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21~30話
22c、私はどんな店があるかをわかっていない
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あちらのお席へどうぞ、と笑顔で示された一角に歩を進める。
笑顔を崩さない店員はさすがだ。
他の客達は驚愕の表情を浮かべてこちらを見ているというのに。
わかる、うん。みんなの気持ちはわかる。
私もガルがこの空間にいる光景を脳がうまく認識できなくて、合成写真でも見ている気分だ。
先を進むガルが着席したので、いつも通り私もその膝によじ登る。
ガルの手を借りてよっこらしょと着席すれば、周囲の客がどよめいた。
「……?」
「マヤ、何が食べたい?」
周囲を確認しようとする私の視界いっぱいにメニュー表が広げられる。
そこに並ぶ美味しそうな料理イラストの数々に、私の興味はすっかり料理の内容へと移り替わった。
綺麗に盛り付けられた彩り豊かな料理に舌鼓を打つ。
「このソースも美味しいですね。野菜自体にもほんのり甘味があって」
チキンを食べても、添えられた野菜を食べても、パンを食べても美味しい。
内装も可愛くて見ているだけで楽しい気持ちになってくるし、ガルがいい店と言っていただけの事はある。
「ガル様はこのお店に来たことがあったんですか?」
来るとしたら、やっぱり女性同伴でだろうか。
「いいや、初めて来た。ウィルドから女に人気の店があると聞かされてな。あいつの無駄話もたまには役に立つ」
軽く息を吐く。
段々と私にもわかってきた。
この前の可愛らしい菓子と言い、この店と言い、ガルがらしくない言動をする時は大体フェンベックの話が発端のようだ。
そして、その『らしくないこと』の全ては、私のためにと考えて成されたことばかり。
笑顔を崩さない店員はさすがだ。
他の客達は驚愕の表情を浮かべてこちらを見ているというのに。
わかる、うん。みんなの気持ちはわかる。
私もガルがこの空間にいる光景を脳がうまく認識できなくて、合成写真でも見ている気分だ。
先を進むガルが着席したので、いつも通り私もその膝によじ登る。
ガルの手を借りてよっこらしょと着席すれば、周囲の客がどよめいた。
「……?」
「マヤ、何が食べたい?」
周囲を確認しようとする私の視界いっぱいにメニュー表が広げられる。
そこに並ぶ美味しそうな料理イラストの数々に、私の興味はすっかり料理の内容へと移り替わった。
綺麗に盛り付けられた彩り豊かな料理に舌鼓を打つ。
「このソースも美味しいですね。野菜自体にもほんのり甘味があって」
チキンを食べても、添えられた野菜を食べても、パンを食べても美味しい。
内装も可愛くて見ているだけで楽しい気持ちになってくるし、ガルがいい店と言っていただけの事はある。
「ガル様はこのお店に来たことがあったんですか?」
来るとしたら、やっぱり女性同伴でだろうか。
「いいや、初めて来た。ウィルドから女に人気の店があると聞かされてな。あいつの無駄話もたまには役に立つ」
軽く息を吐く。
段々と私にもわかってきた。
この前の可愛らしい菓子と言い、この店と言い、ガルがらしくない言動をする時は大体フェンベックの話が発端のようだ。
そして、その『らしくないこと』の全ては、私のためにと考えて成されたことばかり。
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