ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁@書籍発売中

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1~10話

家は食べ物ではありません【中】

 恨みがましく外壁を眺めながら、とぼとぼと歩いて入口を目指す。

 立派な両開き扉の前に立ってみると、外観から予想していた通り、それはちょうどが通れる程度の大きさだった。
 もし住人がいるとすれば、きっと私と同じくらいの背丈をしているはずだ。


 コンコンコン

「すみませーん! 誰かいませんかー?」

 館はしんと静まり返り、中で人の動く気配もない。
 恐る恐るドアノブを引いてみれば、なんの抵抗もなくガパッと扉が開いた。

 まあ夢の中なのだし、入ったところで不法侵入には問われないだろう。

「お邪魔しまーす……」

 広い吹き抜けの玄関ホール。天井に吊るされたシャンデリアには明かりが灯っておらず、窓から入る光りだけが頼りの薄暗い室内。それでも十分、豪華な造りだということはわかる。

 正面にある幅広の階段は、踊り場で左右に分かれて二階へと続き、一階にも二階にもたくさんのドアがある。

「誰もいないなら……いいよね?」

 ちょっとした冒険に、ドキドキと足を踏み出した。





「うっわぁ!! びっ……くりしたぁー……」

 三つ目のドアを開けた瞬間、目の前に『住人』が現れた。
 バクバクいう胸を擦って落ち着けながら、改めてしげしげとを眺める。

「人、形……だよね? 着ぐるみ……では、ない……か」

 二本足で立つ、リスとおぼしき人形。
 身長は私の目線くらいで、ずんぐりとした三頭身に、フリフリのワンピースを着ている。
 突ついても揺すっても反応はなく、中に人が入っているわけではなさそうだ。

「やっぱりここって、ドールハウス?」

 そこかしこに片鱗はあったのだ。
 本棚の本を出してみれば、ページの開けないただの模型であったり。豪華な家具なのに、まるで『ミニチュアを拡大した』かのような独特の大味さがあったりと。

 そうとわかれば、ますます好奇心が膨らんでいく。
 遠慮なくあちこちのドアを開け、ふむふむと言いながら精巧な小物を手に取ってみたり、猫足のバスタブにすっぽりと収まってみたり、不意打ちで現れる住人に一々心臓を飛び上がらせたり。

 二階の廊下から窓を覗けば、『外』の様子がよく見えた。
感想 36

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