にも、ワインレッドと木のブラウンを基調とした、大人らしくシックな室内だった。



「――か、ちゃんと例の物も探していただかないと!」

「あー、わかってる、わかってる」

 壁の向こうからだろうか、くぐもった男性二人の話し声が聞こえてくる。
 この夢に、私以外にも登場人物がいたなんて。

「私にお任せいただければすぐに探し出して――」

は俺以外立ち入り禁止だ。ほら、おまえもさっさと出ていけ」

「はいはい、承知しました」

 一人分の足音が遠ざかっていく。


 ……ガチャッ

 大きな物音と同時に、くぐもって聞こえていた声がクリアに響いた。

「はぁぁぁ……」

「っ――――!」

 叫びそうになった口を咄嗟に両手で塞ぐ。

 盛大なため息とともに『部屋』に入ってきたのは、見上げるほどの大男。
 よほど耐え難いことでもあったのか、その眉間には何本もの深いシワを刻み、ぐっと口角を引き下げて鬼のような形相をしている。

 しかし――短く切り揃えられた黒髪。横分けにされた少し長めの前髪から覗く、鋭いアイスブルーの瞳。すっと通った高い鼻梁に、およそ日本人とは思えない精悍な顔つき。上等そうな服をさらりと着こなす均整の取れた身体といい――普通の表情をしていれば、間違いなくモデル級のイケメンだろう。

 もしやこれが、自分が深層心理に思い描いている『理想の男性像』なのだろうか?
 夢には自分でも気付いていない願望が投影されるものだと聞く。だとすれば、自分は超ド級の面食いということに……。

 痛たたたた。痛い。
 夢の中だというのに、現実が胸に刺さって痛い。
 そんな目で見ないで! だから彼氏がいたことないのかとか言わないでぇぇぇ!!
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