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1~10話
8a、鼻直しに
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「は? 尋問だと?」
なんとも訝しげな表情を見るに、『尋問』が毎朝の抱擁を指していることは正しく伝わっているようだ。
「はい……、鼻直しに……」
「……『鼻直し』の意味はわからないが、そうすれば気分がよくなるのか?」
「恐らくは」
期待を込めてじっと見つめれば、グレニスが観念したようにため息をついた。
「まったく……。ほら、来い」
片膝をついた体勢のまま、受け入れるように両腕を広げてくれる。
私はお仕着せが汚れるのも構わず膝立ちで進み出ると、そのままグレニスの腕の中に倒れ込むようにして抱きついた。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!
しっかりと首筋にしがみついて鼻を擦り付け、身体中の空気を塗り替えるべくたっぷりとグレニスの香りを吸い込む。
鍛錬後のような香り立つ汗の蒸気が上っていないのが残念だけれど、非っ常ーに残念だけれど、どんなに薄くともやはりこの香りは格別だ。
不安定な膝立ちのままぎゅうぎゅうとしがみついて必死に鼻先を擦り付けていると、抱きしめられた身体が一瞬浮き上がってすとんと何かに着地した。
「……?」
顔をグレニスの首筋に埋めたまま、身体は横向けに何かの上に座らされて抱きしめられている。
椅子? こんな所に椅子なんてあっただろうか。
顔を上げて確認すれば済む話だけれど……まあいいか。
すんすんすんすん
なんとも訝しげな表情を見るに、『尋問』が毎朝の抱擁を指していることは正しく伝わっているようだ。
「はい……、鼻直しに……」
「……『鼻直し』の意味はわからないが、そうすれば気分がよくなるのか?」
「恐らくは」
期待を込めてじっと見つめれば、グレニスが観念したようにため息をついた。
「まったく……。ほら、来い」
片膝をついた体勢のまま、受け入れるように両腕を広げてくれる。
私はお仕着せが汚れるのも構わず膝立ちで進み出ると、そのままグレニスの腕の中に倒れ込むようにして抱きついた。
すぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!
しっかりと首筋にしがみついて鼻を擦り付け、身体中の空気を塗り替えるべくたっぷりとグレニスの香りを吸い込む。
鍛錬後のような香り立つ汗の蒸気が上っていないのが残念だけれど、非っ常ーに残念だけれど、どんなに薄くともやはりこの香りは格別だ。
不安定な膝立ちのままぎゅうぎゅうとしがみついて必死に鼻先を擦り付けていると、抱きしめられた身体が一瞬浮き上がってすとんと何かに着地した。
「……?」
顔をグレニスの首筋に埋めたまま、身体は横向けに何かの上に座らされて抱きしめられている。
椅子? こんな所に椅子なんてあっただろうか。
顔を上げて確認すれば済む話だけれど……まあいいか。
すんすんすんすん
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